2015年04月16日

日比谷図書文化館で仮名と漢字について考える

 立川駅から日比谷図書文化館へ直行するには、時間帯によって実にさまざまな経路があります。
 何も考えないで行く時は、中野駅と大手町駅とで乗り換えます。
 もっと早く、安く行くことができる場合は、三鷹駅、吉祥寺駅、下北沢駅、渋谷駅、新宿駅、原宿駅、明治神宮駅、表参道駅、代々木上原駅、四ツ谷駅、等々、スマートフォン任せで最適な組み合わせによる経路を選択することになります。
 霞ヶ関駅で降りてからは、日比谷公園に上がってすぐです。
 あまりにも便利な場所にあるので、毎回経路を変えながら、その日任せの行き方を結構楽しんでいます。

 今日は霞ヶ関駅の構内で、その駅名を目にして、しばし佇んでしまいました。「霞」という漢字に目が留まったのです。

 雨かんむりの下の文字をじっと見ていると、「假」が思い出され、その字が今は「仮」と書いていることに思い至りました。とすると、雨かんむりの下に「反」を書いたらどうなるのか等々、いろいろな可能性に思いが及びました。
 「休暇」の「カ」は「暇」しか使えません。日偏に「反」は認められていません。「蝦夷」や「エビ」も「蝦」を使います。虫偏に「反」もダメだとなっています。
 長生きする意味の「遐齢」もこの「遐」しかありません。さらに、「瑕疵」の「瑕」も、王偏に「反」を使うことはできないのです。

 このことは、佛→仏、拂→払、沸→?、費→?、などの例でも言えることです。
 どのような法則のもとに、こうした漢字が決められているのか、大いに興味のあるところです。

 そんな素朴な疑問を、今日の日比谷図書文化館での『源氏物語』を変体仮名を読む会で投げかけました。
 もちろん、専門家にはそれなりの解答があるのでしょう。しかし、今のところ、専門外の私には説明ができないことなのです。それを素直にお話しました。

 今日は、第3期の初回なので、五十音図の確認からです。
 毎度のことながら、余計な話をするので遅々として進みません。

 2日前に書いた本ブログの記事、「翻字における「ん」「も」「む」の対処」(2015年4月14日)のプリントを使って、「ん」の翻字についても説明しました。

 それ以外にも、次のような話題を投げかけました。(順不同)


・「【ヱ】ビスビール」と「ウ【ヰ】スキー」
・「お」の字母は「於」でいいのか
・「加」をひらがなにしたのは加藤さん?
・糸罫と列帖装の仮綴じ本の姿
・名前の「鉄」のこと
・目が見えない方々と一緒に写本を読むこと
・かな表記の問題点を隠すための漢字奨励政策
・「は」「へ」「を」の問題点
・テレビが発言者の「見れる」を字幕で「見られる」に直すのは事実を報道していないことになる
・ひらがなを一つにした明治33年の決断
・名前にふりがなを振る時に表面化するひらがな表記の矛盾
・翻字から元の写本の表記にもどれないので「変体仮名混合版」にする


 最後の10分で、大急ぎでハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」の第9丁オモテの最初の一行だけを確認しました。


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 「変体仮名混合版」で示すと、次のようになるところです。


者んへり尓しとて・もとより・ある・人多尓・


 この一行だけを見ても、変体仮名は「者」「尓」「多」の3種類だけなのです。それ以外は、すべて現在使っているひらがなが変形したものばかりです。変体仮名は恐るるに足らず、ということを強調しました。

 終わってから、いつものようにいろいろと質問や確認を受けました。
 この時間が、また楽しいのです。
 『源氏物語』を読み解く楽しさとは別に、700年前の文字を読む楽しさを、今後とも語り伝えていきたいと思います。
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎NPO活動
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