昨日のブログに書いたように、午前の部は3名の方の15分ずつの報告がありました。
文科系の研究発表では、1人25分というのが一般的です。しかし、この研究会では1人15分という短い時間なのです。私の感覚から言うと10分も短い持ち時間なのに、各人の内容が非常によくまとめられており、その発表に臨む真摯な姿勢に感心しました。
文学に関する研究成果を人前で公表するにあたっては、いろいろと紹介や説明すべきことがあるせいかもしれません。しかし、それにしても、この手際の良さには見習うべきことが多いように思いました。
また、午前の部をしめくくるにあたり、座長ともいうべき岸先生からお3方の発表について、簡にして要を得た総評がありました。初めて聞いた発表内容が、先生の寸言ですっきりと自分の中でまとまり、ストンと落ちました。若者に育ってほしいという、先生の気持ちも伝わってきました。
誰にでもできることではないにしても、お手本にしたいと思います。
今回の会場である筑波大学東京キャンパス文京校舎の中には、昨日の記事の冒頭写真にあるように、放送大学が入っていました。
実は、この研究会があった昨日の15時から、放送大学の平成26年度第2学期の面接授業説明会が開催されるとの連絡をいただいていました。しかし、私は能天気にも、以下の返信を放送大学の教務係に送っていました。
連絡をありがとうございました。
10月11日(土)は終日「筑波大学東京キャンパス文京校舎」にいます。
近くにいるのですが、残念ながら行くことが叶いません。
またの機会にいたします。
迂闊にも、日本盲教育史研究会が開催された1階134教室の上に、当の放送大学の事務室があることを知らなかったのです。別の敷地かと思い込んでいたのです。まさか、まさか。こんなことがあるのです。
現地に行ってそのことに気付き、お昼休みに2階の事務室に駆け付け、教務係の奥山さんとお話をし、説明会の資料だけを拝受しました。
来月の放送大学での私の講義は、以下のように告知されています。
「専門科目:人間と文化 ハーバード大学本源氏物語を読む」
この講座の受講者の募集は、あと1ヶ月あります。
もし、ハーバード大学本『源氏物語 須磨』を読んでみようとお思いの方は、お気軽にどうぞ受講手続きをなさってください。定員78名までには、昨日現在のところまだ少し余裕があるようです。
800年前に書写された写本で『源氏物語』を読む楽しみを、共に体験しませんか。
さて、日本盲教育史研究会の午後の部は、国立民族学博物館の広瀬浩二郎さんが記念講演をなさいました。
演題は「触常者とは誰か−盲人史研究から「さわる文化」論へ−」です。
「触常者宣言」の背景や問題点、そして未来について、ご自身の経験をもとにして楽しく語られました。
以下、私がメモをしたことを、後で思い出せるように記録しておきます。
・「触常者宣言」の趣意
・平家物語にはなぜたくさんの色が出てくるのか?
・琵琶法師の語り︰那須与一の段をCD-ROMで会場に流す。
・今井検校の平曲の語り
・ラブレターを点字で書いたことの意義
・瞽女唄の定番である「葛の葉の子別れ」を会場に流す
・最後の瞽女である小林はるさんのこと
・刈羽瞽女の伊平タケさんと朝比奈さんの「まんざい」を聞く
・この研究分野における理念先行をどうするか
・「ユニバーサル・ミュージアム」の六原則については省略
なお、広瀬さんの講演の最後の数分間を、ご指名を受けて、私がこれから取り組もうとしている古写本『源氏物語』を触常者と一緒に読むチャレンジの紹介に当ててくださいました。
場違いな飛び入りです。しかし、この後に設定されている懇親会の参加者を呼び込むための、おもしろい話題の提供という意味もある特別出演ともいえます。
私は、現在を見据えた点字に加えて、変体仮名が読めるようになることで明治以前の仮名書きの文書や資料が読めるようになる意義を簡単にお話ししました。塙保己一が『源氏物語』を語ったことにも触れながら。そして、視覚障害のある方でも、変体仮名が認識できるようになれば、国文学研究資料館が収集している30万点もの日本の古典籍のマイクロフイルムや画像データベースが活用できる道が開けることも、しっかりと言い添えました。
このことが、後の懇親会でありがたい好評をいただくことになり、何人もの方から協力と期待を伝えてくださいました。
貴重な講演時間の最後に、数分とはいえこうした機会を与えていただいた広瀬さんに感謝します。
まだスタートしたばかりのプロジェクトです。一緒に推進していきましょう。
(以下、明日の3に続く)
付記︰昨日11日と本日12日は、京都女子大学で中古文学会が開催されていました。ただし、上記の研究会に参加したために、委員会共々欠席させていただきました。
直接お目にかかってのご挨拶などができず、予定していた、またされていた方々には本当に申し訳ありません。
また、昨日11日の東京新聞(夕刊7面)に、「視覚から開放される さわる文化を探求する」として、広瀬さんへのインタビュー記事が大きな写真と共に掲載されています。手にする機会がございましたら、これもご覧いただければと思います。
この記事の続きの「その3」は、今夜日付が変わった頃にアップすることになると思います。
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