2015年11月10日

理科系の先生方に古写本の触読研究の現状についてお話する

 愛知県岡崎市にある東岡崎駅前は、曇天ということもあり木々の発色はこれからという感じです。


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 総合研究大学院大学の研究プロジェクト第10回企画会議に参加しました。
 学融合推進センターでは、異分野連繋型の課題の創出を目指して取り組み中です。

 今回の会場は、東岡崎駅からすぐのところにある、自然科学研究機構 分子科学研究所でした。


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 以下に、プログラムをあげます。


・開催挨拶
  総合研究大学院大学 学長 岡田泰伸
・参加者による自己紹介
・「電子スピン共鳴(ESR)で何が分かるのか? -物理,化学,材料,生体,医療,食品,年代計測...-」
   機能分子科学専攻 准教授 中村敏和
・「炭水化物食と脂肪食の選択行動に関わるニューロンの発見とその制御機 構に関する研究」
   生理科学専攻 教授 箕越靖彦
・分子科学研究所内 見学
   機能分子科学専攻 准教授 繁政 英治
・「視覚障害者が鎌倉時代の写本『源氏物語』を指で読む」
   日本文学研究専攻 教授 伊藤鉄也
・「総合教育科目『大統合自然史(仮称)』の紹介」
   学融合推進センター 特任教授 鎌田進
・「研究ノートプロジェクトの現状と今後について」
   遺伝学専攻 准教授 木村暁/学融合推進センター 助教 小松睦美
・総合討論 ・意見交換会


 まさに、異分野の先生方の中に自分が置かれていることを実感します。
 しかし、先生方の話の内容は、非常に興味深いものでした。

 1人目の中野先生の話の中では、秋刀魚に大根、唐揚にレモンを添える合理的な根拠が説明されたことが、強く印象に残っています。
 2人目の箕越先生は、炭水化物の摂取に視床下部にある室傍核の影響があることを、実験成果から示されました。糖質制限食を意識している私にとって、これは参考になる貴重な情報です。
 その後の意見交換会でも、先生にはケトン体を始めとして多くのことをお尋ねし、教えていただきました。

 休憩時間に、分子科学研究所のシンクトロン光源加速器等を実際に見学することができました。


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 写真右下の数値は、放射線量です。
 詳しい説明をしてくださいました。しかし、理解を超える内容で、申し訳ないことです。
 それでも、すごい施設であることは、見ただけでわかります。
 放熱のためにアルミフォイルが使われていました。高熱が発生しているようです。
 実験結果から研究が1歩1歩進んでいく理科系の研究手法を目の当たりにして、いい勉強になりました。

 3番目の私の話は、数時間前に名古屋工業大学で実現したタッチパネルを使った触読の動画を見ていただくことから始めました。届いたばかりの映像なので、私もこの時に初めてその完成作を見ることになりました。

 普段私は、パワーポイントは決して使いません。配布したプリントをもとにして、聞いてくださるみなさまの反応を見ながら語る、という手法をとっています。

 しかし、今日は特別です。文字を触ると音声で説明がなされるシステムが、まさに数時間前にできたばかりだからです。その興奮を伝えたい、という思いで、いつもの展開とは違う流れにしました。
 ただし、なかなかパソコンの画面がスクリーンに影写されず、開始早々より間延びのした段取りとなりました。急遽、話題を変更したためとはいえ、みなさまには大変ご迷惑をおかけしました。
 また、プロジェクターへの影写にあたっては、学融合推進センターの准教授の七田麻美子さんが奮闘してくれました。その尽力に感謝します。

 機器を使用しての講演には、こうしたトラブルがままあります。この無為な時間が生まれることを避ける意味からも、私はパワーポイントで映写しないのです。
 今日は、どうしてもタッチパネルの動画を見ていただきたくて、最初にみなさまには我慢をしていただかざるを得ないこととなりました。本当に申し訳ないことです。

 この時に影写したのは、4分ほどに編集された、出来立てほやほやのYouTubeによる動画像です。前半がデータ登録の様子、後半が学習の様子となっています。
 実際に音声を聴きながら触読している様子は、スタートしてから3分10秒経ったあたりからです。

「音声触図学習システムで源氏物語のデータを作成している様子と学習している様子」
 
 なお、このスタートに手間取ったこともあり、私の持ち時間をややオーバーしてしまいました。
 これも、あらためて参会の諸先生方にお詫びいたします。

 4人目の鎌田先生のお話は、総合研究大学院大学における教育に関するものでした。まさに、異分野連携の実践といえるプランです。

 「研究ノートプロジェクトの現状と今後について」の議論は、おもしろく展開しました。

 最後の、記録の公開については、理系のみなさんは実験記録ノートに記入しておられることを知りました。
 私は、エバーノートに書きためているので、その違いに驚きました。そんなことを漏らすと、みなさんから逆に、文系の研究におけるノートについて聞かれてしまいました。
 日常的な研究生活の基本となる部分に関する話題なので、この話は留まることを知らずに展開します。あの小保方さんの研究ノートのことなども、例にあげられたりと、本当に楽しいディスカッションでした。

 最後に、今回の講演を聞いての質問などがやりとりされました。
 私がお話ししたことに関しては、以下のことを尋ねられました。


・人との出会いについて。
  これは、「偶然」による連続である、とお答えしました。
  また、ブログによって人とのつながりと情報が寄せられてくることも。

・研究と資金について。
  科研費の運用によるもので精いっぱいであることをお答えしました。
  その他の資金調達や今後の収益とは、まったく無縁の研究であることも。
  ここも、理系とは発想が違います。

・立体コピーに用いたカプセルペーパーの仕組みについて。
  私の知る限りでの、製造業者と研究開発担当者から聞いている話をお伝えしました。
  「大阪府八尾市にある会社へ立体コピーの調査に行く」(2015年05月14日)

・これまで立体コピーの取り組みはなかったのか、という点について。
  江戸時代以降、木に文字を彫ったり、紙をプレスしたものはありました。
  現在は、それからの資料が、京都府立盲学校に大切に保存されています。
  「京都府立盲学校の資料室(その1)」(2014年08月04日)
  「京都府立盲学校の資料室(その2)」(2014年08月05日)
  しかし、今回のように、簡便な手法で作成した触読資材はなかったことも、ご説明しました。


 今回の参加は、意義深い、収穫の多い、また多くの先生方に古写本の触読研究の実際を知っていただくいい機会となりました。
 それが、特に理科系の研究者として第一線でご活躍の先生方だったので、その後の意見交換会でも壮大なスケールの話へと飛躍しながら、大いに盛り上がりました。
 みなさま、貴重なご教示やおもしろい逸話を語っていただき、本当にありがとうございました。
posted by genjiito at 21:15| Comment(0) | ■視覚障害
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