2016年06月14日

藤田宜永通読(28)藤田宜永『呪いの鈴殺人事件』

 藤田宜永の『呪いの鈴殺人事件』(光文社文庫、2001年8月)は、1988年に刊行された『怨霊症候群』(中央公論社Cノベルス)を、13年後に改題して再刊したものです。


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 著者自身が「文庫版に際して」で、「ハードボイルドから出発し、今は恋愛小説ばかり書いている僕の、唯一のナンセンス・ホラーです。」(306頁)と言う作品です。

 奇想天外な話が展開します。著者が真剣に取り組んだと言う通り、おもしろおかしく楽しみながら物語っていることがわかります。

 妖術師と称する大方総八郎(別名おおかたそうやろう)が、惚けたいい味を出しています。

 病院で起こる、怨霊や呪いにまつわる殺人事件が、この物語を突き動かしていきます。主人公である横島誠は、そこの院長なのです。頼りないことこの上ないのですが……

 ナンセンス物であり、ユーモア物なので、無粋なコメントを書くことは控えましょう。

 本作は、ノリのいい軽妙な作品です。陰陽師をはじめとして、日本の歴史を取り込むのも、味付けとしていいと思いました。

 藤田宜永の恋愛物は、読むに堪えないものの勢ぞろいなのでいただけません。得意のハードボイルド物に加えて、ぜひとも今後は、このようなナンセンス物にもっと挑戦してほしい、と思うようになりました。【3】
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | □藤田通読
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