2014年07月25日

千代田図書館の古書目録にあった古写本『源氏物語』

 千代田図書館で、古書販売目録の調査をしています。
 どのような『源氏物語』の古写本が市場に出ていたのか、楽しみにしながら目録のページを繰っています。
 しかし、『源氏物語』以外のいろいろと楽しい古典籍の市場での動きも見えるので、なかなか整理は捗りません。

 千代田図書館は、九段下にある千代田区役所の9階と10階です。その10階には、コンビニや食堂があり、小まめに栄養補給をする必要がある私には、非常に居心地のいいところです。


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 調査をしていておもしろいこととして、例えば、今日はこんな『源氏物語』が出てきました。


源氏物語 薄雲 嘉元四年古写本 一 18,000円
 巻末に嘉元四年卯月十一日の年記あり。
 書写年代明記ある源氏物語としては尾州家河内本の正嘉二年に次ぎ、現存第二位のもの。内容は流布本と差異多し(『古書大即売展目録』1948年12月)

 これは、現在は天理大学附属図書館に所蔵されている、伝津守国冬筆「薄雲」巻のことだと思われます。この即売会は、昭和23年12月15日〜19日に開催されました。収蔵の経緯については、また後日報告します。
 なお、この国冬本については、越野優子さんの「源氏物語別本―国冬本の物語世界」(2011/01/22)に、国冬本に関連する参考文献が列記されているので便利です。私も関わってきた本なので、今回の情報をもとにして、また調べてみたいと思います。
 
 次の『源氏物語』も興味深い古写本です。

源氏物語 元和寛永頃寄合書 巻二三四欠本 51帖 150,000
 弘治三年紹巴が旧友に贈る「頗可謂証本乎」といふ原跋がある。
 綴葉装黒漆塗箱入(『書林会古書綜合目録』1972年5月)

 跋文として、弘治三年の里村紹巴に関係する「頗可謂証本乎」という文言を持つ綴葉装(列帖装)の写本を、今私は思いつきません。現在どこにあるのか、もう少し調べてみます。

 昭和20年代を中心に、古典籍が流動するさまを見ているところです。終戦直後ということもあり、たくさんの古典籍が動いています。それらが今はどこにあるのか、後日その足跡を一つずつ丹念にたどってみたいと思っています。
 
 また、『源氏物語』の訳注をした本として、次のものがありました。

『新訳源氏物語』藤井柴影 二冊

 この藤井柴影は藤井紫影(本名:乙男)のことかと思われます。
 ただし、私の『源氏物語』に関する刊行書リストを見ると、次のようになっています。「柴」か「紫」かは、後で確認しておきます。

注釈:新釈源氏物語・2冊(澪標まで):藤井柴影他編:新潮社:1911.12


 また、こんなものもチェックしました。

大黒屋光太夫扇面
 ロシア文字いろはにほへと及びアラビア数字
 文政六年 美品 七十三歳書
 写真版55頁参照 一面 350,000



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 大黒屋光太夫は、井上靖の『おろしや国酔夢譚』や吉村昭の『大黒屋光太夫』でよく知っている人物です。
 この一枚の扇面から、異文化の往き来が確認できるので、おもしろい資料だと思います。

 こんな調子で、なかなか前に進めません。
 この調査に興味を抱かれた方は、ぜひ連絡をください。そして、一緒に調査をしてみませんか。気長にやっていますので、お気軽にどうぞお越しください。
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎源氏物語
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