2015年08月24日

読書雑記(141)内田康夫『孤道』の新聞連載中断のこと

 今日(平成27年8月24日(月))から、毎日新聞(夕刊)の連載小説『津軽双花』(葉室麟)が始まりました。陸奥弘前藩の津軽信枚に嫁いだ2人の姫の物語だということです。

 今日の初回では、2人の姫君の内の1人目として、徳川家康の姪である満天姫が登場しました。
 もう1人の石田三成の娘である辰姫は、明日以降にどのようにして登場するのか楽しみです。

 今後どのような話として展開するのか、いつもの癖で新聞紙面をハサミで切り抜きながら読みました。
 しばらくは切り抜いて行きます。おもしろくなかったら、縁がなかったものとして止めます。


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 葉室麟氏の作品は、これまでに、「読書雑記(135)葉室麟『山月庵茶会記』」(2015年07月04日)を読んだだけです。
 違う作品も読んでみようかと思っていたので、これを機会に、この新聞連載小説で様子をみます。

 今日から連載小説が新たにスタートしたのは、それまで連載されていた内田康夫の『孤道』が、作者の健康上の理由から突然終了したためです。

 先週20日の新聞には、葉室作品が24日からスタートするにあたってのインタビューが掲載されました。

 その中で、「夕刊連載小説「孤道」が内田康夫さんの病気で中断した後を受けて急に登板を願ったため、中編小説となる。」とあります。
 編集者の背後での慌ただしさが想像できます。

 中継ぎ役は、私の得意とするところです。代打、中継ぎ、代走は、仕事を含めてこれまでにも、私のお家芸となっています。
 葉室氏は、それだけに大変やりにくい役目を負われたのですから、その意味からも葉室作品を読んでみようか、と思っています。

 新聞小説は、井上靖や松本清張や筒井康隆がそうであったように、書きながら形を整えることができます。読者からの反応も、作品に反映させる作家もいます。
 新聞社から単行本として刊行することを前提にして書くのですから、その意味では他の小説とは作品の形成過程が異なります。作品が生み出される「今」が垣間見えるので、私は興味のある作家や作品の新聞連載を読むのが大好きです。

 特に、昭和46年から47年の朝日新聞(朝刊)に連載された井上靖の『星と祭』と、昭和48年から49年(夕刊)の松本清張の『火の回路』(後の『火の路』)は、今も思い出深い作品となっています。毎日食い入るようにして読んだものです。
 作者と共に生きた感触は、作品に親しみを持たせてくれます。

 その当時も、毎日毎日、新聞の連載小説を切り抜いていました。しかし、それがいつしか散佚しています。『星と祭』だけは過去の新聞をコピーして、新聞連載当時の作品の文章が刊行された時にどのような手が入って変質したのか、しなかったのかを調べる資料としています。

 最近では、昨年4月から始まった夏目漱石の『こころ』を切り抜いていました。しかし、私が朝日新聞の購読を断念したために、これは全110回分のはずが103回(2015年9月15日)までで打ち止めとなりました。
 新聞購読中断については、「朝日新聞の講読を解約する決断」(2014年09月11日)をご笑覧いただければと思います。
 ゴール直前で、『こころ』の切り抜きは中断となったのです。デジタル版で読めるので新聞連載時の本文の内容はいい、とはいうものの、中断した事情が事情なので、これについては、またあらためて書くつもりです。

 さて、内田康夫の連載小説が毎日新聞に掲載されたのは、2014年12月1日(月曜日、夕刊)からでした。それが、今月8月12日(水曜日)で連載終了となりました。
 またもや、全回分の切り抜きが達成できませんでした。


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 手元の新聞で確認すると、次の記事が急遽終了する告知の最初かと思われます。


小説「孤道」は12日で終了します

   内田康夫さん病気療養のため
 内田康夫さんの小説「孤道」は、作者の病気療養のため連載の途中ではありますが12日をもって終了します。内田さんは7月26日に軽い脳梗塞を起こし、入院治療しています。今後、「孤道」は書き下ろしで単行本にまとめ、毎日新聞出版から刊行する予定です。内田さんは「連載が続けられなくて申し訳ありません。症状は軽いので心配しないでください」と話しています。毎日新聞社(2015年8月5日 夕刊第1面)


 また、翌日の朝刊(第1面)には、「小説「孤道」」が「夕刊小説「孤道」」として、また「今後、」を削除した同じ文章が掲載されました。

 さらに、連載終了時には、次の文章が掲載されました。


小説「孤道」は終了します

 内田康夫さんの小説「孤道」(5面に掲載)は、作者の病気療養のため連載の途中ではありますが今回をもって終了します。読者の皆様におわびします。内田さんは7月26日に軽い脳梗塞を起こし、入院治療しています。今後「孤道」は書き下ろしで単行本にまとめ、毎日新聞出版から刊行する予定です。
 内田さんは「『孤道』は藤原鎌足の謎に迫ろうとする非常に面白い題材なので、ぜひ完成させたいと思います」と話しています。(2015年8月12日 夕刊第1面)


 連載開始にあたっては、次の紹介がなされていました。


名探偵・浅見光彦シリーズが大ヒットしている人気作家です。今夏「浅見光彦最後の事件」と銘打った新刊「遺譜」で文字通り最後の事件を執筆し、話題をさらったばかり。本作は“最後の事件後の初めての事件”となる注目作です。
 熊野古道で観光客に愛される牛馬童子像の頭部が盗まれる事件が発生します。誰が何のために……。不可解な事件と共に壮大な歴史ロマンの幕が開きます。最後の事件後の浅見がどう再登場するのかも見どころの一つ。(毎日新聞 2014年11月17日 夕刊)


 私は、妻が内田作品のすべてを持っていて読破しているので、そのうち、古代史を扱った10冊くらいは読んだでしょうか。『源氏物語』と関係するのでは、と思って、『「紫の女」殺人事件』(73年)、『「須磨明石」殺人事件』(82年)、『斎王の葬列』(84年)なども読みました。いずれも、今その内容を思い出せません。あまり好きな作家ではないので、真剣に読んでいないのかもしれません。
 手元には『壺霊』が読みかけのままに、上巻が京都に、下巻が東京に放置されています。

 今回、この毎日新聞に連載された『孤道』を、毎日切り抜いて読みました。
 しかし、読みながら、おもしろくないと思っていました。いつかおもしろくなるだろう、と期待しながら。というよりも、この話を作者はどうまとめて行くのだろう、と思いながら。
 運良くと言うべきか、204枚目で打ち止めとなりました。
 この時点での評価は記せないので、単行本になった時にまた再読したいと思います。

 あまりのつまらなさに、切り抜きはボケ防止のためのハサミを使った運動だ、と思うことに重点が移っていたように思います。たしかに、毎日せっせと紙を切り抜くのです。横にまっすぐに切るので、そんなに大変ではありませんでした。そのことが、今となっては楽しい思い出です。

 この作品の終了を惜しむ声は、毎日新聞朝刊の「みんなの広場」の「8月13日」「8月20日」「8月24日」に寄せられていることを、記し留めておきます。
posted by genjiito at 22:42| Comment(0) | ■読書雑記
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