2018年10月03日

文化庁が京都に来る意味を考える充実したシンポジウム

 2020年に、遅くとも2021年には、文化庁が京都に全面的に移転して来ます。それを踏まえてのシンポジウムが今夜、京都文化博物館で開催されました。

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 今回私は、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉の代表理事の立場で参加し、発言や意見を伺いました。今後は、可能であれば文化庁の存在と力を借りながら、『源氏物語』の写本文化を中心としたNPO活動に結びつけたいと思っています。

 今回のイベントは、新しい文化庁がどのような組織で、何をしようとしているのか、ということを広く京都の地で知ってもらおう、という企画です。

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 基調講演で松坂浩史氏(内閣参事官、文化庁地域文化創生本部事務局長)は、これまでは文化を分析的に見ていた、これからは全体的に捉えていくことになる、とおっしゃいました。そのことを含めて、私にはよくわからない抽象的な理念が語られていました。そのために京都に移転することとの関連性が、希薄だったように思います。いろいろあってやはり京都となった、という経緯はわかりました。しかし、それなら地方であればどこでもいいのでは、という感想も抱きました。

 今日の説明では、京都の方々にこの地に来るのだ、という説得力には欠ける説明だったように思います。東京では通用したことでしょう。しかし、京都で理解を得るには難しいものがあります。出身が東京とのことだったので、この関西の気風に馴染まれるのにもっと時間がかかりそうに思われました。その前に、お役人という立場を匂わせておられたので、それは関西では通用しないところが多々あるように思えます。それが、後半のディスカッションの中で、会場からの反応で実感としてよくわかりました。文化庁に対する異見が出ると、場内から拍手喝采という応援があったからです。

 新しく京都の地でやっていこう、という意欲は伝わってきます。次は、具体的に何をどうするのか、ということになります。その理解を得るためには、まだこのような集会が何度か必要だと思います。

京都文化博物館開館30周年記念
京都画廊連合会主催シンポジウム
「文化庁は京都に何を求め、京都は文化庁に何を求めるのか?」

と き / 平成30年10月3日(水)6:30PM〜8:30PM
ところ / 京都文化博物館・別館ホール(定員200名) 入場無料

文化庁の京都本格移転が近づいてきました。けれど「文化庁って何?」「京都で何をするの?」と多くの人は「?」ばかり、あまり関心が高まっているようにも思えません。文化庁の方も「京都ってどんなところ?」と思っていらっしゃるかもしれません。この際、地元京都の状況をふまえた京都からの意見発信、文化庁をはじめとする文化行政全般との意見・情報交換の場を、一般の府民・市民に開かれた形で設ける必要があるのではないか?それが、日頃多くの作家や美術・文化を愛する市民と接している私たち画廊連合会の責務ではないかと考え、企画したものです。皆様の御参加をお待ちしています。

−プログラム−

6:30〜7:00pm
講演︰「文化庁の京都移転で目指すもの〜新・文化庁とは〜」
松坂浩史氏

7:00〜8:30pm
シンポジウム︰「文化庁は京都に何を求め、京都は文化庁に何を求めるのか?」
松坂浩史氏、森木隆浩氏、潮江宏三氏、太田垣實氏、川村悦子氏、星野桂三氏
コーディネーター:山中英之氏


 シンポジウムでの質問をいくつか拾っておきます。
 
◎今、なぜ「生活文化」なのか?
 →食を含めて、世界の流れに文化庁は遅れていた。
◎京都に文化庁が来るメリットは?
 →京都の人は出不精なので、来てもらうとものが言いやすくなる。

 そして、私が今回のシンポジウムで活気が生まれたと評価したいのは、京都画廊連合会の星野さんの存在でした。星野さんは、いろいろな例をあげて、文化庁には期待はしていないということを明確におっしゃいました。文化庁の動きをじっと見守っていく、との発言もありました。これについては、会場からは大きな拍手が湧き起こりました。京の町衆のパワーを垣間見た思いです。
 とにかく、文化庁の松坂さんとの対立が鮮明で、今後の成り行きを見守るという展開となったのです。
 コーディネーターの山中氏は、京都の人は冷ややかに見ながらも見る目があるので文化庁の真価が問われますよ、とフォローというか文化行政の心構えを再確認しておられました。

 その後も、文化庁や文化に対する星野氏からの辛辣な意見には、会場からたびたび拍手が起きます。この盛り上がりには、基調講演をなさって俎板の鯉とでもいうべき状況に置かれた松坂さんも、苦笑いで躱しておられました。
 後半は、終始、京都の人の目と耳が厳しいことを、肌身で実感するシンポジウムでした。東京の発想が、そのまま関西では通用しない、させないという文化の違いが、今日は鮮明に浮き彫りにされました。
 主催者側の立場でパネラーとして登壇なさっていた星野さんは、多分に京都人特有のパフォーマンスで異見をおっしゃったと思われます。これは、京都人のいけずではなくて、長い歴史で培われた、異文化の流入に対する抵抗姿勢の一つではないのか、と思われます。
 しかし、京都は、新しい変革が大好きです。そうであるからこそ、常に文化の中心にいられたのです。今日は、東京からのお仕着せの姿勢への反撃を、それも楽しさや期待を持たせながらの余裕の対立を、まさに目の当たりにしたのです。貴重な文化交流会を通して、いい勉強の機会となりました。

 最後のテーマとして、文化財の活用に関して、保存の観点から複製の意味する話題はよかったと思います。日本は「仕舞う」文化だということも、今後に展開する貴重な提言でした。いずれも、文化庁との絡みで、今後とも話題性がある問題提起だと思いました。充実した、東西の文化の違いが体感できるシンポジウムでした。

 なお、10月に入った今週から、文化庁のシンボルマークが次のように新しくなっています。

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posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | ◎情報社会
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