2014年11月27日

日比谷図書文化館でハーバード本を読む(4)

 今日も、立川から大手町駅へ出てから、乗り換えて霞ヶ関駅に行く道に迷いました。
 それでも、日比谷図書文化館へは予定通り着いたので安心しました。

 今日は、この冬に国文学研究資料館で開催する国際日本文学研究集会など、イベントのチラシ4枚を配布しました。さらに、「国文研ニューズ」も広報活動の一環としてお渡ししました。日本文学に関する資料と情報を提供している機関であることは、もっと幅広く宣伝する必要があると思います。

 さて、まずは前回の勉強の復習を、ブログに書いたことをもとにして確認しました。

 その流れで、翻字をするにあたっての約束事を、あらかじめ配布してある「翻字凡例」のプリントをもとにして、補入とミセケチの記号とその使い方を確認しました。

 例えば、「おかた/お+ほ」という翻字については、写本では、本行本文が「おかた」となっており、「お」と「か」の間に補入記号の「○」があり、その右横に「ほ」と傍書してある、ということを表現している、ということです。

 つまり、翻字と共に写本の書写状態などの情報をスラッシュ(/)の次に記号を使って記すのです。こうして、『源氏物語』の本文をデータベース化していくことになります。
 こうしたスキルを身に付けていただき、実際に翻字をする力を養っていただこう、というのがこの講座の眼目なのです。

 次に、実際にその作業をプリントで確認しました。今回は、大島本の翻字を印刷したものに対して、ハーバード大学本の校正を書き込んでいくことで、ハーバード大学本「蜻蛉」の本文のデータベース化をする過程を、みなさんと一緒に確認しました。
 この時には、大島本の影印画像を見ながら、ハーバード大学本で使われている字母の違いも一つずつ確認しました。

 また、大島本は漢字で表記されている箇所が多いことも実感してもらいました。例えば、最初の3行を見ただけでも、ハーバード大学本が「ひと/\」「もの」「きみ」「やう」とあるところを、大島本では「人々」「物」「君」「様」となっているのです。
 次の写真の右側がハーバード大学本、左側の縦長の写本が大島本です。


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 今日も、現今の日本で広く用いているひらがなでは、いくら翻字をしても変体仮名に対応していないかなもじなので、元の姿にもどせない翻字となっていることを強調しました。

 例えば、「蜻蛉」巻の冒頭は字母で表記すると「加之己尓者」となります。これを現代日本語で翻字をすると、「かしこには」となります。
 しかし、この翻字を字母に基づいて元の文字に戻すと、何と元の字母の表記には戻らず「加之己仁波」となります。
 「には」の部分が、復元できない翻字となっているのです。
 つまり、今のひらがなで翻字したものでは、元の写本に書かれた字母には戻せない、ということは十分に認識しておくべきです。
 このことは、意外と気付かれていないところです。

 次回は、翻字のために使用する記号の確認と、書写状態を示す表記方法の勉強をすることになります。

 今回も、実際に写本を翻字してみようと、チャレンジを申し出られた方がいらっしゃいました。
 やはり、実践も大事です。
 この講座は翻字者養成を目的とするものなので、こうした傾向は歓迎すべき状況だといえます。
 今後とも、座学だけではなくて実際にやってみようと思われる方がさらに増えることを期待して、続けていきたいと思います。

 講座終了後は、先週までケンブリッジ大学で建築史の研究をなさっていた陳 雲蓮さんと、大手町で食事をしながらお話をしました。
 陳 雲蓮さんは、ケンブリッジ大学のジョン・コーツ先生から私のことを聞き、連絡をくださったのです。陳さんとお話をしていると、たくさんの方の名前が出るたびに、知っている、仲間です、という展開になりました。本当に不思議なほどに人と人とのつながりが共通しているのです。

 ケンブリッジ大学関係者では、ジョン・コーツ先生をはじめとして、ピーター・コーニツキ先生や図書館の小山騰さん、そして院生のレベッカ・クレメンツさん、さらには先月までケンブリッジに行っていた立命館大学の川内有子さんまでも。みんな私の知人であり研究仲間です。

 ワシントンの議会図書館の司書である中原まりさんも。もちろん、日本では建築と『源氏物語』に関して一緒に仕事をした赤澤真理さんの名前も出てきます。このお二人とも建築関係の研究をしておられるので、陳さんとの話の中に出てくるのは当然といえば当然です。しかし、それが自然に名前のリレーでつながっていくから不思議なのです。

 さらには、陳さんは今後はお茶室と禅について研究を深めたいとも。現在お茶のお稽古もしておられます。コーツ先生が我が家にお出でになった時に、一緒にお茶を点てて楽しんだことにまで及びました。次のブログをご覧いただければ、そのお茶会の楽しさが伝わると思います。

「コーツ先生のお点前をいただく」(2012年10月15日)

 陳さんからは、一緒にお茶をという話になりかけました。しかし、私はお稽古に行く時間の確保に四苦八苦しているありさまで、とても足元にも及びません。それでも、共通する話題があると、話は楽しいものです。

 思いがけない出会いから、楽しい仲間が増えました。
 専門とする分野はまったく異なるとはいえ、いろいろと刺激しあいながら、お互いの研究や趣味を稔りあるものにしていきたいと思います。
posted by genjiito at 23:55| Comment(0) | ◎NPO活動
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