2016年10月01日

第5回池田亀鑑賞授賞式と講演会

 昨年は、開式前まで降っていた雨が、午後にはすっかり上がりました。
 今日も、朝方からの小雨が、昼前には止み、さわやかな秋の一日となりました。


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 この日南町の位置を示す地図を掲載します。
 赤丸のところを確認してください。


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 第5回池田亀鑑賞授賞式と講演会も、多くの方の参加を得て、盛大に執り行なわれました。
 今年は、池田亀鑑の生誕120年、没後60年、そして池田亀鑑賞の第5回目となります。


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 池田亀鑑賞の授賞式の司会進行は、今年も日南町図書館の浅田幸栄さんです。
 池田亀鑑文学碑を守る会の加藤和輝会長の挨拶で始まりました。


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 加藤会長から、受賞者である畠山大二郎さんに賞状と賞金が渡されます。


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 続いて、池田亀鑑賞選考委員会を代表して伊井春樹会長の挨拶です。


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 それを受けて、池田亀鑑賞選考委員長として私が、選考過程と選定理由などの説明をしました。


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 時間の都合で用意した内容の半分もお話できませんでした。お話しようと思っていたことの概要を、以下に引きます。


第五回 池田亀鑑賞受賞作の紹介と選考理由(伊藤鉄也)

 今年は、池田亀鑑の生誕一二〇年、没後六〇年、そして池田亀鑑賞の第五回目となります。

 第五回池田亀鑑賞は、畠山大二郎氏に授与されることとなりました。
 選考委員長として、受賞作の紹介と選考過程及び授賞理由を報告します。

 第五回池田亀鑑賞の選考委員会は、本年五月一四日(土)午後二時より、これまで同様に伊井春樹先生のご高配をいただき、逸翁美術館に隣接する池田文庫で開催いたしました。
 応募作五点の選考にあたり、これも昨年までと同様に基礎資料をもとにして委員全員で討議して決定しました。

 各選考委員の選評については、応募作各点につき200字以内でまとめて、5点満点の評価点と共に伊藤まで送付していただきました。他の委員には同送・転送はしないという申し合わせです。
 なお、会長である伊井春樹先生には、前回同様に評価点および選評はお願いしていません。選考会当日、ご意見を伺いました。

・選考対象は、『源氏物語』を中心とする平安文学に関する研究論文や資料整理及び資料紹介とする。
・平成28年3月31日までに応募のあった著作と書類(今回は5点)。
・今後の『源氏物語』および平安文学研究の励みとなるような研究及び成果物を選考する。
 (今回は平安文学の研究に資する所大なるものとして高く評価された著作物)
・なお、公平を期すために、事務局である新典社は選考会に関わらない。

 評価点をつけるに当たっては、次の4項目を設定し、それぞれに5点満点で評価していただき、その点数のすべてを見ながら選考を進めていきました。

(1)地道な努力の成果
(2)研究の基礎を構築
(3)研究の発展に寄与
(4)成果が顕著な功績

 その結果、全会一致で畠山大二郎氏の作品『平安朝の文学と装束』を受賞作と決定しました。

 本書は、平安朝文学における服飾・装束に焦点をしぼり、その文化史的意義を明らかにしようとするものです。絵画資料や遺品等を視野に入れ、隣接領域の研究成果も踏まえつつ各論が展開されています。
 平安朝の物語文学において、読解と復元という立体的な文学理解の試みと提示は、特に斬新ではありません。しかし、既成の有職故実の知識に頼らず、装束の実態から実感実証の読解へと展開する論考からは、新鮮で多くの刺激を受けました。
 とりわけ小袿など実際の装束の復元は、文学研究はもちろん、文化、歴史といった方面の研究にも今後寄与することが想定される点で、高く評価できるものです。

 本書は、目の前に平安朝の物語世界を彷彿とさせます。しかし、あまり褒めすぎてもいけないので、今後の畠山大二郎氏のためにも、気になったことも触れておきます。

 装束の理解を援用しての読解においては、別解も存する危うさも内在しています。まったく逆の論が成り立つのではないかと思われる場合もあるからです。
 著者の独自性がよく見られる一方で、「従来の文学研究からはやや距離のある、マニアック文化論に陥る危険性もないわけではなく、今後の著者の動向を見守っていきたい。」という意見も、委員からは出されました。

 そうであっても、その志が向かうところには、先人のなし得なかった若さを感じました。
 多くの写真と図版に加えて、添付の織物を触って実感させる心配りには、理解を得ようとする誠意が伝わって来ます。
 総合的に見て、完成度の高い作品であることに間違いはありません。
 地道な実践を踏まえた成果を挙げたものとして、池田亀鑑賞にふさわしい著作物として選定しました。

 本賞の受賞を機に、畠山大二郎氏のますますのご活躍を楽しみにしたいと思います。
 本日は、おめでとうございました。


 選考委員の紹介を簡単にして、続いて、来賓挨拶です。
 日南町の増原聡町長から祝辞をいただきました。


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 第1部は、受賞者である畠山大二郎さんの記念講演です。
 今回は、「『源氏物語』を着る」として、自己紹介と研究テーマについての概略を語った後、着装の実演となります。
 モデルは、増原町長と惠比奈礼子町議会議員です。

 まず、男性用として直衣姿の着装です。
 わかりやすい説明とともに、手際よい着付けが目の前に展開し、貴族が着ていた服装の実態がよくわかりました。

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 続いて、女性の袿姿です。
 時間の都合もあり、羽織るところを中心にしたものでした。
 とにかく畠山さんの巧みな話しぶりに、つい引き込まれていきます。

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 みごとな着装のあとは、桧扇の話で会場を和やかにしてもらえました。


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 第2部は、小川陽子さんの「小説家池田亀鑑と山陰」と題する記念講演です。
 大正から昭和にかけて小説を書いた国文学者を、わかりやすく優しい口調で語ってもらえました。
 米子など鳥取県や島根県とのつながりを例としながら、会場の皆様は地元の話に興味津々で耳を傾けておられました。とにかく、池田亀鑑が小説を書いていたことに、会場のみなさまは驚いておられました。


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 質疑応答も歯切れのいいことばの応酬で、この日学んだことの再確認となりました。


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 最後は、石見まちづくり協議会の吉澤晴美会長より閉会の辞をいただきました。
 今回の参加者も70名と、いつものように多くの方々が足を運んでくださいました。ありがたいことです。
 閉会後の関係者による記念撮影も、いつものように和やかなうちにシャッターが切られました。


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 終了後は、恒例となっている池田亀鑑文学碑のある石見東小学校の校庭横へ行き、関係者で記念撮影をしました。

 ふるさと日南邑での懇親会には広島大学の学生さんも参加され、楽しい親睦の集いとなりました。さらに、三味線の演奏も入りました。曲目は「夕顔」。『源氏物語』に関係するものだったので大いに盛り上がりました。


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 懇親の場でいろいろな話が飛び交う中で、続きはロッジに場所を変えて、ということで、外へ出て森の中のロッジに移りました。しかも、日付が変わるまで話に花が咲いたのですから、これも、授賞式と講演会がよかったからこその、満足感の共有をしたかったからだと思います。特に、今後の会の持ち方がメインテーマとなったことは、さらなる展開が期待できる手応えがあったからだといえるでしょう。
 来年の集まりが、また楽しみになりました。

 引き続き、私は『花を折る』の後編を収録する『もっと知りたい 池田亀鑑と『源氏物語』 第4集』の編集にかかります。関係者のみなさまのご協力を、よろしくお願いします。
posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | □池田亀鑑
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