2018年10月13日

明浄社会人講座(1)池田「言語学、英語をやさしく身にまとう」

 今秋から開催することになった社会人講座の第1回が、大阪観光大学の併設校である明浄学院高校で、昨日12日(金)午後6時より無事に開催できました。
 今回の講座は、全10回通しの受講者は3名です。今日は、そのうちのお2人がお越しで、もう1人は仕事の調整がつかずにお休みとの連絡をいただきました。
 今回は、高校の英語科の先生2名も参加です。

 最初ということもあり、受講者を校門に出迎え、2階の会場にご案内しました。今回の社会人講座のお手伝いをしてくださることになっている高校国語科の堀先生は、高校側から了承をいただいているということもあり、ご一緒に校門付近で受講者をお待ちしていました。当初予定していた第1会議室は広過ぎるので、10人以内に最適な第2会議室に変更しました。そのこともあって、玄関先まで出迎えに行ったのです。
 玄関には、事務の田村さんが掲示板を設置してくださっていました。お昼に更衣室で出会った時、この日の社会人講座のことを心配していてくださり、ご好意で作っていただいた案内板です。まさに文化祭ののりで、何もかもが見よう見真似の手作りイベントです。

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 急遽部屋を変更したこともあり、講義をしていただく池田和弘先生は、パソコンと音声の調整に大忙しです。本当に申しわけありません。

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 講座を開始するにあたり、代表世話人を務めている私から、簡単にご挨拶をしました。この講座の意義と、今後の展開への協力のお願いです。小さく産んで大きく育てる、ということです。

 第1回となる今日は、池田和弘先生の「言語学、英語をやさしく身にまとう」です。
 言語学の基礎知識の確認から始まりました。わかりやすい話でした。
 少し話が進んだ頃に、講師の問いかけに応える形で、受講者から質問が出ました。それに池田先生が丁寧にご自分の考えを答えられ、その後は、参加者の意見を聴きながら進めていかれました。

 この講座が始まって30分もしないうちに、私はこの部屋の熱気にただならぬものを感じ出しました。受講者が学ぼうとなさる意識の高さが、スクリーンを見つめるその視線と講師の話に聴き入る姿から、自ずと伝わってきたからです。知的好奇心が旺盛で、理解力があり、疑問点と共感を覚える点が即座に整理でき、それが質問という形で発せられ出したからです。また、池田先生の問いかけに対する答えが、自分の考えを控え目ながらも織り交ぜてなされていたことにも驚きました。

 この企画とプランニングは昨年12月に着手し、本年4月中旬にできあがりました。しかし、その後の動きが後手後手だったために、ポスターとチラシができ、正式な案内を公にしたのは先月、9月の中旬でした。このことは、すでに本ブログの「大阪天王寺地域で新しく社会人講座がスタートします」(2018年09月12日)と、「高校での入試前の授業と社会人講座の広報活動」(2018年09月14日)でお知らせした通りです。

 その広報での対応が遅きに失したこともあり、宣伝活動がほとんどできなかったという事態の中で、昨日の開講に漕ぎ着けたしだいです。
 それが、少数ながらも予想外といえば受講者に失礼ながら、驚くべきレベルの高さの講座となったのです。聞き手の意識が、講座の内容に如実に反映しだしたのです。また、受講者の疑問に的確な説明をなさる池田先生にも、日頃のお付き合いの中では気づかなかった、専門家としての奥深い経験と知識の蓄積を知る機会ともなりました。

 イギリスのケンブリッジ大学にいらっしゃったピーター・コーニツキ先生とは、16年間にわたって共同研究として「コーニツキ版欧州所在日本古書総合目録データベース」に取り組んできました。打ち合わせなどでの訪英も、十数回にも及びます。「「コーニツキー版欧州所在日本古書総合目録」がリニューアル(その1)」(2018年07月20日)に、その経緯などを整理しています。
 そのお付き合いの中で、ピーター先生の授業がマンツーマンの討議であることを知りました。理想的な教育と研究が展開する場だったのです。今日は、そのピーター先生の講座の雰囲気を思い出させる、人と人とが知識と知恵と敬意を背景にして交流する、熱気溢れるものだったのです。

 さらに余談を。
 「コーニツキ版欧州所在日本古書総合目録データベース」の公開は2001年でした。当初は、あくまでも私が館長命令で取り組むデータベースの構築であり、国文学研究資料館の業務として認められたものではありませんでした。時間と共にアクセス数が多くなり、その意義が館内で認められ出した2011年から、館で公認のデータベースとなり、予算も正式に付くようになりました。つまり、自主的な活動が認められるまでに、10年を要したことになります。この経緯については、本ブログの「「コーニツキー版欧州所在日本古書総合目録」がリニューアル(その3)」(2018年07月30日)にまとめています。

 今回の明浄学院高校を会場とする社会人講座も、今はまだ認知を受けていない自主的な講座です。講師を引き受けてくださった先生方も、校務としての講義ではないことを承知で協力してくださっています。上記にも引用した本ブログの「大阪天王寺地域で新しく社会人講座がスタートします」(2018年09月12日)の「開講の趣旨」で、次のように記しました。

 明浄学院高等学校は、創立100周年に向けて、2021年4月に文の里新校舎が完成する予定である。その新館に、大学のサテライトが入ることとなっている。そこで、それまでの3年間に現校舎の施設を活用して、以下の10講座をスタートさせることにした。


 つまり、今回スタートした自主的な社会人講座が認知を受けるまでには、少なくとも3年はかかると思っての開催なのです。

 もっとも、今日の講座は、もう社会人講座の域を超えて、学びたいという受講生の熱意と、その気持ちに応えようとする池田先生の、丁々発止のやり取りの場となっていたのです。それにつられて、私も飛び入りでいくつか素人なりの質問をしました。
 巷には、カルチャースクールやカルチャーセンターと言われる社会人講座が数多くあります。しかし、今日、この文の里にある明浄学院高校の2階で展開していたのは、大学院レベルの討議と言うか、お互いが啓発し合う意見交換の様相となっていたのです。

 この展開の中で私は、今後の講座運営に向けての、刺激的な示唆をいただきました。全国至る所で展開している初心者向けの講座とは一線を画した、これからの研究成果が待ち望まれるような討議をする講座があってもいいのではないか、と思うようになったのです。

 こうなると、次回の講師である私としては、この受講者の求めに応えられる内容にしなければなりません。プレッシャーがかかります。しかし、この社会人講座のもともとには、大学の講義では語りきれなくて、語ると止まらない講座を意識したものだったのです。その意味では、ハイレベルの情報を基にして、受講者と一緒に考える講座があってもいいのです。
 まだ1回目が終わったばかりです。今後のことは、もう少し考えさせてください。

 さて、池田先生の講座の内容について、私なりのメモを通して簡単な記録を残しておきます。

・「エマージェント・グラマー」という第三の文法については、まだ知られていない考え方だそうです。英語から脱落した私にとっては、新しい物の見方や考え方には、大いに興味があります。

・バーチャル空間におけるバイリンガルが例示されました。話を聞いていると、私にも英語が話せるようになるのかな、と思いました。錯覚でしょうか?

・同時通訳者は何語で考えているか? ということで、受講者とのやりとりが活発に行われました。概念的に存在しないものは訳せない。言語の意味がイメージできないと訳せない。ということが確認されました。

・言語の獲得装置と普遍文法のギャップについても、受講生を交えてやりとりがありました。

・文法は発信のためにあるのか、受信の中にあるのか。これについての質問と意見は、参加者からいろいろな考えが出てきました。
 どうやらこの講座では、受講者とコミュニケーションをとりながら進めていくといいようです。

・池田先生の英語指導は、日本語を重視して活用しているとのことです。概念が分かっているなら、日本語の中に英語を入れてやる、とも。

・人間の脳の働きにあった英語教育の方法についても、わかりやすい説明がありました。

・「マイクロラーニング」には可能性があるとも。

 本日の講座には、明浄学院高校の英語科の先生がお2人も参加しておられました。熱心に聞いておられたので、講座の最中や終了後に、いろいろな感想やアドバイスを伺うことができました。

 定刻を15分もオーバーして終わりました。
 心地よい知的な刺激を堪能できた1時間半でした。

 終了後、みなさんがお帰りになってから部屋の片付けをしました。しかし、私が机の並べ方と椅子の配置を前後逆にしていたとのことで、この講座のお手伝いをしてくださっている堀先生が、元あったように並べ直してくださったとのことでした。勝手のわからない中で、不手際をフォローしていただき感謝します。

 このような講座に興味と関心をお持ちの方は、残り9回ありますので、全10回通しで参加していただくことは可能です。大阪観光大学の事務に連絡をいただければ、ご要望に対応いたします。また、特定の講座をスポットで参加なさる方は、1週間前までに連絡をください。こうした刺激的な時間を、ご一緒に共有しましょう。

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posted by genjiito at 20:30| Comment(0) | ■講座学習
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