2018年05月19日

『週刊 東洋経済 臨時増刊』大学ランキングの科研費欄に疑問あり

 今週発行された『週刊 東洋経済 臨時増刊』(東洋経済新報社、2018.5.14)に、「本当に強い大学 2018」が掲載されています。
 昨年のことは、「『週刊 東洋経済』の大学ランキングを見て夢が膨らむ」(2017年05月17日)に書きました。
 今年の集計結果が今週発表され、興味をもってその総合ランキングを見ました。

 これまでは、大学のランキングにはまったく興味がありませんでした。しかし、昨年からは教育現場に戻ったこともあり、勤務校の外部評価が気になりだしたのです。これは、愛着のある学校に再就職したからでしょう。

 その結果は。

 昨年は総合101位だった大阪観光大学が、今年は総合25位と急上昇です。しかも、文科系だけの大学の中ではトップです。

 アンケート調査や公開情報をもとにしてのランキングなので、数字のマジックがあることは否めません。小さな大学ほど、分母が小さいために、統計の狭間で微妙な計数処理が発生することでしょう。誤差の集積といっては身も蓋もありません。しかし、それを言っては何も計れません。一つの計算結果として、素直に結果としてのランキングを見たらいいと思います。

 まずは、その一覧表の中の「教育・研究力」までの部分を抜き出してみました。

180519_rank1.jpg

180519_rank2.jpg

 この内、21位から30位までの一覧に注目です。東洋大学と立命館大学に挟まれて、大阪観光大学があります。昨年よりも大幅アップとなっており、安堵して数値を見ていたところ、アレッと思いました。「科学研究費補助金」の項目がおかしいのです。

 今回25位となった大阪観光大学の「科学研究費補助金」は「182万円」です。昨年は、上掲のブログにも示したように「260万円」でした。この減少は、科研の基盤研究(C)をお持ちだった先生が転出されたことに起因するものです。それにしても、自分のことを照らして見て、この数字を不可解だと思うようになりました。

 ここでいう「科学研究費補助金(科研費)」とは、『週刊 東洋経済 臨時増刊』では次のように説明がなされているものです。

大学の研究者や研究グループに国から交付されている補助金だ。科研費の高い大学は研究水準が高く、教育面でもプラスに働くと考えられる。(16頁)


 この「科学研究費補助金」の項目については、巻頭の「概要」では次のようにその出所が明示されています。

文部科学省2017年度採択(新規採択+継続分)の配分額。1万円未満切り捨て(16頁)
(赤字は引用者の処置)

 これを見て、私は ? と思いました。

 私が現在取り組んでいる科研は、昨年 2017年4月に新規採択された基盤研究(A)です。そして、その配分額は、2017年度「976万円」、2018年度「1,027万円」であり、これは2019年度と2020年度も「1,000万円」以上が交付予定となっています。今、この『週刊 東洋経済 臨時増刊』のランキングにおける算出基準に照らすと、今回の総合ランキングの「科学研究費補助金」の欄の大阪観光大学の数値は、少なくとも「1,000万円」以上になるはずです。桁が一つ上がります。そして、ランキングの順位もさらに上がるはずです。
 これは一体どうしたことでしょうか。

 私は2017年4月に大阪観光大学に着任し、その4月に基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)が新規採択されたのです。ということは、今回の表の中にある「182万円」は、何を指すのでしょうか。私が交付を受けている、2017年度分としての「976万円」は、これには入っていないことになります。

 科研費に関するホームページ(日本学術振興会、http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/01_seido/01_shumoku/index.html)の中の「制度概要」を見ると、以下のように明記されています。

2.科研費の日本学術振興会への移管
 平成10年度までは、文部省(現文部科学省)においてすべての研究種目の公募・審査・交付業務が行われていましたが、平成11年度から日本学術振興会への移管を進めています。


 ということで、『週刊 東洋経済 臨時増刊』が言う「文部科学省2017年度採択」というのは、非常に限定されたものだということになります。
 研究種目が20種目ある内で、そのすべてが日本学術振興会が管轄するものです。文部科学省が日本学術振興会と役割分担をするものは、「新学術領域研究」「特別研究促進費」「国際活動支援班」3種目だけです。ほとんどが日本学術振興会によって公募・審査・交付業務が行なわれているのです。したがって、私が2017年4月に新規採択された科学研究補助金・基盤研究(A)は、日本学術振興会から採択・交付されたものであるからといって、この総合ランキングに算入されていないのはおかしいことであり、これは何かの間違いだと思われます。

 私が採択の通知を受けた課題は、2017年3月まで勤務していた「大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館」から申請したものです。そのために、2017年4月に発表された採択通知は、国文学研究資料館に届いています。しかし、その後、速やかに基盤機関を移動した旨の届けを出し、すぐに「科学研究費助成事業データベース」(https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?qm=10232456)に登録されました。したがって、2017年度に新規採択された科研の私の所属機関が国文学研究資料館となっていたことはないはずです。

 膨大なデータを一企業が集計処理をしたものである、ということで、ミスはつきものでしょうし、また下処理段階でいろいろな処置をしておられることでしょう。
 何かの折にでも、この不思議な数字の背景がわかれば、と思いながらも、なぜこのような数字で処理をされたのか不審の念も払拭できません。どなたか、解説していただけると幸いです。
 
 
 
posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | ◎情報社会
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。