2018年07月31日

立命館大学の戦争展で視覚障害者の資料を見る

 今日から始まった「第38回 平和のための京都の戦争展」(於:立命館大学国際平和ミュージアム、中野記念ホール)に行ってきました。8月5日(日)までの短期間なので、興味と関心をお持ちの方はお急ぎください。入場は無料です。

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 中に入ると、関連書籍の販売コーナーがあります。街中の書店には並んでいない本が多数あった中から、視覚障害者の本、アンデス文化の解説書、ミャンマーのガイドブックなど数冊をいただきました。
 こうしたイベント会場に入手困難な本が並ぶのは、情報収集においてもありがたいことです。

 本を買い終わった頃、そこで、日本盲教育史研究会の事務局長をなさっている岸博実先生と出会いました。先月、岡山であった日本盲教育史研究会には、ちょうど同じ日に池田亀鑑賞の授賞式がすぐ隣の日南町であったために参加できませんでした。そのお詫びを申し上げた時でした。今回のメインテーマである「障害者と戦争」のコーナーが入口正面のパネルの裏なので、と言いながらそのコーナーに連れて行ってくださいました。そして、いろいろな説明を伺うことができました。

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 このコーナーは、すべて岸先生がお持ちの品々で構成されています。人の顔さえ写っていなければ大丈夫だとのことなので、ありがたく貴重な資料をカメラに収めさせていただきました。見られる機会に撮影しておかないと、この次いつ出合えるかわからないのです。特に興味をもったものを、いくつか紹介します。

 まずは、パネルをみながら全体の構成を確認します。
 大きく「障害者と戦争 −戦争は戦力にならざる者の排除−」と書いてあります。
 障害者は戦力にならないとして差別された反面、さまざまな形で駆り出されていたことがわかる展示です。

 ゼロ戦の翼下に「日本盲人号」とあります。

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 次の左下の写真は、「防空監視哨員」として動員された近江谷勤さんです。障害者が敵機の音を聞き分ける練習をした後、その聴覚で敵の戦闘機の来襲を察知するという仕事に当たったのです(練習用の飛行機の音を吹き込んだレコード盤は後出)。もっとも、実際にはあまり成果はあがらなかったようですが。
 岸先生の話では、この近江谷さんを探すのに使用した資料(写真左上の赤丸部分)に「おおみや」とあったので、「大宮」さんとばかり思い込んでいたとのことでした。実際には「近江谷」なので、点字で書くと「おうみ」となるはずなのです。点字は実際の発音に近い表記をします。仮名遣いの問題は、こんな形で時々問題点を見せます。こうしたこともあって、岸先生は近江谷さんと出会うまでに、10年もかかったのだそうです。
 右下のマッサージをしている写真には、「按摩さんたちが奉仕に乗出す」とあります。

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 次の左下には、戦傷によって失明した人に渡された「失明軍人杖」の記事があります。

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 こうしたパネルの前のガラスケースには、パネルに関連した品物が展示されています。
 次の写真の左下には、「徴兵検査手引書」として以下の説明文が記されています。

検査を担当する医師用につくられた手引き書
この中に”失明詐称者””難聴詐称者”看破法
がかなりの頁をさいて書かれている。
 徴兵のがれを図る国民がいたことを示している。
      資料:岸 博実氏


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 同じケースの右側にはレコード盤があり、次の説明文があります。すでに説明したものです。

敵機爆音集 レコードと副読本
アメリカ軍の飛行機の音を聞きわけることを目的に
ニッチク(レコード会社)が制作したレコード。副読本には
「ボーイングB−17」「カーチスP−40」などの説明もある。
      資料:岸 博実氏


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 次の杖は「失明軍人杖」です。すでに上で説明したものです。
 ここの説明文は次の通りです。
 
「失明軍人杖」
 戦争で失明した軍人に、陸軍大臣 海軍大臣
から支給された「軍人杖」陸軍は星と鷲、海軍は
桜と錨がデザインされている。
      資料:岸 博実氏


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 こうした展示品について、岸先生からはその収集にあたっての驚くべき裏話を伺いました。これについては、また先生ご自身がお書きになることでしょうから、ここでは差し控えておきます。実は、今日も見つけたとのことでした。探せばまだ見つかる、ということのようです。そして、どうしても真っ直ぐな、装飾としての把っ手のない杖が、なかなか見つからないとのことです。ご存知の方がいらっしゃいましたら、お知らせください。

 この他には、「沖縄戦発掘資料」などなど、興味深い展示コーナーがホールいっぱいに展開しています。
 書けば際限がないので、じっと我慢をします。
 ぜひとも、実際にご覧になることをお勧めします。

 なお、会場でいただいたパンフレットに掲載されていないもので、「故 中野信夫さんスケッチ画 & 戦後の平和友好活動紹介」というコーナーがありました。
 これは、ミャンマーにおけるインパール作戦に参戦して、奇跡的に帰還した中野信夫軍医の手になる絵だそうです。これもお見逃しなく。

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 DVDの上映や体験談や講演などが、連日盛りだくさんです。しかし、私は来週のペルー行きを控え、会議や前期試験などなど、8月5日までに再度行く余裕はありません。残念ながら、また来年の楽しみとします。
 
 
 
posted by genjiito at 21:12| Comment(0) | ■視覚障害
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