2018年09月06日

朴光華編著『源氏物語−韓国語訳注−(若紫巻)』の紹介

 韓国の朴光華先生が、『源氏物語』の「夕顔」巻に続く「若紫」巻の訳注本を刊行なさいました。

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 「桐壺」については「朴光華著『源氏物語─韓国語訳注─(桐壺巻)』」(2015年09月06日)を、「夕顔」については「朴光華訳の第2弾『源氏物語−韓国語訳注−(夕顔巻)』刊行」(2016年08月26日)を参照願います。
 また、朴先生とのことは、「朴光華先生のハングル訳『源氏物語』」(2010年07月05日)に記した通りです。

 この韓国語訳注は、今後とも19年という長い歳月をかけて、さらに巻を次いで刊行されることになっています。
 韓国語がわからない私には、このようにして紹介することでしかお手伝いができません。一日も早い完結を待ち望んでいます。

 本書の書誌情報を、いただいたお手紙から転記します。

1)著者;朴光華(Park KwangHwa)
2)初版発行日;2018年7月2日
3)出版社;図書出版DNP
 〒31166韓国忠南天安巿西北区双龍4GIL 8、1F
 電話;041-572-7887
 Email;tdxl000@naver.com
4)総頁;508頁
5)定価;W60000
6)ISBN;979-11-964307-0-2 (03830)
7)本書の構成;写真4枚
序、凡例、若紫巻の概要、登場人物系図、参考文献など;1~23頁 若紫巻(日本語本文、韓国語訳、韓国語注);24~500頁 後記(日本語);501~502頁 図録1~6 ; 503~508頁


 また、本書の性格と編者のお人柄がわかる「後記」を、参考までに引用します。

六、後記

 『源氏物語−韓国語訳注−』(若紫巻)は、「文華」(第十号、2011年1月1日)雑誌に発表されたものである。当時は『源氏物語韓釈−若紫−』(日本文学研究会)という題目でこの世に出た。それから約六年後、今日、ようやくこれに相当な注釈を施して発刊することになった。当時の若紫巻をいまになって見ると、情けなく間違った個所も多く目立つ。その後「文華」は十二号(2013年1月1日)まで続刊した。既刊の桐壼巻では、尊敬語(補助動詞)、謙譲語(補助動詞)、丁寧語(補助動詞)などで苦労して、夕顔巻では、助動詞「む・べし」、接続助詞「に・を」などで苦労した。今度の若紫巻でも助動詞「む・べし」、接続助詞「に・を」などの用法、丁寧語「はべり」などで苦労した。たとえば、やや前半部の供人のことばに「外(ひと)の国などにはべる海山(うみやま)のありさまなどを御覧ぜさせてはべらば、」という文がある。この「はべら」を丁寧補助動詞としたが、謙譲語(話し手の動作を表わす文につく「はべり」)とする説もあるから、どうしようかと思いつつ、いくつかの謙譲語の用例を除いてすべての「はべり」を丁寧語(補助動詞)と処理した。しかし、このような用例が後半部にもけっこう出てくるから甚だ心許ない。それに、これらの「はべり」の異同を明らかにする自信もまだない。
 夕顔巻の後記でつぎのようなことを述べた。

「桐壺・夕顔両巻の作業中において、一つのたのしみがある。それは、本書の訳と注釈に使った六書(『全書』『大系』『評釈』『全集』『集成』『新大系』)に、なにかあやまりはないのか、編集印刷ミスなどはないのか、と、それらを見つけることである。…」

 若紫巻では、はじめて今泉忠義の『源氏物語全現代語訳(二)』(講談社学術文庫)を使ってみた。
 若紫巻のやや前半部、「吹き迷ふ…」「さしぐみに…」という贈答歌のあとに、次のような本文がある。「いろいろに散りまじり、…」。
 これを『源氏物語全現代語訳(二)』は「色もとりどりに咲きまじって、…」のように訳している。どうして「咲きまじって、…」のように訳されたのか不思議である。底本の首書本をみても「散りまじり、…」となっているが、本書の訳と注釈に使った六書(『全書』『大系』『評釈』『全集』『集成』『新大系』)の誤った個所は、本書の中にすべてを記して置いた。ハングルであるから残念ではある。
 『源氏物語−韓国語訳注−』は前期、後期に分けて発刊する予定で、所要期間は当初は十四年であったが、大幅に変更された。まず前期30巻は2015年8月〜2033年(19年)となっている。前期の第1期発刊は、桐壺巻(既刊)、夕顔巻(既刊)、若紫巻、須磨巻、明石巻、総角巻、浮舟巻などが順次的で発刊される予定である。そして、各巻ごとに諸先生方の論考が掲載されることになっている。桐壺巻(「桐壺院の贖罪」伊井春樹先生)、夕顔巻(「夕顔の宿」糸井通浩先生)。
 そもそもこの若紫巻には中野幸一先生の論考が予定されていたが、あとの巻に回されることにした。やや不本意な若紫巻になってしまった。次は須磨巻で、今西裕一郎先生の論考が予定されている。ちなみに『源氏物語−韓国語訳注−』の訳注の原則、方法、内容、発刊計画などについては、日本言語文化研究21号(2017年1月30日)で「『源氏物語−韓国語訳注−』について」という題で発表したことがある。ご参照まで。
 目下『源氏物語−韓国語訳注−』は後世に残すために執筆している。この若紫巻はSにさしあげる。
           2017(ママ)年7月1日 朴光華

 
 
 

posted by genjiito at 21:30| Comment(0) | ◎国際交流
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