2016年04月17日

『源氏物語』を書写する際の現代風の料紙加工の一例

 昨日に引き続き、銀座4丁目の鳩居堂で開催されている宮川保子さんの書道展に、今日も脚を運びました。今日が最終日だったことと、いくつかお尋ねしたいことがあったからです。

 私のブログをお読みくださっている方から、宮川さんの料紙加工についていくつか質問がありました。そこで、厚かましくも説明と写真撮影をお願いしたところ、快諾をいただけました。展観者の対応でお忙しい中を、少し手の空いた時に撮影をさせていただけたのです。

 ここでは、版木を用いた型押しの例をあげます。

 まず、「手習」の場合。
 本文を書写する前の仮綴じされた用紙には、すでに絵柄が摺られています。


160417_paper1




 ここに『源氏物語』の本文が書写されると、次のようになります。
 新写本の右横に、ここで用いられた版木を並べました。


160417_paper3




 全体の様子もあげます。
 版木の左端の絵が、見開き右側に摺られているのです。


160417_paper2




 次に、「浮舟」の場合です。
 同じ版木の右半分を用いて絵柄が摺られています。


160417_paper5




 これも、全体をあげます。
 見開き左側に摺られています。


160417_paper4





 『源氏物語』を書写するにあたり、料紙の調達と加工に始まり、実に多岐にわたる制作手順があることがわかりました。宮川さんは、それをすべてお1人でなさっているのです。

 平安時代から鎌倉時代に古写本がどのようにして書写されてきたのか、どのような過程を経て制作されたのか等々、こうした例を拝見すると、おのずと想いは千年前に誘われます。

 今回は、書を拝見するとともに、その背景に興味を持ちました。
 まずは見る。そして聞く。さらには触ることもできました。

 宮川さんは、『源氏物語』の全帖の書写を目指しておられます。
 ただし、新潮古典集成という、活字の校訂本文を底本にして書写しておられることが、お目にかかって以来ずっと気になっていることです。
 昨日も今日も、押しつけがましくならないように、また呟いてしまいました。ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』の「須磨」と「蜻蛉」、そして国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」の模本を作成しませんか、と水を向けました。三兄弟の模本を、若者に見てもらい触ってもらいましょう、と囁きました。
 どのように受け取っていただけるのか、まだよくわかりません。
 それはともかく、ますますの活躍を楽しみにしています。

 帰りがけに、連絡をとろうと思っていた大東文化大学の城弘一(竹苞)先生が、ちょうど会場にお越しになりました。
 久しぶりにお目にかかり、少しソファーに座ってお話ができました。
 いろいろとお願いごとやご相談ができ、今日もいい出会いと収穫の多い一日となりました。
 みなさまに感謝いたします。
posted by genjiito at 22:18| Comment(0) | ■変体仮名
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