2018年02月08日

熊取ゆうゆう大学:「若紫」を読む(その12)言葉と文字にこだわる

 大阪観光大学の図書館で読み進めている変体仮名の勉強会は、今日が2017年度の最終回であり、初年度の一区切りとなります。次は2018年度となり、5月の連休明けから始めます。

 20数年前、大阪観光大学の前身である大阪明浄女子短期大学で、私は社会人を対象にした『源氏物語』の自主講座をやっていました。そこに参加なさっていたTさんから、久しぶりに帰ってきた私に会いたいけれども、手術後で体調が思わしくなくて残念だ、とのお手紙を昨日いただきました。
 今日ご参加のSさんは、Tさんがかつて一緒に参加しておられたことを覚えておられました。自宅に行ったこともある、とのことでした。人のつながりの妙を実感しています。
 またご一緒に、楽しく勉強ができる日が来ることを楽しみにしています。

 さて、今日も9名の参加者によって始まりました。学生の田中君が担当者となり、快調に変体仮名を読み進んでいます。しだいに説明も滑らかになり、一回生にしては古文に対する理解があることが、言葉の端々から感じられます。学生たちに任せて良かった、と安堵しています。

 いつものように雑談が花開いていた時でした。
 消しゴムで文字を消した後に出るゴミをなんと言うか、ということで盛り上がりました。田中君が「消しクズ」と言ったことに関して、他の学生たちは「消しカス」だろう、と大阪のノリで突っ込みます。いろいろな意見が出るうちに、私もわからなくなりました。

 「酒カス」「油カス」「削りカス」など、「カス」がつく言葉が飛び交います。そして、「星くず」や「ごみくず」「削りくず」など「くず」が付く言葉も連想ゲーム式に出てきます。
 「あほ ボケ カス、と言うから……」というあたりからは、さすがに関西弁の世界での議論、とでもいうべきものになっていきました。

 専門的には誰かが整理しておられることでしょう。それはさておき、日常生活の延長からの問題をネタにして討論することは、各自がそれなりに参加できるので、楽しく止め処なく話題が膨らんでいきます。素人ならではの、妄想が許される激論が展開します。これが楽しいのです。

 変体仮名に関して、本行に「し侍」とある箇所で、傍記の「をき帝」(7丁表2行目、明治33年以来の表記では「をきて」)は、本行を書き映している人とは違う、別の環境の文化で文字を使っていた別人による書き込みではないか、という提案を私からしました。

180208_okite.jpg

 これは、橋本本「若紫」の本行の本文には1字も出てこない変体仮名「帝(Te)」をめぐる、新しい問題提起です。もちろん、傍記本文でも「帝」はこの1例だけしかありません。これは、他の写本での確認が必要です。また、このように1例しか確認できない変体仮名を抽出していくと、おもしろいことが見つかるかもしれません。

 疑問に思う文字が出てきた時、すぐに確認することを根気強く続けることで、一歩ずつ写本の文字を読む感覚が磨かれていくことでしょう。
 これからが楽しみな若者たちが、こうしてコツコツと変体仮名と格闘し、歩んでいることを報告しておきます。
 
 
 
posted by genjiito at 23:59| Comment(0) | ■講座学習
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