2015年08月12日

簡易型立体コピー作成機による触読実験を始める

 「立体コピー作成機 PIAF」(ピアフ)を、国文学研究資料館の事務を通して発注していました。
 その本体が、無事に手元に届きました。


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 卓上型なので、置き場所に困らず、移動も簡単です。研究室でも作業部屋でも、いつでもどこでも使えます。
 これは、先月うかがった共立女子大学でも使用しておられた、同型の機械です。

 これまでは、立川市中央図書館がお持ちの立体コピー機を、本研究に対するご理解とご協力をいただく中でお借りしていました。

「立川市中央図書館で源氏写本を再度立体コピー」(2015年03月17日)

 しかし、順調に触読研究が進展する中で、急遽立体コピーを作成する事態も発生し出しました。
 そこで、立川市中央図書館にある精巧な仕上がりではなくても、簡易版で当座の役を果たすようにと、科研費によって「立体コピー作成機 PIAF」を購入することにしたのです。

 これは、本科研を昨秋申請した時点から、研究計画調書に初年度の「設備備品費」による購入予定物品として計上していたものです。
 立川市中央図書館のご協力が得られたので、当面の購入は見送っていました。しかし、研究成果が顕著になったこの時点で、即応性のある対処をする必要性に迫られたこともあり、予定通りの発注となりました。
 これで、精細版と簡易版の2種類の資料が作成できる環境が整いました。

 届いたばかりの「立体コピー作成機 PIAF」で、試しに『絵入源氏物語』の「若紫」の図を浮き出してみたところ、次のように思い通りの立体図形が出来上がりました。


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 これで、古写本の変体仮名を読むための立体コピーも、必要になったら即座に少部数なら作成できます。調査研究のフットワークが、これで格段に軽くなることでしょう。個別の限定的な要望にも、これならすぐに対応できます。

 この「立体コピー作成機 PIAF」を活用して、まずは、触読用の「変体仮名字体集〈立体文字版〉」を作成することになります。ハーバード大学本と歴博本の『源氏物語』から、さまざまな文字を切り出すのです。そして、切り出した文字を編集して、変体仮名を触読する上での学習練習帖の役割を持った、字書と参考書を作成したいと思います。

 現在、次のようなプロジェクト(案)を考えています。


(1)触読体験プログラム(案)
 ・使用教材
   ■ハーバード大学本『源氏物語』「須磨」〈立体文字版〉
     A4用紙/5行分/縦長いっぱいに拡大
   ■触読用「変体仮名字体集〈立体文字版〉」
     今夏より編集開始
   ◇翻字テキスト(すでに作成済)

(2)学習システム(案)
  ・失明時期と古典理解度により3パターンを用意
  ・初級は平仮名と変体仮名の学習から始める
  ・中級は『源氏物語』「須磨」本文の触読から始める
  ・上級は『源氏物語』「蜻蛉」本文の書写から始める
  ・気分転換に『百人一首』の〈触読版かるた取り〉に挑戦


 もちろん、この科研は「挑戦的萌芽研究」なので、思うようにいかないことがあっても、とにかくチャレンジをすることに意義があります。調査・実験・研究の方針は、その折々に判断して変更も自在にすることになります。その意味では、現在は順調に前に進んでいます。

 幅広くアイデアを募り、効果的な立体文字触読資料の作成と、学習システムの構築を実現したいと思います。
 これまで同様に、淺川さん、加々良さん、関口さんの3名の研究協力者の若い力を借りながら、研究計画を推進していくことになります。
 変わらぬご理解とご協力を、どうかよろしくお願いいたします。
posted by genjiito at 20:36| Comment(0) | ■視覚障害
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