2018年01月25日

熊取ゆうゆう大学:「若紫」を読む(その11)ひらがなの「盤・半」

 大阪観光大学の図書館で、橋本本「若紫」を変体仮名に注目しながら読み進めています。今日の参加者は9名。いつものように、変体仮名の文字にまつわる話で盛り上がりました。特に、キーボードを使って文字を入力することでは、かな入力は私だけで、あとのみんなはローマ字入力だったので、白熱した議論となりました。みんなが参加できる話題なのでなおさらです。

 文字の入力方法は、テンキーだけからキーボードへ、そしてガラス面で指を滑らせるフリック入力に変わってきました。それが、これからは音声入力に移行しつつあります。やがては、テレパシーによる会話や入力になるのでは、という話にまで発展しました。

 以下、写本を読み進めていって気づいたことを、メモとして記しておきます。
 先週20日(土)に、東京で科研の研究会を開催しました。そこで、濁音で読む「盤」という変体仮名の研究成果を発表した門君と田中君が、今日もこの勉強会を進めてくれています。その2人が、今日問題となった例にも反応していました。その例を、記し留めておきます。

 橋本本「若紫」の4丁裏1行目に、次の例があります。

180125_ba-ha.jpg

 これは、「の堂まへ半【人】/\これ盤」と翻字をするところです。

 ここで「の堂まへ半」の「半」は「ba」と読む例です。これは、これまでにも出てきました。
 その直後に出てくる「これ盤」の「盤」は、「ba」ではなくて「ha」と読むものです。接続助詞の「ba」には「盤」を使う例が多いとしても、そうではないものもある、ということが、こうして実際に確認できたことになります。学生にとっては、着実に前に進む上では、非常にいいタイミングで出てきたと言えます。とにかく、学生たちは変体仮名を読み始めて、まだ半年ほどなのですから。
 このような例は、今後とも集めていこう、という確認をしました。

 一つの小さな課題が、こうして少しずつ広がっていきます。手元には「変体仮名翻字版」による正確な翻字データがあります。これまでは、このような信頼に足る資料が皆無でした。翻字と言えば、すべてが明治33年に言語統制として平仮名が1種類の文字に統一された、約50個の平仮名だけでこうした古写本が翻字されていたのです。字母の調査や研究はとにかく遅れていました。この「変体仮名翻字版」のデータを道標にして、一歩ずつ着実に進んでいくことを心がけるようにと、学生たちにはアドバイスをしています。

 とにかく、彼らはまだ大学の一回生です。
 先入観がないだけに、確かな一歩を踏み出せます。自分たちが発見したことを、1文字ずつ用例を拾い集める中で、確認し続けることが大事だと思います。牛歩の歩みで構わないのです。
 彼らの今後の進捗を、大いに楽しみにしています。

 参加なさっている社会人の方は80歳以上です。世代間のギャップがおもしろくて、自分たちの体験談を交えて楽しい話をしてくださいます。漫談や放談になって笑い転げながらも、しっかりと変体仮名は読み進めています。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■変体仮名
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