2017年05月11日

初めて写本を読む学生との記録

 大阪観光大学で授業の後、課外でも勉強しようということで、学生と一緒に『源氏物語』の写本を読み出しました。今日が第1回目です。

 バタバタと用務が入ったので、実質的には45分ほどでした。今日来た第1回生の学生は、古典に興味があるだけで、これまでに墨で書かれた文字は読んだことがないとのことです。
 テキストは、鎌倉時代に書き写された『国文学研究資料館蔵 橋本本『源氏物語』「若紫」』を使うことにしました。

 場所は、大きな柱時計のある玄関の待ち合いロビーの一角。簡単なイスに座って、膝にテキストを置いての、2人だけでのささやかな勉強会です。1対1の真剣勝負なのです。少し薄暗かったので、事務の方がスポットライトを点けてくださいました。

 その習得の様子を、以下に記し留めておきます。

 冒頭部分「わら八や三尓」と始まる所で、「八」や「三」を「は」や「み」と同じように平仮名として読むことに、大いに違和感を持ったようです。

170511_1omote.jpg

 そして、続く「王つらひ」の「王」を「WA」と読むことで、最初のカルチャーショック……
 さらに、「堂まひて」の「堂」が「TA」となると、もうお手上げだとのこと。

170511_boutou.jpg

 変体仮名の一覧表を見ながら、「王」や「堂」の文字が崩れていくステップを、一緒に確認しながら進めました。

 なお、「く」によく似た「て」の字母は、iPhoneを取り出してブログ「平仮名「て」の字母に関する資料を検討中」(2017年05月08日)を見てもらい、私にはまだよくわからない文字だ、ということを説明しました。

 続く「よろ(改行)徒尓」では、「徒」でストップ。しかし、これも変体仮名一覧表を見比べながら、「つ」の元の漢字は「川」、それに加えて「徒」という変体仮名「TU」の2種類だけを覚えたらいい、と言うと、ホッと一息ついていました。

 さらには「ま新な井可ちなと」の「新」が平仮名の「SI」だと知り、変体仮名の渾沌とした世界に引き込まれて行くことになります。

 こんな調子で40分も読んでいると、目が慣れてきたようです。開巻第1丁オモテの10行分を、無事に読み終えることが出来ました。

 読めるようになりたい、という気持ちが集中力を高めて良かったのでしょう。とにかく、初日なりに達成感はあったと思います。

 1人の学生との出会いをきっかけにして、少しずつ写本を読む輪を、この大学でも広げていきたいと思います。
 
 
 

posted by genjiito at 21:11| Comment(0) | ■変体仮名
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