2019年01月24日

2002年春にインドで書いた未公開日記(その7/第8週)

 私がインドのデリー大学へ客員教授として赴任していた2002年のことについて、大学での様子や、インドでの日常生活をあるがままに記した日録を再現しています。
 特に、前回の「その6」からは、「第8週 02/24〜03/02」の出来事を扱っています。すでにクラッシュしたままのホームページでも、この「第8週」以降は未公開のままだった部分です。
 メモを基にして、適宜インドでのことを思い出しながら、再現していきます。
 今回は、その「第8週 02/24〜03/02」の内の、2月25日の出来事です。ここから、インドで『百人一首』に取り組んだ報告が出てきます。
 来週からミャンマーへ行き、国際交流基金ヤンゴン事務所のオープニングイベントに参加して来ます。文化交流として『百人一首』の講演とカルタ取りの異文化体験を開催することで、イベントへの協力とお手伝いをしてきます。そのこともあって、インドで取り組んだ『百人一首』のカルタ取りに関するワークショップのことを、大急ぎで実践報告としてまとめているところです。

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■2002.2.25■



 朝食中の8時半前に、タクシーが来ていると小僧さんが呼びに来た。またである。
 どこかへ行けたらもうけもの式に、またタクシーの運転手さんが来たようである。頼んでもいないので、今日は違うと伝えてもらう。やれやれ、インド式の「行ってみる、やってみる、言ってみる」というのは、本当に頭が下がる。ご苦労様。しかし、今日は出かける用事がない。
 すぐ後で、ネルー大学のT4先生から電話があった。予定されていた、今日の授業のことである。
 先方から、いつまで待っても連絡がなかったので、今日は予定が詰まってしまったことを伝え、行けなくなっていると言う。そして、『百人一首』のカルタ大会も、日程が押し迫っているので、今日の授業は断念する旨も伝えた。
 先生は、先週から家族の問題で家を留守にすることになったことを説明され、申し訳ないことになったと詫びておられた。それはともかく、私の講義の用意をしているし、学生も楽しみにしているとのことで、後日、2回ほど授業をしてもらえないか、とのことであった。
 来週は、バンガロールへ行く予定になっている。再来週の金曜日、3月8日に一度だけ行くことにした。そして、11日は、もし可能ならば行くが、それはペンディングにしてほしいと伝えた。
 今日とか今週の金曜日の授業を、と言われても、あまりにも突然で困ってしまう。何とも、急な申し出で困惑することが多い。
 上記の『百人一首』のカルタ大会について、ここで少し説明する。
 デリー大学の大学院生には、日本の文学史や『源氏物語』のみならず、『百人一首』の勉強もしてもらっていた。『百人一首』については、和歌の解釈はそっちのけで、〈日本のかるたあそびを体験する〉ということを主眼にしたものである。百首を覚えるのは日本人でも大変なので、恋愛心理を扱った和歌20首選んだ。それは、以下の20首である。
 そして、その成果は、後日開催予定の〈百人一首カルタ大会〉で確認することにした。
 次に掲げる和歌の、上の句の前半にある「/」記号は、カルタ取りで重要になる「決まり字」を示している。

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56 あらざ/らむこのよのほかのおもひでに いまひとたびのあふこともがな 和泉式部
58 ありま/やまゐなのささはらかぜふけば いでそよひとをわすれやはする 大貳三位
65 うら/みわびほさぬそでだにあるものを こひにくちなむなこそをしけれ 相模
72 おと/にきくたかしのはまのあだなみは かけじやそでのぬれもこそすれ 祐子内親王家紀伊
60 おほえ/やまいくののみちのとほければ まだふみもみずあまのはしだて 小式部内侍
97 こぬ/ひとをまつほのうらのゆふなぎに やくやもしほのみもこがれつつ 権中納言定家
77 せ/をはやみいはにせかるるたきがはの われてもすゑにあはんとぞおもふ 崇徳院御製
89 たま/のをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする 式子内親王
80 ながか/らむこころもしらずくろかみの みだれてけさはものをこそおもへ 待賢門院堀河
53 なげき/つつひとりぬるよのあくるまは いかにひさしきものとかはしる 右大将道綱母
88 なにはえ/のあしのかりねのひとよゆゑ みをつくしてやこひわたるべき 皇嘉門院別当
19 なにはが/たみじかきあしのふしのまも あはでこのよをすぐしてよとや 伊勢
9 はなの/いろはうつりにけりないたづらに わがみよにふるながめせしまに 小野小町
90 みせ/ばやなをじまのあまのそでだにも ぬれにぞぬれしいろはかはらず 殷冨門院大輔
14 みち/のくのしのぶもぢずりたれゆゑに みだれそめにしわれならなくに 河原左大臣
57 め/ぐりあひてみしやそれともわかぬまに くもがくれにしよはのつきかな 紫式部
59 やす/らはでねなましものをさよふけて かたぶくまでのつきをみしかな 赤染衛門
92 わがそ/ではしほひにみえぬおきのいしの ひとこそしらねかわくまもなし 二條院讃岐
38 わすら/るるみをばおもはずちかひてし ひとのいのちのをしくもあるかな 右近
54 わすれ/じのゆくすゑまではかたければ けふをかぎりのいのちともがな 儀同三司母

 
 
 
posted by genjiito at 23:55| Comment(0) | ◎国際交流
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