2018年07月19日

キャリアアップ講座(その6)『源氏物語』のくずし字を読む(字母まで正確に書写)

 暑い中を、今日も熊取周辺地域の皆さまが、大阪観光大学に集まってくださいました。いつものように、まずは世間話から。

 祇園祭の前祭の写真を見ていただき、見物の位置どりや見どころなどをお話ししました。
 また、「コーニツキ版 欧州所在日本古書総合目録」がリニューアルしたことも。
 これは、ケンブリッジ大学のピーター・コーニツキ先生と、足掛け16年をかけて構築したデータベースです。また機会をあらためて詳細な記事として書きます。
 これに関連して、「国文学論文目録データベース」についても、紹介をしました。これについても、またあらためて。

 今日は、今回のテキストにしている『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』が、書写にあたって元にした親本を、いかに正確に書き写そうとしているかを確認しました。

 次の2例は、最初に書いた「日」が、親本で「ひ」となっていたことに気付き、すぐに書き直したと思われるものです。

(1)「よそ日尓」と書いた後、「日」をミセケチにしてその右横に「ひ」と書いています。
 傍記の「志やうそく【也】」は注記です。(5丁裏6行目)

180719_nazo-hi1.jpg

(2)「むす日」と書いた後、「日」の上から「ひ」を重ね書きしています。(6丁表3行目)

180719_nazo-hi2.jpg

 共に、「日」と書いてしまい、親本が「日」ではなくて「ひ」だったことに気づいて、その字母を変更した補正です。この写本を書写している人は、字母にまで気を配って、親本を忠実に書き写していることがわかります。そして、この書写者は日常的には「ひ」ではなくて「日」という変体仮名をよく使っていたようです。そのため、つい「日」と書いてしまったと思われます。一種の変体仮名の書き癖とでも言うべきものです。

 また、糸罫がずれたままの状態で書写を続けていたため、6行目までがズレていることも確認しました(5丁裏)。
 このことは、京都での勉強会でも、ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」においても見られた現象です。
「[町家 de 源氏](第9回)(【画像変更】糸罫が動いた結果)」(2018年05月26日)

 こうして、細やかながらも、筆写されている情況を自由に想像しながら、写本が生まれる過程を確認して進んでいます。

 今回は、6丁表3行目の「むすひ」までを見ました。
 次回は、2週間後の8月2日(木)です。
 
 
 
posted by genjiito at 23:42| Comment(0) | ■講座学習
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