2015年10月24日

日本盲教育史研究会第4回研究会に関する報告

 会場に着いて早々、日本盲教育史研究会の引田会長、岸先生、指田先生、星野記者などなど、初夏の札幌でお世話になった方々と話をしました。

 抱えている古写本の触読というテーマがインパクトを持っていたこともあり、これまでの経緯をよく覚えてくださっていました。ありがたいことです。

 岸先生のお話では、ひらがなや漢字の学習には非常な困難さが伴うものであり、京都盲唖院が日本で最初に設立された明治10年頃から22年までは、退学者が続出だったそうです。

 それが、日本で点字が使えるようになった明治23年以降は、一気にコミュニケーションの手段として意志の疎通がはかられ、徐々に点字が広がったのです。

 現在推進している古写本に書写されている変体仮名を触読することと、この点字が果たす役割については、今後とも一般の方々に混同されないように気をつける必要があります。

 変体仮名の触読は、明治以前の筆写文字を通して、日本の古典文化への理解をみんなで共有するための手掛かりにしようというものです。点字と変体仮名の双方の機能も役割も異なるので、どちらがいいかというような単一化への理解にならないようにしていきたいと思います。

 さて、今回の研究会の案内文には、次の引田会長の言葉があります。


 日本盲教育史研究会は創立から4年目を迎え、お陰様で会員数170名を超す研究会に成長致しました。
 内容的にも、昨年の研究会で芽生えた異分野との共同研究や、聾史研との研究交流等多彩なものになってきています。
 5月の北海道ミニ研の成功や6月にロンドンの Royal Holloway 大学で開催された研究会 Blind Creations Conference 等国際交流の成果を踏まえ、新たな研究展開を図る予定です。
 日本の盲教育発祥の地での研究会に多くの皆様の参加をお待ちしています。
  日本盲教育史研究会会長
         引田秋生


 今日の引田先生のご挨拶で、この中にある「昨年の研究会で芽生えた異分野との共同研究」として、『源氏物語』の触読研究を例としてあげてくださいました。

 会場には、発表者が発言したことが即座にスクリーンに表示されていました。
 この時には、次のように映し出されていたのです。
 これは、同時通訳と同様にタイプなさる方々は大変でしょうが、参加者にとってはありがたい方式です。


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 札幌でもそうでしたが、会長をはじめとして多くの方々に本研究に期待を寄せていただいていることに感謝し、気持ちが引き締まる思いでいます。

 引き続いて午前の研究会となり、私の発表は2番目でした。


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 あらかじめレジメとして印刷されていた資料は、次のものです。


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 会場に追加資料として配布したパンフレットは、この日のために研究協力者の加々良さんが作成したものです。


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 また、「須磨」巻の巻頭部分の立体コピーを配布したことについては、みなさんから取り組んでいる内容が実感として非常によくわかった、と好評でした。

 午後の講演と研究発表は、後日公開される会からの報告に譲りたいと思います。

 本日の参加者は、70名という大盛会でした。
 プログラムは、以下の通りです。


■日時:2015年10月24日(土曜日)
    9時半から16時半
■挨拶 引田秋生
■公募報告
「戦前期盲学校の設立者・支援者」
    足立洋一郎氏

『源氏物語』を触って読む─700年前の写本に挑戦する─
    伊藤鉄也氏

小西信八が見た欧米の「盲唖教育」
    西野淑子氏

■記念講演
「日本の視覚障害者を支え続けた点字出版と点字図書館」
    全国視覚障害者情報提供施設協会参与 加藤俊和氏

■研究報告
「大阪における明治期盲唖教育史」
    近畿聾史研究グループ 新谷嘉浩氏

「インクルーシブな学校秩序の構築過程に関する社会学的探求―小学校における全盲児の学級参画と支援の組織化を中心に」
    大阪市立大学都市文化研究センター研究員 佐藤貴宣氏

「中村京太郎と普選―昭和3年の『点字大阪毎日』によるアンケート調査を中心に」
    関西学院大学人間福祉研究科研究員 森田昭二氏


 閉会後は、東京から一緒に来た3人を京都駅に送り、私は懇親会場へ直行しました。

 ここでも、引田会長をはじめとして、多くの方々から励ましをいただきました。
 また、2人の若い全盲男性が、『源氏物語』の触読研究に積極的に協力したいという申し出を受けました。
 2人とも文学との縁はなく、また1人の方は2才の時には視力を失った方なので、これまでとはまったく異なる角度から、触読に関する調査研究が可能となりました。

 この研究テーマは、ますます質量共に厚いものになろうとしています。

 折々に報告しますので、今後とも変わらぬご教示などをいただけると幸いです。
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ■視覚障害
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