短編4本を収録しています。前半の2編の評価はともかく、最後の「潜入調査」はいいと思いました。
■「ピンク色の霊安室」
テンポよく、読者を引き付けながら話が展開します。ニューハーフをめぐる、おもしろい話です。
ただし、犯人が明かされる場面が、それまでの流れのように勢いがありません。また、最後のまとめかたも、いつものように平凡すぎて話が流れてしまっています。この作者の課題です。【2】
初出誌:『宝石 ザ ミステリー』(2011年)
■「タワーは語る」
盗聴器が話題になる話なので、その展開を興味を持って期待しました。しかし、後半が肩透かしです。失速して着地に失敗したのが残念です。【1】
初出誌:『小説宝石 十月号』(2012年)
■「あの人は誰?」
人間が持つ過去に拘る中で、さまざまなつながりが解されていきます。軽快な語り口で、久しぶりに軽めの藤田ワールドを味わえました。人の心に踏み込まない、人間関係と人の温かさが、いい雰囲気を醸し出しています。【4】
初出誌:『宝石 ザ ミステリー』(2012年)
■「潜入調査」
物語の背景に、昭和という時代を回顧するイメージが明滅します。作者が私と同じ歳なので、話題が共有できて2倍楽しめました。
探偵という職業がうまく描かれています。主人公である竹花は、人の心に潜入するのがうまい探偵です。回想が巧みにちりばめられた、完成度の高い作品に仕上がりました。【4】
初出誌:『小説宝石 九月号』(2013年)
【□藤田通読の最新記事】
- 藤田宜永通読(42)『風屋敷の告白』
- 藤田宜永通読(41)『探偵・竹花 女神』..
- 藤田宜永通読(40)『タフガイ』
- 藤田宜永通読(39)『失踪調査』
- 藤田宜永通読(38)『喝采』
- 藤田宜永通読(37)『大雪物語』
- 藤田宜永通読(36)『ラブソングの記号学..
- 藤田宜永通読(35)『ボディ・ピアスの少..
- 藤田宜永通読(34)『銀座 千と一の物語..
- 藤田宜永通読(33)『モダン東京4 堕ち..
- 藤田宜永通読(32)『モダン東京1 蒼ざ..
- 藤田宜永通読(31)『彼女の恐喝 Bla..
- 藤田宜永通読(30)『女系の教科書』
- 藤田宜永通読(29)藤田宜永『タイホされ..
- 藤田宜永通読(28)藤田宜永『呪いの鈴殺..
- 藤田宜永通読(27)『探偵・竹花 帰り来..
- 藤田宜永通読(26)『血の弔旗』
- 藤田宜永通読(25)『探偵・竹花 再会の..
- 藤田宜永通読(23)『ダブル・スチール』..
- 藤田宜永通読(22)『モダン東京3 哀し..
