2016年05月25日

【復元】イラクの文学者との面談

 10年ほど前に、情報を発信していたプロバイダのサーバがクラッシュしました。
 そのたために、読めない状態になっていた記事の復元を試みています。
 
(※本記事は、平成19年3月に消失したブログの復元です。)
 
********************** 以下、復元掲載 **********************
 
2006年7月23日公開分
 
副題「可能なことを身近なところから」
 
 イラク人ニュースキャスターと、親しくお話をする機会を得ました。
 昼食を入れて、たっぷりと4時間も面談しました。夕刻からはテレビ神奈川に生出演するとのことで、タクシーで飛んで行かれました。

 そのH氏は、イラクのムサンナ県唯一のTV局であるムサンナTV局で、ニュース・プロデューサー兼キャスターを努めておられる方です。
 昨年までは、地元紙である「サマーワ」の編集部長であったと聞くと、私にも自衛隊派遣の地との関連から、少しイメージがわいてきました。
 H氏は、現在も日本の共同通信を始めとする外国の通信社・新聞社の現地特派員を務めるなど、ジャーナリストとしても定評があります。

 そんな人と、一体なぜ私が会うことになったのかと言うと、文学とのつながりからでした。
 H氏は、詩作を中心に長年文学活動に携わってこられ、ムサンナ県文学者・作家連盟の創設者の一人で、現在はその会長でもあります。今回は、日本文学の歴史や現状について知りたいということで、国際交流基金がその間に入ってくださったものです。私からの質問にも、たくさん答えていただきました。

 お話は、間に同時通訳の方を入れて進みました。私が、昨年エジプトに、一昨年はトルコへ行っており、インドとの交流も深いということが、お互いの距離を縮めたように思います。

 「詩」ということばがよく出ました。日本で言えば「歌」に近い意味で使われていると理解しました。文学の中の宗教については、インド、エジプト、トルコでの現地体験があったので、違和感なく聞くことができました。この壁は、日本だけの基準で文学を考えていると、どうしても立ちはだかるものです。

 それにしても、階級と地域による文字の使い分けには、文化の普及の障害となりかねないことを痛感しました。同じアラビア語でも、地域によって違うとのことでした。インドにおいても、多くの方言とでもいうべき各種言語が今も使われていることに思い及びました。言語芸術が享受される範囲というものに、改めて目がいきました。

 詩人であるH氏は、コーランなどを例にして、ことばの美しさを大事にしておられることが、よく伝わってきました。また、イラクの文化のすばらしさに自信を持っておられました。ただ、それが世界中の人々に正しく理解してもらえないことに対して、何とかしたいという熱意も感じられました。

 イラクでは、外国語を勉強する学校はあります。しかし、日本語・日本文学は設けられていないそうです。なんとかしたいとのこと。大学の中に、日本語学科を開設するところからスタートすべきでしょう。街の日本語会話学校でもいいのです。しかし、やはり大学を舞台にして展開しないと、根付かないように思われます。日本の文化について興味を持っておられる方がいらっしゃるというのなら、日本としても何か提言をすべきではないでしょうか。私にできることもあるようなので、少しずつ動いてみようかと思います。
 まずは、理解者や協力者を得ないと、どうしようもありませんが。

 イラクの方々は、ことばに込められた美に敏感なようです。日本も、言霊(ことだま)というものを大事にしてきました。この、ことばに対する感覚を共有するところから、文化交流のスタートが切れるように思いました。

 国際的な交流は、経済や科学技術が特段に注目されています。しかし、このように、文化レベルでの交流ならば、私にも可能なのです。目に見えての成果は確認しにくいと思います。しかし、根気強く続ければ、幅広い交流につながっていくはずです。

 国際文化交流には、もっともっと国が援助の手を差し伸べるべきです。今こそ、人文科学分野への補助金を増やすべきです。大幅に削減するのではなくて、とにかく再検討すべき時期だと思います。
 
********************** 以上、復元掲載 **********************
posted by genjiito at 22:55| Comment(0) | ◎国際交流
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