
今日も、フォグミュージアムの4階に籠もって、終日『源氏物語』の写本の調査です。
昨日は「須磨」巻に専念したので、今日は「蜻蛉」巻と悪戦苦闘です。「蜻蛉」は、「須磨」のように素直な文字で書かれていません。とにかく、一癖も二癖もあります。字形が不安定なので、字母の特定に苦しみます。また、ナゾった文字が多いので、下に書かれている文字の特定に時間がかかります。張り紙があったり、虫が喰っていたりと、落ち着きがない写本です。
疲れたところで、気分転換に階下のロビーを見下ろすと、不思議と落ち着きます。

無事に調査が終わり、閉館まで少し時間があったので、3階の展示室に案内していただきました。
その中に、宇治十帖の浮舟に関する軸装の絵があったので紹介します。この絵は、中村芳忠が1819年に描いたものです。

日本の作品は少なくて、ヨーロッパの絵画が中心のように思います。時間がなかったので、さっと見ただけの印象です。関係者のみなさま、どうもすみません。
みなさまにお礼を言い、再会を約束してミュージアムを後にしました。
ハーバード大学にはお茶室があるということだったので、かつてその茶道部の部員としてお茶室を使っていたという井戸美里さん(京都工芸繊維大学、現在科研の用務で長期研修滞在中)に、お忙しい中を案内していただきました。この白い洋館の中に、お茶室があるのです。外からはよくは確認できませんでした。このお茶室でお茶会をする機会があればいいですね。




宿への帰り道で、先日入れなかった大型書店では、デニス・ウォッシュバーン訳の『源氏物語』(英語・2015年)が、書棚に2冊並んでいるのに出会いました。その左には、村上春樹の本があります。それ以外は、日本文学関連の翻訳書は見当たりませんでした。
このウォッシュバーン訳は、現在、一番新しい完訳本です。表紙は『国宝源氏物語絵巻』「夕霧」(五島美術館蔵)を刺繍にした画像で、夕霧の手紙を取ろうとする雲居雁を描いているものです。

ハーバードスクエア駅前の書店では、この本が41冊も山積みになっているのを見つけました。店員の方に聞くと、新本のストックだとのこと。店頭にも何冊か出ているようなので、この地域ではよく売れている本となっているようです。大学の授業で使われるのでしょうか。この事情については、メリッサ先生にまた聞いておきます。

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