2018年10月25日

キャリアアップ講座(その10)『源氏物語』のくずし字を読む(1文字欠落箇所)

 まずは、谷崎潤一郎が訳した『源氏物語』の中でも、昭和14年に愛蔵版(非売品、限定千部)として配布された桐箱入りの本を見てもらいました。なかなか見る機会のないものなので、架蔵の本を持参したのです。これからは、折々にこうした珍しい本を見てもらおうと思います。

 今日の枕としてのお話は、昨日の満月がみごとだったことから始めました。現在読んでいる「鈴虫」が、ちょうど2000円札に印刷された「【十五夜】の〜」の場面であることを意識してのものです。この熊取、日根野地区からも、きれいに満月が見えたそうです。

 その満月の話題と、来週11月1日が「古典の日」であることに関連させて、本日の京都新聞に掲載された「文遊回廊 第13回 紫式部日記」(荒木浩・国際日本文化研究センター)の記事を、みんなで確認しました。道長の「望月の欠けたることのなしと思へば」という歌や、古歌「君が代」のことにまで言及しました。また、廬山寺についても話題にしました。

 さらには、オリンピックでメダルを取った女性が「生物学的には女性ではない」という記事を読みながら、女と男の違いについて討論しました。これは、男性ホルモンの「テストステロン」の値による研究をもとにしたニュースによるものです。平安時代には、男と女の違いをどの程度意識していたのか、という視点での意見交換です。男と女の違いがよくわからなくなった、という意見を聞き、これは今後とも引き続き話題の一つにしていきたいと思います。

 『源氏物語』の本文については、今日は、7丁裏7行目「あ可つきの」から8丁裏5行目「能多満衛は・三や」までを読みました。この部分では、特に問題とすべき変体仮名は出てきませんでした。
 気になったのは、今日の3頁分の中で、1文字を書き写し漏らした所が4箇所もあったことです。テキストの翻字では、「(ママ)」とした部分です。

(1)「遊くれ」(諸本は「ゆくれ」)
    →「ふ」欠落
(2)「こ遊」(諸本は「こゆ」)
    →「き」欠落
(3)「【大】ゆ」(諸本は「【大】ゆ」)
    →「し」欠落
(4)「葉な可尓」(諸本は「はなかに」)
    →「や」欠落
(5)「ませて」(諸本は「ませて」)
    →「か」欠落


 いずれも語中の1文字を欠くという、非常に単純なミスです。この書写者は、この丁を書写する時には、集中力を欠いていたということでしょうか。私がよく喩えに使う、「トイレにいきたかったのでしょうか?」「お客さんが来たのでしょうか?」「奥さんから食事だから冷めない内に早く来てください、と呼ばれていたのでしょうか?」という状況を思わせるところです。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ■講座学習
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