2017年06月24日

充実した第6回池田亀鑑賞授賞式

 予報では雨とのことでした。しかし、爽やかに晴れ上がったお祝いの佳日となりました。

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 午前中は、いつも通り、池田亀鑑文学碑を守る会の事務局長をなさっている久代安敏さんに、車で町内の案内をしていただきました。池田亀鑑の生誕の地、井上靖の野分の館、松本清張の顕彰碑などです。

 午後から、第6回池田亀鑑賞の授賞式です。

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 本年度は、本橋裕美さんの『斎宮の文学史』(翰林書房)が受賞しました。

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 池田亀鑑文学碑を守る会の会長である加藤輝和氏のご挨拶から始まりました。

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 続いて、本橋さんに加藤会長から賞状と賞金が手渡されました。

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 それを受けて、私がご挨拶と選考経過および選考理由をお話しました。

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 用意していた原稿を引きます。

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挨 拶


 池田亀鑑賞の選考委員長をしている伊藤鉄也です。
 今回の受賞者である本橋裕美さん、受賞おめでとうございます。

 本日は、池田亀鑑賞選考委員会の会長である伊井春樹先生が所用でお越しいただけませんでした。そこで、私が挨拶を兼ねて、受賞作の紹介と選定理由についてお話いたします。

 この池田亀鑑賞も、回を重ねて第6回となりました。
 昨日の夕刻に、旧日南町立石見東小学校の敷地に立つ、池田亀鑑の文学碑に連れて行っていただきました。
 碑文の『学才にあらず 閥派にあらず たゞ至誠にあり』は、私にとっては想い出深いことばです。
 あの碑文の右横にある立派な石に刻まれた顕彰碑が建てられてのは、平成21年11月です。
 インターネットで公開している私のブログに、久代さんから顕彰碑が新たになったことを教えていただきました。翌12月に、飛ぶようにして私はこの地日南町に足を運び、足羽隆先生に町内を案内していただき、幸運にも久代さんと出会えたことがきっかけとなり、この町とのお付き合いが始まりました。

 それから2年の準備期間を経て、池田亀鑑賞の創設に漕ぎ着け、『もっと知りたい 池田亀鑑と『源氏物語』』を刊行し、第1回池田亀鑑賞の授賞式は平成23年(2011年)5月2日に挙行されました。そして今回が第6回です。これまでを振り返っても、感慨深いものがあります。

 今回も、すばらしい成果を池田亀鑑賞の受賞作として選定することができました。
 受賞者の本橋さんは、お手元の資料にあるとおり、コツコツと研鑽を積み重ね、今回のご著書のような成果をまとめられました。これからが大いに楽しみな、若手の研究者です。
 この受賞を契機として、ますます活躍されることでしょう。

 さて、今回の〈受賞作の紹介と選定理由〉について報告します。

 池田亀鑑賞の選考方法については、これまでと同じです。

・選考対象は、『源氏物語』をはじめとする平安文学に関する研究論文や資料整理及び資料紹介
・平成29年3月31日までに応募のあった著作と書類(今回は6点)
・今後の平安文学研究の励みとなるような研究及び成果物
・評価対象は、応募にあたって提出された著作と応募文書
・評価点を付けるにあたっては、設定された4項目につき5点満点で評価する
  (A)地道な努力の成果
  (B)研究の基礎を構築
  (C)研究の発展に寄与
  (D)成果が顕著な功績
・公平を期すために、事務局である新典社は選考会に関わらない。

選 評



 今回の本橋さんの受賞作は、斎宮を視点として幅広く物語文学を辿り、物語の分析を通して斎宮の生き方や思想を明らかにしようとしたものです。平安時代から中世後期に至る、主として物語文学に登場する斎宮像を丹念に考察したものです。
 文学史における斎宮の役割や位置づけとその変遷を明らかにした研究なのです。これまで歴史学や宗教学の研究者がおこなってきた斎宮の通時的な研究を、本橋さんは文学研究の観点から精緻に行った点で意義深いものです。
 斎宮という制度や人物が「文学史」として貫き通されており、研究手法は手堅く全体としてもよくまとまっています。
 中世王朝物語を射程に収めている点も、先行論からの発展として評価されました。

 若手の意欲的な研究成果として評価したいということで、この作品を受賞作とすることになりました。作品本文を解釈する力と歴史を見つめるバランスの良さがあります。
 今後の活躍がさらに期待できる著作となっています。

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 そして、選考委員会のメンバーの自己紹介です。
 以下、順に、池田先生、小川先生、妹尾先生です。
 この会も6回目なので、みなさん我々委員の顔も覚えていただいているようです。

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 次は、来賓紹介の後、増原町長から祝辞がありました。

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 ネットで「池田亀鑑賞」を検索すると、だいたい三番目から四番目に表示されることなどから、さらにこの賞が広く知られるようにしたいとの決意を述べられました。

 本日の中心となる授賞者の記念講演は、「斎宮という女性 『源氏物語』が描く、とある皇女の物語」と題するものでした。参集した60名の聴衆の興味を斎宮に惹きつける、すばらしいものでした。

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 質疑応答では、オオタノヒメミコとオオクノヒメミに関することや、斎宮は一人だけでいいか等々、非常に詳しい質問なども出ました。それに懇切丁寧に答えておられる本橋さんの姿が印象的でした。

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 休憩時には、会場に並べられた本などを自由に見たり、壁に貼られたこれまでの池田亀鑑賞に関する写真などを見ました。

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 休憩後には、原豊二氏の講演「文学碑『たゞ至誠にあり』」です。山本嘉将という人をめぐって、碑文の背景を語ってくださいました。

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 この会を実質的に運営しておられる、「池田亀鑑文学碑を守る会」の事務局長である久代安敏さんも、日南町の話になると一家言を披露なさいます。

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 最後は、私が「鎌倉時代の『源氏物語』古写本「若紫」巻を読み、池田亀鑑を追体験する」と題して、みなさんと一緒に国文学研究資料館所蔵の写本を変体仮名に注意しながら少し読みました。

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 閉会の辞は、石見まちづくり協議会の吉澤晴美会長の心のこもった謝辞でした。

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 その後、恒例の関係者による全員集合写真を撮ったあとは、池田亀鑑の文学碑の前で全員で記念写真を撮りました。

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 夜は、ふるさと日南邑で懇親会で盛り上がりました。町のみなさまの温かい気持ちが伝わる、和やかな祝宴です。
 関係者のみなさま、ごくろうさまでした、そして、ありがとうございました。

 次回、第7回池田亀鑑賞の授賞式が、今から楽しみです。
 また、日南町でお目にかかりましょう。
 
 
 
posted by genjiito at 23:55| Comment(0) | □池田亀鑑
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