2015年11月08日

〈運読〉で楽しむ『源氏物語』のご案内

 何かと慌ただしい日々を送るうちに、今年も師走が迫ってきました。
 その12月5日(土)の午後に、京都の宇治で「視覚障害者文化を育てる会(4しょく会) 秋のイベント」が開催されます。

 このイベントは、国立民族学博物館の広瀬浩二郎さんが中心となって実施されるものです。
 私は、講演とワークショップ「源氏写本研究の魅力と可能性」で協力します。

 イベントの詳細は、「〈運読〉で楽しむ『源氏物語』 〜視覚障害者が古典文学を味わう三つの方法〜」をご覧ください。

 〈運読〉ということばにハテナと思われた方が多いと思います。
 私も、広瀬さんから案内の文案を見せてもらった時、すぐに
「〈運読〉というのは、広瀬さんの造語ですか?」
と確認しました。

 広瀬さんからはすぐに、
「はい、〈運読〉は僕の造語です。この言葉が視覚障害者の仲間から賛同を得られるのか、よくわかりません。でも、きっと賛同が得られたら、今回のイベントは成功だと思います。」
という返事が来ました。

 これは大役を引き受けたことになり、自分でも立体コピーを使った触読の再確認をすることになりました。

 広瀬さんの案内文から、この〈運読〉に関する説明を引用します。
 赤字は、私が注目している箇所です。


 目で『源氏物語』を読んできた見常者に対し、視覚障害者は「聴読」(耳で読む=録音図書)「触読」(指で読む=点字図書)という方法で、源氏の世界にアプローチしてきました。
 
 
 聴読と触読は視覚障害者にとって伝統的な読書法だと定義できますが、じつはその背後には見常者にも共通する「行間を読む」文化があることは重要です。
 今回の4しょく会イベントでは、視覚障害者発の第三の読書法として「運読」(体で読む=立体コピー)を提案します。
 
 
 物語を書いた作者、それを筆写した老若男女の思いや息遣いを実感するためには、写本そのものを立体コピーし、指で文字をなぞる身体運動が必要です。
 墨で書かれた線を指先で辿る行為は、写本作りの追体験ともいえます。
 千年以上もの間、先人たちの手から手へと伝えられてきた『源氏物語』。
 その運筆(筆の使い方)の妙味を体感するのが運読なのです。
 
 
 聴読・触読に加え、運読というユニークな鑑賞法を獲得すれば、視覚障害者にとって古典文学は身近で豊かなものになるでしょう。
 さらに、運読をユニバーサルな読書方法として、4しょく会から多くの見常者に届けていければと願います。


 この「運読」ということばが、みなさまの支持を得られるかどうかは、今回のイベントの反響にかかっているようです。
 担当者の1人として、心して対処したいと思います。

 なお、この〈運読〉のイベント「源氏写本研究の魅力と可能性」は、次の宇治市内の街歩きのあとに実施されます。


 源氏物語ミュージアムで物語成立の歴史を学び、宇治観光ボランティアガイドクラブのご協力をいただき、宇治市内のまちあるきも楽しみます。
 世界遺産・宇治上神社の「さわる模型」などが、僕たちの五感を刺激し、まちあるきを盛り上げてくれるはずです。


 このイベントにふさわしい『源氏物語』の本文を、今は鎌倉時代中期に書写されたハーバード大学本「蜻蛉」巻から選んでいるところです。私の話と〈運読〉を体験していただくのにふさわしい本文は、立体コピーにして配布する予定です。

 一味違う宇治への体験ツアーとなることでしょう。
 目が見える見えないに関係なく、多くの方の参加をお待ちしています。


日 時:2015年12月5日(土)13:00〜17:00

主 催:視覚障害者文化を育てる会(4しょく会)

協 力:宇治市源氏物語ミュージアム、宇治観光ボランティアガイドクラブ

参加費:会員および学生500円、非会員700円

定 員:50名(要予約、先着順)
posted by genjiito at 20:53| Comment(0) | ◎源氏物語
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