2017年11月25日

[町家 de 源氏物語の写本を読む](第3回)の報告

 寒さが厳しくなりました。それでも、いつもどおり「be京都」(http://www.be-kyoto.jp/)での勉強会をしました。今日の参加者は4名でした。
 テキストとしている『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」』(伊藤編、新典社、2013年)を、3丁裏から5丁表まで読み進めました。今日の進行役は須藤圭氏(立命館大学)です。
 今日の一番の問題点となったことは、文字のなぞり書きについてでした。
 次の写真を見てください。問題となる箇所は、3丁表3行目の「徒可万つ里」(つかまつり)の「万」と、5行目の「さるへき」の「さ」という部分です。

171125_ma1.jpg

 3行目の「徒可万つ里」の「万」は、その前後の文字と墨の色と太さが違うことから、後の筆が加わっているのではないか、と思いました。もし文字がなぞられたものであれば、その下に書かれている文字は何でしょうか。その参考になるのが、5行目の「さ」です。つまり、最初に「徒可さつ里」と書いた後、「さ」ではないことに気づいた書写者は、それを「万」になぞったのではないか、ということです。

 その可能性を探っていると、本日最後に読んだ第5丁目表の8行目と9行目の行末に、次の例がありました。
 「佐万二」と「あ里さ」とあるところです。

171125_ma2.jpg

 ここは行末なので、何かと書写に問題が起きるところです。それは、糸罫という道具を使って書き写しているために、行末は下端の木枠のことが気にかかり、よく文字が歪んだり書写ミスが起こる場所だからです。それでも、この例から、「万」と「さ」は紛らわしい字形であることがわかります。

 前例の「万」について、「さ」をなぞって「万」にしたということは、想像ではなくて現実にありうるケースだと思われます。

 このハーバード大学に所蔵されている古写本『源氏物語』については、3回も現地に足を運んで写本を実見しました。ここについても、よく見て翻字したはずです。しかし、こうした例に出くわすと、少し自信が薄らいできました。
 機会があれば、ぜひともこの箇所を原本でもう一度確認したいと思っています。

 こんな調子で、のんびりと古写本『源氏物語』を読み進んでいます。

 次回は、12月16日(土)の10時から12時まで。
 場所はいつもの「be京都」(http://www.be-kyoto.jp/)です。
 定例の第4土曜日ではなく、また時間も午前中です。
 参加を予定しておられる方は、お気をつけください。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎NPO活動
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