2018年01月20日

科研の研究会で1回生が臆せず研究発表をする【写真追補】

 朝早く上京。東京はいつ何があってもおかしくない都市なので、早め早めの行動を心がけています。

 新幹線に乗ってすぐ、いつものようにiPad をiPhone にテザリングによってウェブにつなげようとしました。しかし、なかなかつながりません。結局は新横浜あたりでつながりました。これは、今の日本で嘘のような本当のことです。

 昨日の高校の授業でも、iPad がiPhone につながりませんでした。結局は急遽iPhone をプロジェクタにつなげて、教室の黒板に映写しました。帰り道、梅田周辺ではつながりました。

 これまでも、接続までの待ち時間が遅いとは思っていました。しかし、新幹線の中での2時間以上も、iPad をネットにつなげて仕事ができなかったことは痛手です。仕方なく、途中からはiPhone の小さな画面で、目をこらしながら書類を4通ほど作りました。iPadが使えていたら、キーボードがあるので8通は出来たはずです。

 情報文具も、まだまだ完成度が低いままです。これは、これまでも縷縷書いてきた持論です。インフラ整備の問題なのです。この分野に携わる人材が思うように育たなかったため、技術力が停滞していると思われます。その典型が、地に墜ちたソニーです。情報大国日本にとって、このソニーの失速は大きな損失でした。ゲーム作りが社是ではないはずです。

 インターネットはもう限界なので、もうすでに進んでいると聞く、インターネットに代わる新たなコミュニケーションツールの実用化に期待しているところです。

 さて、本日の東京での研究会については、先日の本ブログで案内した通りです。

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 今日は、水道橋の会議室に集合しました。
 自己紹介の後は、今年度の活動と来年度の計画を、淺川さんと池野さんが担当して報告してくれました。

 その中で、新しくホームページを立ち上げることができなかったことに関して、私からその事情と経緯を補足説明しました。
 この科研Aが採択されたすぐの4月から、紹介を受けた業者とホームページに関する交渉をしました。8月までに公開できるような計画だったのに、試作版ができたのは9月でした。

 科研の協力者に試作版を見てもらい、私のブログでもそのデザインを公開しました。ただし、それは、教え子でデザイナーである塔下さんが作成してくれた、動くトップページではなくて、一枚の画像が貼り付けてあるものでした。業者の連絡では、もう少し待ってほしいと。

 しかし、その後は契約した業者から何も連絡がありません。あまりにも酷いので昨年末に解約の意思を伝えました。その会社の大阪におられる方に事情を説明しました。しかし、東京の本社の制作担当者からは、まったく音信不通です。

 本年度に活動した成果は、今日の研究会で報告した通り、さまざまなことがあります。しかし、それらを情報発信する母体が、あの業者の怠慢により叶っていないのです。その点では、甚大な損害を被っていると言えます。
しかもあろうことか、昨日、「今後のHP制作に関しましては、引き続き弊社にやらせていただきたいというところが社としての希望でございます。」というメールが来ました。これも東京の直接の担当者ではなくて、大阪で間に入っておられる方から伝言として届きました。人を愚弄するのも程があります。起業当初はあったはずの精神は、どこに吹っ飛んでしまったのでしょうか。

 これまで私は、相手の顔を見ながらお話をすることを原則として生きてきました。今回のことを、一通のメールで、しかも伝言の形で伝えるとは、私の基準で言えば非常識の一語に尽きます。言語道断です。騙された思いと、裏切られた思いの中で、悔しさが拭い切れません。

 こうした経緯と今の私の思いを、今日の研究会で報告しました。これについては、しかるべき所を通して、正式に抗議をするということで、今日のところは協力者のみなさまの了解を得ました。
こうした、人を無視した、完全にビジネスライクに割り切った企業の論理は、私には理解できません。しかるべき対処をして、今年の3月までにはホームページを通して成果が公開できるよう、巻き直しをすべく、鋭意取り組んでいきます。

 私の仕事にしては成果が見えないので、不審に思っておられる仲間も多いことかと思います。いえ、私がサボっているのではありません。とんでもない業者に引っかかり、みなさまにはその成果を見てもらうことができないのです。これまで、「海外源氏情報」(http://genjiito.org)を通して、膨大な量の成果をみなさまに活用していただいてきました。今回の新しい科研でも、それが続くことを楽しみにしておられた方々には、本当に申し訳なく思います。
こんな業者がこの業界にいるとは、思いもしませんでした。信用してしまったのです。自力で何とか挽回します。というよりも、次にお願いする会社の目処はたっていますので、もうしばらくお待ちください。

 そうした前置きを経て、本日の本題である研究発表となりました。

(1)最初は、大阪大学のモハンマド・モインウッディンさんの「インドにおける『源氏物語』の読みのパラダイム:ウルドゥー語の翻訳を通して@」でした。
 ウェイリー訳、フサイン訳、村上明香訳の違いから、インドの読者に伝わる訳はどうすべきかを、具体例を元にした発表でした。日本の文化や慣習がどう伝わっているか、という問題です。手堅い発表の中に、この科研でも研究協力者となっておられる村上さんの訳の批判もあったので、これはいつか2人に討論をしてもらいましょう。

(2)続いて、中国から遠路来ていただいた恵州学院(大学)の庄婕淳さんの発表タイトルは「中国における世界文学としての『源氏物語』−中国語訳の序を通じて−」です。
 10種類の中国語訳『源氏物語』の序文を比較検討し、中国の読者に伝えたい意図について考察するものでした。中国語訳の研究は、細かな訳の違いを論ずるものが多い中で、中国語訳を熟知した庄さんならではの、序文から見た違いに言及する、興味深いものでした。我々にとっては、細かな訳の違いよりも、こうした全体像を提示してもらう方がありがたいのです。

 プログラムの後半では、大阪観光大学の1回生の学生5名が研究発表をしました。
 いずれも、日頃から今回の科研の研究支援者として、日夜取り組んでいる一端を発表するものです。

(3)研究発表「翻訳書籍の展示報告」(池野陽香)
 この1年間で6回、日本文学の翻訳本を大阪観光大学の図書館で展示しました。
最初は私と淺川さんとで、これまでのノウハウを活かして基本的な展示スタイルを作りました。2回目からは、池野さんを中心とする学生たちが、苦心して展示をしました。今では、学生たちだけで主体的に展示ができるようになりました。現在、その時の解説文などを集めて、一冊の本にまとめる準備が進んでいます。今日は、その総括としての発表でした。

(4)研究発表「『源氏物語』ベトナム語訳し戻し」(松口果歩・松口莉歩)
 初めて取り組むことでもあり、着手して間もない現在の状況をありまままに報告し、今後の進むべき方向を問う、というものでした。研究方法について、先生方からは有益なアドバイスをいただきました。また、ベトナム語の単語の並び方については、早速検討すべきこととなりました。意欲的な挑戦だけに、今後が楽しみです。

(5)研究発表「橋本本における『は』と『ば』」(門宗一郎・田中良)
 提示した疑問に対して、それぞれの分野の専門家から的確な答えをいただけたのが収穫でした。平安時代には、濁音を表記する仮名文字はなかったとされているそうです。しかし、それは確かで大量の資料をもとにしてのものではないようです。私が提唱する「変体仮名翻字版」というものしか、現在のところは資料がないのですから、今後ともこのテーマは意外な事実が浮き彫りになるかもしれないという、期待を抱かせる発表となりました。

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 以上の内、(3)(4)(5)は、大学に入って1年にも満たない学生の発表です。去年の今頃は高校生でした。正しく言えば、これは報告なのかもしれません。しかし、彼らにとっては、初めてのテーマに取り組んで得たもの、気付いたこと、よくわからないことを発表することになったのです。先生方に聞いてもらい、今後の調査研究のためのアドバイスを受ける趣旨で参加した意義は、予想以上に大きいものでした。頼もしい学生が、こうして集って来ているのです。

 今回の科研は、若手を育成することも活動の柱の一つとして立てています。幸先の良いスタートとなりました。そして何よりも、この科研に研究協力してくださっている先生方が、この1回生たちを温かく見守ってくださることが伝わって来たことが、今日の一番の収穫でした。
 そして、ホームページの制作におけるとんでもない業者の話に無為な時間をかけるよりも、この学生たちの発表にもっと時間をかけたらよかった、とのお叱りを受けました。これも、ありがたいことだと、嬉しくうかがいました。

 その後、会場に隣接する懇親会場では、研究会の時には時間の都合でうかがえなかった佐久間先生の「何を研究しているか」ということについてうかがいました。羅刹国にまつわる、興味深い話をしてくださいました。
 この研究会では、懇親会といっても研究会の流れを受けての懇談会なのです。息抜きは許されないシビアな研究会なのです。

 稔り多い研究会となりました。これは、年2回実施しますので、次は大阪で6月頃となります。今日は13名が集いました。今後とも、少しずつ参加者が増えることを願っています。



posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ◎国際交流
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