2016年07月16日

お香体験の後にカルタが飛ぶ「点字付百人一首 〜百星の会」

 先日お知らせした通り新宿区社会福祉協議会で、「点字付百人一首 〜百星の会」が主催する「香りのワークショップ&かるた会」が盛会の内に開催されました。60名が集う、賑やかで和やかな中にも熱気溢れる会でした。


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 会場に入るなり、運営しておられる関場さんから新しい道具を見せていただきました。「視覚障害者用(音声ペン i-Pen)」というものです。


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 これは、まず音声を録音してドットシールというものを作成します。そして、それをカルタに貼って、そのシールを i-Pen でなぞると、録音した音声がスピーカーから流れる、というものです。これは、『百人一首』を覚えたり、どのカルタがどこに並んでいるかを知るのに重宝します。

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 私はすぐに、『源氏物語』の写本を立体コピーで触読する時に、手助けしてくれる道具として活用できることに思い至りました。障害者でなくても1万円ほどで入手できるそうなので、後日手に入れ次第に実験してみます。

 さて、お香のワークショップの前に、百星の会の有志によって、本日のテーマであるお香の名手藤原公任の理解を深める寸劇が披露されました。点字の台本やブレイルメモなどを手にしての熱演でした。
 完成度が高いものだったので、これは全国公演ができます。関係者のみなさま、実現に向けて検討してください。

 田中圭子さんの薫物のワークショップは、その語りの当意即妙と言うべき軽妙さもあって、みなさんも興味を深めておられました。質問も多く、関心を抱かれたことがよくわかりました。
 事前に公開した難しい説明は、以下の記事にゆずります。

「「点字付き百人一首」とお香のワークショップのご案内」(2016年07月14日)

 また、田中さんの研究内容は、ご著書『薫集類抄の研究』(三弥井書店)をお目通しいただければさらに理解が深まると思います。


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 福島県立盲学校の渡邊寛子さんが、田中さんのアシスタントをしてくださいました。
 田中さんは広島県から、渡邊さんは福島県からと、北と西から遠来のお客人も集っての、これ以上にないすばらしいパフォーマンスが展開したのです。

 各テーブルに配られた「紅梅」「黒方」「梅花」の粉末を嗅ぎ、それぞれの香りの違いを体験しました。


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 私は、妻と共立女子大学の尾崎さんと一緒に参加しました。今日はお客人として大いに楽しませていただきました。
 また、日比谷図書文化館で翻字者育成講座に参加なさっている方も参加なさっていました。以前、デージー教材の仕事をしていたとのことで、意外なつながりに嬉しくなりました。

 実際にお香に蜜を混ぜたものを練って、正露丸のような玉を各自が作りました。自分の手で黒い玉を丸めたことの感動が忘れられない、と後でみなさんがおっしゃっていました。目が見えないからこそ、なおさらのことだったようです。

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 そして、丸めた練り香を実際に焚くことで、また違う香りの世界に誘われました。


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 すばらしい感動的な時間を、みなさんと共有できたことは、参加者全員がすばらしい思い出となったようです。田中さん、すばらしいパフォーマンスをありがとうございました。

 引き続き、「点字付百人一首」によるカルタ取りとなりました。
 今回は、本邦初となる新開発の「決まり字相対台」と「ちはやふる台」という、まだ仮称ながらも画期的なカルタ取りの手法が試行されました。

 次の写真は、左上がこれまでの点字付きのカルタです。そして右下が「決まり字相対台」と呼ぼうとなさっているものです。これは、弱視の方や前出の「視覚障害者用(音声ペン iPen)」を活用した対戦を想定してのものです。
 カルタには、大きな文字で『百人一首』の決まり字までの数文字が書かれており、それに対応する点字が貼り付けられています。


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 さらに「ちはやふる台」というのは、上級者がカルタを飛ばすことを想定してのものです。映画「ちはやふる」が大いに影響しています。
 今日は、2人の達人が対戦し、みごとにカルタを左右に飛ばして取っておられました。その迫力たるや、本当に目が見えないのかと不思議に思うほどの早業でした。

 次の写真は順に、(1)男性が手前の札を取るところ、(2)女性が瞬きをする間もなくカルタを飛ばすところ、(3)同時に手を飛ばしたところです。

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 (3)の同時に手が飛んでいる勝負は、女性の方の勝ちでした。早さから言えば男性の方が早かったのです。しかし、距離を勘違いされ、1段下の札を飛ばされたのです。女性は正確に正しい札を飛ばしておられます。
 目にもとまらぬ早業とは、まさにこのことをいうのです。しかも、全盲の方が……

 後で上級者は、本当に札が飛んでいるのか不安で、何回も机を叩いたとおっしゃっていました。しかし、実際には特別な布が敷かれているので、強く叩くと逆に飛ばないのです。優しく飛ばす、という高度な技術が求められる上級者の試合でした。

 今回は、全日本かるた協会の松川英夫会長(永世名人)が会場にお越しになっていて、最後にあいさつをなさいました。

 さまざまな方々のご理解とご協力の中で、この「点字付百人一首」が続いています。百星の会の運営をなさっている関場さん、ますますの盛会となることをお祈りしています。私も、今後ともお手伝いをさせていただきます。
 参加される人数が増えると、さらに楽しいことができるのでうれしくなります。
 大いに盛り上げていきましょう。
 8月末の栃木県での夏季合宿も、多くの方に声掛けをしてみます。
posted by genjiito at 23:56| Comment(2) | 古典文学
この記事へのコメント
楽しい会にお誘いくださり
本当にありがとうございました。
薫物をあんなに喜んでいただけて
こちらこそ感激です!
合宿のご盛会をお祈りします。
Posted by 田中圭子 at 2016年07月19日 19:54
お香に『点字百人一首』は、いい取り合わせでした。
楽しい時間をありがとうございました。
また、こんな楽しい企画を実現しましょう。
また手助けを、よろしくお願いします。
Posted by genjiito at 2016年07月19日 21:44
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