2014年11月09日

井上靖卒読(188)「セキセイインコ」「川の畔り」

 しばらく〈井上靖卒読〉を更新していませんでした。
 遡ってみると、今年の8月1日以来です。

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■「セキセイインコ」
 自宅の庭に集う小鳥たちの話です。雀に混じって行動を共にするセキセイインコに注目した、おもしろい観察記となっています。このインコの存在が、人間社会に当て嵌められ、その生きている意味へと導かれます。つい、自分とこのインコを重ね合わせてしまいます。考えさせられる小品です。【4】
 
 
初出誌:週刊朝日
初出号数:1973年1月5日号
 
井上靖全集7:短篇7・戯曲・童話

*『現代作家掌編小説集 上』(昭和49年8月8日、朝日ソノラマ刊)に再掲された後、数多くの作品集には未掲載のまま、『井上靖全集』で初めて収録されたものです。
 
 
 
■「川の畔り」
 『河岸に立ちて』で読んだように思いました。しかし、確認してみると、収録されていない作品でした。とにかく、井上靖は川の畔りが好きなのです。川に対する作者の思いも記されています(『井上靖全集 第七巻』369頁)。そこでは、『星と祭』に関連する山についてのコメントもあります。問われるままに語る、という体裁で話は進みます。
 「旅の話をせよと仰言いますが、?」と始まり、「そうですね?」などと、問はず語りは続きます。ロシア、ネパール、アフガニスタン、パキスタン、トルコ等々。川をめぐる絵が展開します。肩肘を張らない語り口で、ゆったりとした平原と川の流れの中に包み込まれていきます。
 後半で語られる、アフガニスタンから北のアムダリヤに流れるクンドゥズ川の話は、特に印象的です。大利根一二郎氏との出会いと別れは、日本人というものを再認識させられます。【3】
 
 
初出紙:野生時代
初出号数:1974年5月号
 
新潮文庫:石濤
井上靖全集7:短篇7・戯曲・童話
 
 
 
〔参照書誌データ〕
「井上靖作品館」
posted by genjiito at 23:37| Comment(0) | □井上卒読
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