2018年01月11日

熊取ゆうゆう大学:「若紫」を読む(その10)ひらがなの「天・弖・氐」

 熊取ゆうゆう大学で『源氏物語』の「若紫」を読む集まりも、今日が今年の第1回目です。参会者は7人。

 数行も進まないうちに、「て」の字母のことで立ち止まってしまいました。「天」と「弖」に加えて「氐」も検討することにしたからです。

 図書館にあった『くずし字字典』や『異体字字典』などを参考にしていると、いろいろな問題点が見つかりました。
 これまでにも、この「て」に関することは書いて来ました。「熊取ゆうゆう大学:「若紫」を読む(その9)「天」と「弖」の対処」(2017年12月14日)
 今日も問題となったので、中間報告として記します。

 『難字・異体字典』(有賀要延、国書刊行会、平成5年12月第7刷)に、次のような例があります。「弖」と「氐」の箇所を引きます。「夷」に下線が付いた文字は初めて見ました。いずれも「て」と読む文字のようです。

180111_itaiji.jpg

 『かな字典』(井茂圭洞、二玄社、1993年5月 四刷)には、次のような例があります。ここには、藤原定実の字を例に借ります。この字典には「て」の変体仮名として「弖」は採られていません。

180111_te.jpg

 字母の字形のどこに線引きをするのかは、実に悩ましいところです。

 ここで、「阿弖流為」(あてるい)の「弖」の意味を考えようとしたところで、もう夜となったので帰ることになりました。
 この勉強会には、地域の社会人と学部の1回生だけしかいません。丁寧に変体仮名を確認しながら見て行くので、遅々として進みません。しかし、素朴な疑問が新たな疑問を呼びます。ああでもないこうでもないと盛り上がるので、歓声が絶えません。

 帰途、研究仲間の王先生にこうした字典の資料をお見せして、漢字が持つ中国での意味を教えていただきました。
 「弖 = 互 = 氐」の3文字は、いずれも「互いに」という意味を持つ漢字だそうです。
 「弖」は「互」と同じく「hu」と読みます。「氐」は「di」と読み、始皇帝の頃の中国の少数民族の名前でもあり、星の名前でもあるようです。
 「夷」に下線が付いた文字は、野蛮とか他民族の意味を持つ漢字だとのことです。
 もっとも、これらのことは車中でいただいた教示なので、あらためて帰ってから調べて教えてくださることになりました。

 こうした断片的なことをつなげて、「て」の字母が持つ背景に初学者と立ち向かおうとしています。
 まだ彷徨っている状況にあります。それぞれの分野の専門家からのご教示を、心待ちにしています。
 
 
 
posted by genjiito at 22:08| Comment(0) | ■変体仮名
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。