2018年09月11日

清張全集復読(22)「五十四万石の嘘」「顔」「途上」

■「五十四万石の嘘」
 加藤清正と徳川家康の微妙なバランスから生まれた話です。清正の孫の光正は、茶坊主玄斎を脅してからかったことから、加藤家を潰す原因を作ります。その過程が語られるものの、私には盛り上がりに欠ける話でした。一挿話という作品です。【2】
 
初出誌:『講談倶楽部』(1956年8月)
 
 
■「顔」
 映画俳優として有名になる幸運と、過去の露見で身の破滅となることのせめぎ合いの中で、男の心は揺れ動き、行動に移そうとします。そもそも、人は初見の顔を覚えているのか。それを思い出す時の描写がみごとです。【5】
 
 
初出誌:『小説新潮』(1956年8月)
 
※短編集『顔』が第10回(昭和32年度)「日本探偵作家クラブ賞」受賞。
 
 
■「途上」
 市営の厚生施設「愛生寮」に入れられた男の、生と死の間をもがくようにいき続けようとするさまを語ります。特に何かインパクトがある作品ではありません。弱い立場の人間を観察する清張の目が生きています。【2】
 
初出誌:『小説公園』(1956年9月)
 
※『松本清張全集 36』(文藝春秋社、1973.2.20)の巻末に収載されている著者自身による「あとがき」には次のようにあります。
「途上」は、「芥川賞受賞第一作」として書いた小説が不掲載になったのを、その材料で書き直した作品である。小倉の養老院を見て架空の舞台にした。なお、「第一作」は「菊枕」を書いてこれに替えた。(543頁)

 
 
 
posted by genjiito at 20:22| Comment(0) | □清張復読
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