2017年07月06日

翻訳本『源氏物語』のミニ展示・第三弾は《ヨーロッパ編》

 5月から始めた、『源氏物語』の翻訳本を中心とするミニ展示は、今回で3回目となります。本日、悪戦苦闘を楽しみながら、何とか観ていただける形にしました。
 体系だった展示にするため、第一回目に出品した本が数冊入っています。

 イタリア・フランス・ドイツ等、ヨーロッパの言語で翻訳された本を24冊並べました。

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 向かって左側の展示ケースには、スペイン語・イタリア語・ポルトガル語・フランス語・オランダ語の13冊を並べました。
 カラフルな表紙の本が多いので、これまで以上に明るく華やかな雰囲気になりました。

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 右側のケースの中には、ドイツ語を始めとして、左側のケースの国以外のもの11冊を並べました。

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 展示した本が、それぞれどこに位置する国で出版されたものかがわかるように、ヨーロッパの地図を横断幕の下に貼り付けています。

 今回も、展示した本の簡単な書誌を中心にした解説を、プリントにしてガラスケースの上に置きました。ご自由にお持ち帰りください。
 参考までに、以下に、そのテキストを引用します。

《世界中の言語に翻訳された『源氏物語』》

        ヨーロッパ編


              
             2017年7月5日(水)〜8月31日(木)
               於:大阪観光大学 図書館3階

 今回の特設コーナーでは、翻訳本『源氏物語』の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるような選書をしました。各国で『源氏物語』がどのように受容されているか、という視点でご覧いただけると幸いです。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
 アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・ オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロヴェニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語(インド)・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語

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☆ドイツ語


◯マキシミリアン・ミューラー・ヤブシュ訳(ドイツ語・1911年)
 表紙は皮製。扉絵はフランツ・クリストフによる、具足をつけた男性と、傘を持った女性の絵。末松謙澄訳の重訳。

◯ヘルベルト・E・ヘルリチュカ訳(ドイツ語・1995年)
 表紙は江戸時代の役者絵。ウェーリー訳の重訳。

◯オスカー・ベンル訳(ドイツ語・1992年) 
 翻訳者名をべーネルとする文献もある。第1巻の表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「宿木」巻で、今上帝と薫が碁を打つ場面。第2巻は、同巻で女房たちがその様子をうかがっている場面。底本は複数あるものの、古典からの翻訳。

☆フランス語


◯キク・ヤマタ訳(フランス語・1952年)
 表紙は文字のみ。ウェーリー訳の重訳。

◯ルネ・シフェール訳(フランス語・1985年)
 箱・表紙ともに『紫式部日記絵巻』の藤原斉信。本の表紙は背景が黒く、裏表紙には作品名のみ。ウェーリー訳の重訳。

☆イタリア語訳


◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・1992年)
 箱は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』の「宿木三」。本の表紙は、同絵巻の『源氏物語絵巻』「東屋二」。ウェーリー訳の重訳。

◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・1992年)
 第1巻の表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「東屋二」。第2巻は、同絵巻の「東屋一」。ウェーリー訳の重訳。

◯ピエロ・ヤイエル/ピア・フランチェスコ・パオリーニ訳(イタリア語・2002年)
 ヤイエルが「匂宮」〜「宿木」前半を、パオリーニが「宿木」後半〜「夢浮橋」を翻訳。表紙は、鳥居清長の『角田川月見船』。ウェーリー訳の重訳。

◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・2006年)
 表紙は、三代歌川豊国、歌川広重合作の『風流げんじ須磨』。ウェーリー訳の重訳。

◯マリア・テレーザ・オルシ訳(イタリア語・2012年)
 表紙と箱は『国宝源氏物語絵巻』「鈴虫」・「関屋」巻を、山口伊太郎が西陣織にしたもの。作品名は『源氏物語錦織絵巻』で、同氏の遺作。古典からの翻訳。

☆スペイン語


◯ハビエル・ロカ・フェレール訳(スペイン語・2005年/2006年)
 表紙のうち、第1巻は宮川春汀の『当世風俗通』のうち『さくらがり』(1897年)。版が異なるものの中には、バークコレクションの一つ、土佐光起『源氏物語画帖』「浮舟」もある。第2巻は、月岡芳年の『大日本史略図会 第八十代 安徳天皇』。平教経が源義経の舟を見つけて、組みかかろうとする場面。複数の外国語訳を参照。

◯ホルディ・フィブラ訳(スペイン語・2006年)
 第1巻の表紙はバーク・コレクションの一つ、土佐光起の『源氏物語画帖』「花宴」。2巻は「浮舟」。タイラー訳の重訳。

◯下野泉/イヴァン・アウグスト・ピント・ロマン訳(スペイン語・2013年)
 ペルーで出版された本。表紙は國學院大學蔵「久我家嫁入本『源氏物語』初音巻」。古典からの翻訳をしつつも、与謝野晶子の『全訳源氏物語』も参考にしている。

☆ポルトガル語


◯リヒア・マリェイロ/エリザベート・カーリ・レイア訳(ポルトガル語・2007年)
 表紙は立松脩がデザインした、首飾りをしている黒髪の女性の絵。底本は一つではなく、ルネ・シフェール、アーサー・ウェーリー、ハビエル・ロカフェレール訳等を参考にした。

◯カルロス・コレイア・モンテイロ・オリベイラ訳(ポルトガル語・2008年)
 第1巻の表紙は、月岡芳年『月百姿』のうち『忍岡月 玉淵斎』(1889年)、ハーバード大学美術館蔵の土佐光信『源氏物語画帖』「椎本」巻を題材に、どちらもカルロス・セザールがデザインしたもの。底本は一つではなく、ルネ・シフェール、アーサー・ウェーリー、ロイヤル・タイラー、ハビエル・ロカ・フェレール訳等を参考にした。

☆セルビア語


◯スレーテン・リリック訳(セルビア語・2003年)
 表紙は「初音」巻。ウェーリー訳の重訳。

☆クロアチア語


◯ニキツァ・ペトラク訳(2004年)
 表紙は五島美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「鈴虫」巻。夕霧が笛を吹いている場面。サイデンスティッカー訳の重訳。

☆チェコ語


◯カレル・フィアラ訳(チェコ語・2002年)
 表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「東屋二」。佐伯梅友校注『源氏物語購読』、ロイヤル・タイラー訳を参考にした。

☆リトアニア語


◯ダレ・シュバンバリーテ訳(リトアニア語・2006年)
 表紙は、黒地に日本庭園の写真。古典からの翻訳。

◯ダレ・シュバンバリーテ訳(リトアニア語・2011年)
 表紙は、写本の画像と平安時代の男女を描いた絵。古典からの翻訳。

☆スロヴェニア語


◯シルベスター・スカル訳(スロヴェニア語・1968年)
 表紙は、浮世絵(女性の絵)。ヘルリチュカ訳(ドイツ語)の重訳。

☆オランダ語


◯ヨス・フォス訳(オランダ語・2014年)
 表紙は、バーク・コレクションの一つ、土佐光起『源氏物語画帖』「花宴」巻。ウェーリー訳からの重訳。

☆フィンランド語


◯ツルネン・マルティ/カイ・ニエミネン訳(フィンランド語・1980年)
 マルティが本文、ニエミネンが和歌部分の翻訳を担当。表紙のカバーは『扇面法華経』、本の表紙にはSMの文字だけが書いてある。古典からの翻訳。

☆ハンガリー語


◯ホルバルト・ラースロー訳(ハンガリー語・2009年)
 第1巻の表紙はインディアナ大学美術館蔵『源氏物語図屏風』「若紫」、第2巻はフリーア美術館蔵の土佐光吉『若菜・帚木図屏風』のうち「若菜上」、第3巻は京都国立博物館蔵の伝土佐光元『源氏物語図』「蜻蛉」。サイデンスティッカー訳の重訳。


 このミニ展示の第3弾は、8月末までの2ヶ月間にわたって行います。9月からは、英語で翻訳されている『源氏物語』を並べます。

 今後も、月替わりで翻訳本を展示します。毎回、なかなか見る機会の少ない本を、こうして公開します。
 ご質問やお問い合わせには、可能な限り現状を確認して、お答えしています。
 大阪の南部にある大阪観光大学に、珍しい翻訳本との出会いを楽しみにして、一度足をお運びください。お待ちしています。
 
 
 
posted by genjiito at 21:55| Comment(0) | ◎国際交流
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