2017年11月04日

日比谷の帝国ホテルでイバンカさんとは遭遇せず

 毎月1度、日比谷図書文化館で『源氏物語』を読むために上京しています。
 その途中でのこと。
 京都駅で新幹線を待っていたら、一人のおじさんがやってきて、ボストンバッグを点字ブロックの上に置き、どこかへ行ってしまいました。

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 なんと無神経な、と思いながらも、この荷物を手前に移動させるわけにも行きません。列車が到着する直前に来て、荷物はそのままにドアが開くのを待っておられました。こんな人と同じ車輌はいやだな、と思い、この方とはまったく別の離れた席に座りました。何か言おうものなら、逆ギレされるのがおちです。いやはや、困ったおやじさんです。

 日比谷図書文化館では14時半からの講座です。いつも、少し早めに有楽町に行き、ゆっくりと食事をします。私は、消化管を持たないので、1時間以上かけて食事をいただきます。食後は、途中で帝国ホテルのロビーで寛いでから、日比谷公園に向かうことにしています。

 今日は、昨日からイバンカさんが帝国ホテルに宿泊中とのことなので、ロビーが封鎖されていないかと恐る恐る自動ドアを開けました。いつもどおりに1階のロビーで、いつものイスに腰掛け、ノンビリと本を読むことができました。イバンカさんとの遭遇がないかと、チラチラ周りを見回しました。お巡りさんと警備員さんがいつもより多いだけで、これといった変化はありません。次第に人が増えてきたので、あまり長時間イスを独り占めしてはいけないので、この帝国ホテルのすぐ前の日比谷図書文化館に移動しました。角角にお巡りさんの姿がありました。

 古文書塾「てらこや」の講座では、今回から受講者が増えて、32名になりました。そして、新しく参加なさった方が、数名いらっしゃいます。また新鮮な気持ちで、700年前の古写本に取り組んでいきます。
 今日も、前半は文字にまつわるさまざまな話題を提示しました。
 来週11月12日(日)に源氏物語散策をすること、11月25日(土)には[町家 de 源氏物語の写本を読む]の第3回があること、などの連絡もしました。何と、すぐに6名の方が参加したいとおっしゃいました。地元の京都よりも東京の方が、源氏物語散策には興味があるようです。

 絵文字の一つとも言えるピクトグラムについても、いくつかの例を挙げて問題点を提示しました。このアイコンも、一つの絵に意味を持たせているので、漢字のような役割を担っています。新しい文字でもあるので、民間の各種業界などに任せきりにしないで、みんなで議論しながら決めていくべきものだと思います。

 橋本本「若紫」は、半丁ほど読み進めました。
 行末で文字が歪んでいる例や、丁代わりのところでなぞり書きがある例については、糸罫という道具を使っているからである、という説明をしました。これは、今回初めて参加なさった方が多かったので、写本の書かれ方についての基礎知識を意識してのものです。受講者の机上に置いている『源氏物語 千年のかがやき 立川移転記念 特別展示図録』(国文学研究資料館編、2008年10月、思文閣出版)を開いて、宮内庁書陵部が作成した檜製糸罫を一緒に見ながら、書き写された現場を想像してもらいました。

 講座が終わってからは、課外授業をしようというみなさんと一緒に、有楽町のビヤハウスに向かいました。

 途中、日比谷公園の中で、リポビタンDを無料で配っていたので、みんなで一本ずついただきました。

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 日頃からの疲労が、今や限界まで溜まりに溜まっている時期です。天の神様が、エネルギー補給という支援をしてくださっているのだと思って、一気に飲み干しました。今週は特に秒単位で仕事やイベントをこなしていたので、身心共に洗い流す嬉しいプレゼントとなりました。

 さて、9人で居酒屋に移り、橋本本「若紫」の現代語訳に取り掛かりました。先月の第1回を受けて、今日は4人の方が試訳を持参なさっていました。みなさん、文学とはまったく無縁だった方々です。この熱意には頭が下がります。
 前回に引き続き、「瘧病」をどう訳すか、ということから、早速熱のこもったやり取りが始まりました。素人だからということを標榜しながらも、実によく調べて来ておられるのには驚きました。
 とにかく、橋本本は誰もまだ読んでいません。というよりも、読めていません。現代語訳も、もちろんありません。一般に流布している大島本を参考にしながらも、所々で本文が違うので、いちいちその意味するところを確認することになります。
 特に、大島本が「うたてはべるを」とするところを、橋本本が「あやにくにはべるを」としている箇所は、いろいろな意見が出ました。これはもう、社会人教室の課外講座ではなくて、立派な研究会の雰囲気です。
 あまりにも異論百出なので、Tさんが今日の意見を取りまとめ、次回までにメールで流してくださることになりました。
 私が、「若紫」の最初には男の手が入っている、という問題提起をすると、これまた、男性陣は賛成で女性陣は反対と、おもしろいことになりました。
 私はもうこの春から研究者でも何でもないことを自認しているので、ただの源氏好きのおじさんとして気楽に意見を言うようにしています。論証も論争もすることはないので、楽しくみなさんの議論に参加しているのです。
 この課外講座は、これからがますます楽しみな集まりとなりました。
 有楽町に20時までいたので、みなさんにはお先に失礼する旨のお声がけをして、新幹線に急ぎました。

 京都駅は、冬らしい照明になっていました。

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 東京は京都よりも暖かでした。23時に京都駅に降り立つと、行き交う人の数は、東京の方が少なかったように思います。京都駅前の夜には、渋谷の賑わいがあります。
 最終のバスに乗っても、スーツケースを抱えた海外からの方々で混み合っています。これはこれで、すごいことになっているのです。もう、異変を通り越して、社会問題となってきています。
 観光立国はすばらしい国策です。しかし、インフラが整備されていないところに、溢れんばかりの旅行者が押し寄せた場合の混乱が発生しています。特に、そこで生活する者には、さまざまな犠牲が強いられています。これは、我慢すべき問題ではなくて、共生のためにも長い目で見た対策が早急に必要です。地元住人に不便さを押しつけず、快適な観光をしてもらえる街作りが求められます。まさに、観光学の領域ともいえます。その観光学が今はまだ未発達です。大阪観光大学に身を置く者として、観光都市の中でいろいろと考えるようになりました。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎源氏物語
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