2018年07月01日

第7回池田亀鑑賞授賞式-2018

 第7回池田亀鑑賞の授賞式は、日南町総合文化センターの多目的ホールにおいて定刻に始まりました。

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 池田亀鑑文学碑を守る会の会長である加藤輝和氏のご挨拶で始まります。

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 続いて、今回の授賞者である松本大さんに、加藤会長から賞状と賞金が手渡されました。

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 池田亀鑑賞選考委員会の会長である伊井春樹先生が所用でご欠席なので、選考委員長を務めている私が挨拶と選考経過の報告と受賞作の講評をしました。

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 あらかじめ用意していた内容は以下のものです。これを基にして、会場のみなさまに語りかけるようにしてお話をしました。

  挨 拶



 池田亀鑑賞の選考委員長をしている伊藤鉄也です。
 松本大さん、受賞おめでとうございます。
 本日は、池田亀鑑賞選考委員会の会長である伊井春樹先生が所用でお越しいただけません。そこで、私が挨拶を兼ねて、受賞作の紹介と選定理由についてお話いたします。

 この池田亀鑑賞も、回を重ねて第7回となりました。
 第1回池田亀鑑賞の授賞式は平成23年(2011年)5月2日に挙行されました。そして今回が第7回です。これまでを振り返っても、感慨深いものがあります。

 今回も、すばらしい成果を池田亀鑑賞の受賞作として選定することができました。
 受賞者の松本さんは、お手元の資料にあるとおり、コツコツと研鑽を積み重ね、今回のご著書のような成果をまとめられました。これからが大いに楽しみな、若手の研究者です。
 この受賞を契機として、ますます活躍されることでしょう。

 さて、今回の〈受賞作の紹介と選定理由〉について報告します。

 池田亀鑑賞の選考方法については、これまでと同じです。

・選考対象は、『源氏物語』をはじめとする平安文学に関する研究論文や資料整理及び資料紹介
・平成30年3月31日までに応募のあった著作と書類
・今後の平安文学研究の励みとなるような研究及び成果物
・評価対象は、応募にあたって提出された著作と応募文書
・評価点を付けるにあたっては、設定された次の4項目につき5点満点で評価する
  (A)地道な努力の成果
  (B)研究の基礎を構築
  (C)研究の発展に寄与
  (D)成果が顕著な功績


  選 評



 今回の松本さんの受賞作である『源氏物語古注釈書の研究』(2018.2、和泉書院)は、『河海抄』を中心に『源氏物語』の古注釈の様相を文献学的に探究した、地道で実証的な研究です。
 重要な古注釈でありながら諸本研究が遅れている『河海抄』は、翻字は提供されるものの、その文献学的処理は不十分でした。その意味からも、今回の受賞作は、『河海抄』を中心に、古注釈書の諸伝本を地道に丹念に調査研究した労作です。徹底して現存諸本と向き合おうとする姿勢は高く評価されます。
 松本さんは、これまでの研究を批判的に継承する中で、基礎的な研究にさまざまな成果を見せています。各種文献を手広く調査した報告を踏まえた考察も、研究手法の手堅さを感じさせるものです。今後の『河海抄』の研究、古注釈研究において必ず参照されるべき研究書となることでしょう。
 もっとも、選考委員の中には、松本さんの論証や結論に満足なさらない方もいらっしゃいます。各種文献の資料としての吟味は、さらに加えてもらいたいと思います。
 そうした点はあっても、今後のますますのご活躍を期待して、第7回池田亀鑑賞を贈るになりました。
 松本さん、池田亀鑑賞の受賞、おめでとうございました。


 続いて、選考委員の紹介です。

池田亀鑑のご子息である池田研二先生

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岐阜大学の小川陽子先生。

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広島大学の妹尾好信先生。

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ノートルダム清心女子大学の原豊二先生

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 引き続き、来賓としてお越しの、日南町町長増原聡氏、日南町町議会議長村上正広氏、鳥取県議会議員内田博長氏、日南町教育長丸山悟氏の紹介がありました。

 祝電の披露では、受賞作の出版元である和泉書院からのものが、司会進行役の浅田幸栄さんから読み上げられました。

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 来賓を代表して、増原町長の挨拶がありました。

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 池田亀鑑の言葉である「至誠」から、まっとうに生きるということについて考えていると切り出され、学んで開ける町、向学心を養っていける町にしたいと、力強い決意が語られました。

 その後、第1部に入り、今回のメインとなる、松本さんの講演となりました。

 『源氏物語』の魅力や、おもしろさを話したいということで、町民の方々にわかりやすい言葉で語りかける講演でした。

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 授賞式としてのセレモニーの後は、少し休憩時間を挟みます。会場の後ろでは、私が編集した本も並べられていました。

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 第2部は、筑紫女学園大学の須藤圭氏です。今年3月に重要文化財に指定された池田本『源氏物語』の位置付けについての話です。

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 参会者全員に袋に入れて配布した、八木書店から送っていただいた池田本のパンフレットや、須藤氏と私が編集した『池田本 源氏物語 校訂本文「桐壺」(第一版)』(NPO法人〈源氏物語電子資料館〉伊藤・須藤編、2017年1月、44頁)の紹介もありました。

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 第3部では、須藤氏の講演を受けて、私が池田本の首巻「桐壺」の巻頭部分を確認します。変体仮名に注意しながら、写本に書かれている文字を、参加なさっているみなさんと一緒に辿りました。池田亀鑑が取り組んでいた、古写本を読むという営為をみんなで追体験しよう、という主旨のもとでの勉強会です。
 この、鎌倉時代の古写本を変体仮名に注目して読むイベントは、これまでに池田亀鑑賞の授賞式のエキシビションとして好評のうちに4回おこなっています。

2014.6.29_亀鑑体験1「蜻蛉」(ハーバード大学蔵)
2014.9.09_亀鑑体験2「須磨」(ハーバード大学蔵)
2015.6.27_亀鑑体験3「鈴虫」(歴史民俗博物館蔵)
2017.6.23_亀鑑体験4「若紫」(国文学研究資料館蔵)


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 最後は、石見まちづくり協議会会長の吉澤晴美氏による閉会の挨拶です。

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 会場の片付けが終わってから、このイベントを盛り上げてくださったみなさんと一緒に、恒例の記念撮影です。今年も無事に一仕事を終えての満足感に満ちた「ハイ チーズ」です。

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会場を後にしてからは、これもいつものように受賞者と一緒に、池田亀鑑の文学碑の前で記念撮影です。

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 お疲れさん会を兼ねた懇親会は、これもいつもの「ふるさと日南邑」で開催です。みんなで大いに奮闘を讃え合い、今後の運営の話などで盛り上がりました。第8回でまた会いましょうと声をかけながら散会。そしてすぐに別室に移り、深夜まで語り合いました。
 地域のみなさまと日本文学の研究者との、いわば異文化交流会は、こうして2010年以来毎年、和やかに楽しく夢を語り合いながら展開しています。
さて来年は、どのような作品が選ばれ、どのような授賞式になるのか、今から楽しみです。
 
 
 
posted by genjiito at 23:18| Comment(0) | □池田亀鑑
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