2018年07月03日

清張全集復読(18)「廃物」「青のある断層」「奉公人組」

 昨日(7月2日)は、松本清張の原作にかかるドラマが2本もテレビで放映されました。季節の変わり目になると、番組編成の隙間を縫うようにして清張物が流れます。清張は、今も日本の文化の一翼を担っているようです。
 一昨日は、鳥取県の日南町に建つ松本清張記念碑の前に立っていました。そして、清張にとって忘れられない矢戸の村落を見つめて来ました。
 『白い系譜』を再読して、時間を見つけて清張の出自について再考しようと思うようになりました。

「清張全集復読(1)松本清張の家系の謎『白い系譜』(1)」(2014年08月08日)

「清張全集復読(2)松本清張の家系の謎『白い系譜』(2)」(2014年08月09日)

「清張全集復読(3)松本清張の家系の謎『白い系譜』(3)」(2014年08月10日)

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■「廃物」
 80歳の大久保彦左衛門忠教が、今まさに息を引き取ろうとしている枕元での人々の会話が、忠教の耳に届いていたという設定で語られます。機知に富んだ、というよりも、世の中を斜に見た愚痴っぽい語り方に、清張自身の姿が投影している、おもしろい話に仕上がっています。【4】


初出誌:『小説新潮』(昭和55年10月)
   原題「三河物語」
 
※『松本清張全集 35』(文藝春秋社、1972.7.20)の巻末に収載されている著者自身による「あとがき」によると、「大久保彦左衛門の例の『三河物語』から取った(「の例の」はママ、527頁)。」と言っています。
 
 
■「青のある断層」
 画商奥野は、銀座に画廊を構えています。そこへやって来た畠中良夫が話題を引っ張ります。さらにここに姉川という画家がからみ、心理の読み合いが展開するのです。話は、意外な展開を予想したにもかかわらず、期待は裏切られました。この後に、おもしろくなることを匂わせて、フェードアウトして終わります。余韻が残されたのは、作者が意図したところだったのでしょう。しかし、私には清張らしくない構成だと思いました。【1】


初出誌:『オール讀物』(昭和55年11月)
 
  
■「奉公人組」
 時は慶長の時代。人間の扱いを受けない、冷酷な境遇に生きる奉公人の姿が活写されます。そして、その弱い立場の者の味方をした一兵衛は、拷問を受けます。おもしろい話ながら、清張らしさのない捻りのない作品です。【1】


初出誌:『別冊 文藝春秋 49号』(昭和55年12月)
 
※『松本清張全集 35』(文藝春秋社、1972.7.20)の巻末に収載されている著者自身による「あとがき」には、何も言及がありません(257頁)。
 
 
 
 
posted by genjiito at 20:00| Comment(0) | □清張復読
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