2015年06月13日

700年前に書かれた『源氏物語』の仮名文字が自宅で浮き出たこと

 立体コピー用のカプセルペーパーに懐中電灯(ダイビング用ライト)を当てることで、『源氏物語』の変体仮名を浮き上がらせることに成功しました。

 これまでは、立川市中央図書館の立体コピー機をお借りして、文字を浮き上がらせていました。

「立川市中央図書館で源氏写本を再度立体コピー」(2015年03月17日)

「立川市中央図書館へ科研採択の挨拶と報告に行く」(2015年05月12日)

 ここで用いるカプセルペーパーという紙のことを知りたくて、製造元へ行ってお話を聞いたことは、次の記事に書いた通りです。

「大阪府八尾市にある会社へ立体コピーの調査に行く」(2015年05月14日)

 その後、いろいろな方々にご高配をいただき発注したカプセルペーパーが、先週やっと手元に届きました。


150613_capsulepaper




 この用紙を使って、早速自分なりに実験をしてみました。

 まず、このカプセルペーパーにハーバード大学本「須磨」の巻頭部分をコピーし、その表や裏からアイロンを近づけてみたり、スチームを噴射してみました。結果は惨憺たるものでした。


150613_sippai




 同じように、ドライヤーで熱風を当ててみても、まったく文字は浮き上がりません。

 そんな時に、先週からロンドン大学東洋アフリカ研究学院(the School of Oriental and African Studies, 通称 SOAS)の仲間とやりとりしていたことが刺激となり、突然閃くものがありました。

 ロンドン大学のSOASでライブラリアンをなさっているKさんとは、私がイギリスに行く時には必ず連絡を取っている方です。ロンドンがイギリスの出入り口でもあり、折々に食事をしたりパブへ連れて行ってもらったりしています。妻と銀婚旅行で立ち寄った時には、娘の留学のアドバイスをもらったりしました。

 そのKさんから、先週ある資料の問い合わせを受けました。
 いろいろな方に、手紙やメールや電話を活用して八方手を尽くしたのですが、生憎ご期待に応えられず、お役に立てなくて……、というメールを送りました。
 ところが、その返信に、こんなことが記されていたのです。


 去年ダイビングに行った先で、イタリア人のインストラクターと話をしましたが、彼は、目の見えない方々にダイビングを教える資格をもつインストラクターなのだそうです。
 英語圏で目が見えない方が手書き文字をどうしているのかということは考えたこともありませんでしたが、調べてみます。


 私がスクーバ・ダイビングのライセンスを取ろうと思ったのは、このKさんの影響を受けてのことでした。ギリシアの海を潜った時の話を聞き、俄然趣味を持ったのです。海外の海を潜ってみようと。
 そして、一緒にアレキサンドリアの海を潜り、クレオパトラの宝石を探そうと、嘘か本当かわからない話で盛り上がりました。

 こんな無邪気なことを、その頃のブログにこう書いています。


 エジプトにあって地中海の花嫁とも呼ばれる港町アレクサンドリアの海に潜り、クレオパトラが着けていたペンダント(何故これなのかは自分でも不明)を、小野小町で有名な秋田県生まれの妻にプレゼントするという願いを叶えたいものです。多分に、苦労をさせ続けている贖罪の気持ちからのことですが……。
 今回のライセンスは18mまでしか潜れません。さらなる精進を重ね、もっと深くまで潜れるライセンスの取得を目指すつもりです。(2007年7月29日「スクーバ・ダイビング(5)」)


 そしてその年に念願叶いライセンスを取り、以来、伊豆や白浜の海を何度か潜りました。
 その後、大病を患って手術をしたために、2010年8月以降は、身体のこともあって1度もダイビングをしていません。

 Kさんとの遣り取りからダイビングのことが懐かしくなり、次の記事を読んでいた時でした。
 啓示のように、ダイビング用の水中ライトのことに思い至ったのです。

「スクーバダイビング2009(2)」(2009/8/19)

 突然思い出したスクーバ・ダイビング用のライトを部屋の片隅から取り出し、カプセルペーパーの変体仮名の上を照射してみました。するとどうでしょう。強烈な強い光と熱を出す海底用の懐中電灯の威力が発揮され、700年前に書写された変体仮名の文字が浮かび上がったのです。大成功です。


150613_light




 これなら、3文字前後の連綿であれば、立川市中央図書館のお世話にならなくても、自宅で浮き出し文字のサンプルを作ることが可能です。

 何事も、脳みそを柔らかくして、ダメ元でやってみるものです。

 このライトは、こんな形をしています。


150613_fisheye1




150613_fisheye2




 この、私が持っているライトは、次のような性能のものです。


「フィッシュアイ FIX LIGHT HG20DX」
カラー:ブラック
ランプ種類:20Wスーパーブライトハロゲンランプ
明るさ:520ルーメン
色温度:3400K、5500K
光量調節:20W〜無段階
連続点灯時間:55〜200分
ランプ寿命:20〜35時間
サイズ:φ62×153mm
耐圧水深:75m
重量:450g


 これは素人判断で取り組み、たまたま成果が見られたということかと思われます。
 松本油脂の第三研究部副主任の徳村さんに教えていただいたことが、こんな形で実験に生かされ、役立ちました。

 今回は思いつきで、カプセルペーパーをこんな使い方で試してみたまでです。しかし、専門的には高度な化学薬品による処理を施した製品を扱っているので、素人だからこそ間違った理解でとんでもないことをしているのかもしれません。今後とも、何か気をつけることがあれば、アドバイスをよろしくお願いします。

 今のところ、有毒なガスは出ていないようです。
 ライトが眩しいので、目を痛めないためにも、長時間は照射できません。

 もし特に問題がないようでしたら、一時的な、局所的な浮き出し文字の作成に、今しばらく使ってみようかと思っています。
posted by genjiito at 23:50| Comment(0) | ◎源氏物語
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