2015年06月06日

ハーバード大学本「蜻蛉」巻の「尓・ん・せ・を」

 日比谷図書文化館で、ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」巻を字母に注目しながら読んでいます。
 今回は、第12丁表から、仮名の「尓・ん・せ・を」をすべて抜き出して、それぞれの違いを注意深く確認します。

 まずは「尓」を4例あげます。
 いずれも、変体仮名の「尓」が微妙に異なる形で書かれていることがわかる例です。


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 次は、「ん」を4例。これは、その直前の文字とどのようにつながって書かれているかに注目したいところです。
 いずれも、2文字が合わさって書かれているので、文字列が形作ることばを考えないと判別できないものです。右端の「給八ん」は、「給」につづく文字として「八ん」を読み取ることが大切です。


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 次は、「せ」なのか「を」なのか迷う例です。
 左から、【せ】「を」「を」「を」【せ】「を」と読みます。
 2画目の縦棒が、迷いなくまっすぐ下に延びているかどうか、ということを見ておけばいいかと思います。
 もっとも、いつもそうではないので、このあたりはことばとしての古語への理解が求められます。


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 古写本の仮名文字を翻字する際には、1文字だけを見つめていては解決しないものが多いものです。そうした例を、こうして集めてみました。
 文字の流れが作り出す古語の世界を知識として背景に持っていると、翻字する上で助かることが多いようです。
posted by genjiito at 23:35| Comment(0) | ◎NPO活動
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