2018年10月19日

20年ぶりの来訪者と研究室で旧懐談

 今から20年前のことです。当時勤務していた大阪明浄女子短期大学(現・大阪観光大学の前身)で、社会人講座として「源氏物語を読む会(まるげん)」を開催していました。
 その会が50回目を迎えたことを記念して、それまでの活動を『源氏物語を読む ゆかり −五十回の歩み−』(私家版、平成十年九月十一日発行)と題する1冊にまとめています。

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 その時の参加者の一人であるSさんは、昨年から始めた大阪観光大学で『源氏物語』の変体仮名を読む社会人講座に参加なさっています。80歳を超えた今でも、活動的な方です。
 そして、当時の参加者で大学の近くにお住まいのTさんは、今回も参加したいけれども体調を崩していてとのことで、しばらく静養に励んでからとのことでした。
 そのTさんが、一昨日、私が大学に出戻って来たことへの挨拶にと、私の研究室にお越しになったのです。やっとの再会を喜び合いました。今日も、「二十数年前にタイムスリップしたような気分になりました。埃をかぶっていた記憶が甦り、当時の楽しい気持ちに、今暫くなっています。」との連絡をいただきました。

 今、当時作成した『源氏物語を読む ゆかり−五十回の歩み−』を繰っています。巻頭の写真に、TさんとSさんの今も変わらない姿を確認できます。また、お寄せいただいたお2人のエッセイも再読しました。記録を残しておいてよかったと思っています。

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 あの会を始めた当時を回顧する話題を提供するため、巻末に記した拙文を引いておきます。今の自分の活動が20年前と変わらないことを知り、少し若返りの気分に浸っています。そして、記し残しておくことの大切さを、しみじみと感じています。


あとがきにかえて



            伊藤鉄也

 この「源氏物語を読む」会は、私の最初の心づもりでは、平成七年九月一日(金曜日)から始める予定でした。ところが、公私ともに多忙となり、学校の後期が始まる十月からということになりました。それが幸いだったのは、ちょうどその九月一日に、名古屋での資料調査の帰路、私が近鉄特急の車中で意識を失うということがありました。開講早々の休講という、なんとも惨めな事態は、どうにか回避できたのです。また、十月の第一週から開始するのがよかったのですが、これまた、ちょうどその日は国文学研究資料館のシンポジウムで司会をするという予定が入っており、もしそれが延期になったとしても、第二予定として、京都大学での電子図書館研究会の会合が組まれていました。そんなこんなの日程の中で、第二金曜日である十月十三日からスタートすることにこぎつけたのです。

 ちょうど、九月末日に、〈源氏物語電子資料館〉をインターネットのホームページとして開設したばかりでした。植村佳菜子さんの源氏絵をインターネットで最初に公開したのが、「源氏物語を読む」会でみなさんと初顔合わせをした翌日です。第一号の源氏絵は「若紫」でした(巻頭カラー画参照)。

 「源氏物語』を読むといっても、いろいろな形態があります。一応私としては、参加される方々に本文を少しずつ分担してもらい、レポーター形式で進めていこうと思っていました。大学などでの演習形式のイメージです。ところが、最初にそうした意向を提示したところ、みなさんが強硬に抵抗されたのです。いや、そんな視線を感じたのです。それならと思い直して、気ままに、気楽に読み進めるスタイルでいくことにしました。私は、とりあえずは談話会の進行役という役回りに徹することにしました。そして、今でも私が心がけているのは、自分がよく知っていることはできる限り話題にしないことです。当然、なりゆきから私が説明することが多くなるにしても、それは極力避けるように心がけているつもりです。しょせん答えなどのないことを考えていこう、というのですから、なまじ私が分別くさく解説するのは、かえって物語を楽しむ上では興味を削ぐことになりがちです。そうした方針で進めていくと、なんとなんと、みなさんがよくしゃべってくださること。男性が私だけということもあって、みなさんの結束力も固く、いつもいい勉強をさせていただいています。

 本来なら、この種の講座は「社会人講座」とか「公開講座」として、学校主催で開催される性格のものです。しかし、今は諸般の事情でそうなってはいません。これについては、現在、橘弘文先生の「道成寺縁起を読む」と、雲野加代子先生の「ジェンダーを考える」という自主講座が続いて来ていることを考え合わせると、いずれは学校主催のものとなるはずです。今しばらくは、地域社会への開かれた活動として貢献できれば、というささやかな願いで、個人研究の一環として続けていきたいと思っています。

 本書作成にあたっては、会に参加してくださっている皆さんに、ご無理をお願いしました。意をくみ取ってくださったお陰で、こんなにもすばらしい本ができました。梶山恵一郎さんも、快く巻頭言を引き受けてくださいました。ありがとうございます。原稿の回収や装丁・挿画などを担当してくれた植村佳菜子さんにも感謝します。なお、本書所収のカラー写真は、コンピユータグラフィックで画像処理をした後、拙宅のプリンタで印刷したものです。素人作業で不慣れなため、画像処理と色合わせがうまくいきませんでした。しかし、そこは手作りの味ということでご寛恕のほどをお願いいたします。
 最後になりましたが、大阪明浄女子短期大学事務局の小南嘉則・大川陽子・坂上千尋諸氏には、何かとお心遣いをいただいてきました。また、閉門ぎりぎりまで居残ることが多く、警備員の小椋克己氏にもご迷惑ばかりをおかけしています。改めてここに感謝の気持ちを記すとともに、こうした自主講座が円滑に継続できますよう、今後とも変わらぬご支援をお願いいたします。

 
 
 
posted by genjiito at 20:40| Comment(0) | *回想追憶
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