2014年07月13日

転居(5)「源氏物語余情」1996年5月分

 「転居(4)」を受けての、〈旧・源氏物語電子資料館〉の記事「源氏物語余情」の引っ越しです。

 今回は、1996年5月分です。
 今から18年前の『源氏物語』に関する情報を、ここに記録として留めておきます。

 関弘子さんの朗読CD−ROMは完結し、すばらしい資料となっています。

 『源氏物語別本集成』は、この時から版下をMacintoshによる作業に移行し、すべてを手元で作成できるようになりました。ただし、『源氏物語』の古写本を読んでいただける方々が減少したために、今は刊行が止まっています。
 現在は、古写本が読める方が育ってくださることを願って、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉を通して「古写本を読む会」を展開しているところです。京都では御所南のワックジャパンで実績をあげつつあります。東京では今秋10月より、日比谷図書文化館でスタートします。共に、ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』をテキストにして、鎌倉時代の仮名文字を読む勉強会というスタイルをとっています。古写本が読めるようになることを目指した活動に、ご理解とご協力をいただけると幸いです。

 1996年頃から、インターネットという通信環境の話が一般的にできるようになりました。
 現在から思えば、隔世の感があります。技術に牽引されるインフラ整備が、社会の仕組みを変革することを、身をもって体験したことになります。
 しかし、コンピュータは私が思ったようには進化しませんでした。もっと人間が考えるためのツールとなり、「情報文具」として育つと考えて、文学の分野でさまざまな実験をしてきました。ところが、コンピュータはパーコンからパソコンという名前になり、情報を収集し、整理する事務用品で留まったままです。今も、情報をネットワークの中で使い回すレベルで停滞しています。
 20年前に目指した、考える上で人の手助けをする道具にできなかったことは、悔やんでも悔やみきれません。マイクロソフトという会社が、人類の進歩を停めてしまったのです。ゼロかイチか、ONかOFFかでしか動かないコンピュータでは、人間の思考をアシストする文具にはなれません。
 若者たちが、二者択一ではない、第三の選択を容認するシステムを開発してくれることに期待したいと思います。

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◎(21)96.5.16 関弘子さんによる『源氏物語』の原文を全巻朗読(CD100枚)という壮挙が、順調に進んでいます。
 1994年11月から5年計画でスタートし、今月は第7回分が発送されました(非売品)。年4回約5枚宛発送となっています。
 私は有志の寄付という形で、一口1万円を毎年振り込んでいます。朗読のテキストは『完本源氏物語』(阿部秋生、小学館)です。
 連絡先は、(中略)です。
  ・第1回 '94.11 01桐壷〜03空蝉 ・第2回 '95.2 04夕顔〜05若紫
  ・第3回 '95.5 06末摘花〜08花宴 ・第4回 '95.8 09葵〜10賢木
  ・第5回 '95.11 12須磨〜13明石 ・第6回 '96.2 14澪標〜18松風
  ・第7回 '96.5 19薄雲〜21少女
 
◎(22)96.5.25 『源氏物語別本集成 第八巻』(1996.5.25発行、おうふう)が刊行されました。33番目の「藤裏葉」と34番目の「若菜上」が収録されています。
 「若菜上」の底本は保坂本になっています。陽明文庫本と麦生本が共に別本ではないために、第三の底本として、今注目の保坂本に諸本を対校しました。
 また、「若菜上」は文節数が1万を越えたため、1万番以上の文節番号を〈34A234〉というようにABを含んだ表記とすることにしました。
 なお、今回から版下作成の手法を全面的に改めました。これまでは、DOSマシンで作成した版下に、おうふうの編集部の方が頁数と柱を張り込んでいました。校異編の頁は、こちらが渡した版下を、縮小して4段組にしてもらっていました。
 それを、今回からは印刷までの工程のすべてをMacintoshを使用して刊行会のメンバーで行いました。素人が作成した組版・版下作成ですが、ほぼ完璧な仕上がりではないかと自負しております。書店で一度手にして、印字紙面をご覧いただければ幸甚です。
 
◎(23)96.5.31 西日本国語国文学データベース研究会(DB-West)の6月の会合は、6月2日(日曜日・13:00〜17:00)です。場所は、大阪樟蔭女子大学2F円形ホールとなっています。
 発表内容は、
  1.「歌物語」使用語彙の数量的研究 志甫由紀恵氏
  2.北原白秋童謡語彙の数量的研究  加藤妙子氏
  3.データベースの作成と利用に関する試み
    方言音声データベースJCMDを例として 田原広史氏
  4.電子社会での暮らし方 臼井義美氏
です。デモンストレーションは、
  1.新潮文庫100冊 中村一夫氏
  2.インターネット体験 伊藤鉄也
  3.日本語教育教材作成のための語彙検索システム 大谷晋也氏
などです。
 恒例のおみやげフロッピーディスクには、「国語国文学関連のホームページ一覧」などが入っています。
 なお、受付で資料代500円をいただきます。ご協力ください。本会は、会費をいただかずに運営する研究会です。年二回の研究発表・講演会は、公開で自由参加となっています。次回は、12月1日(日)です(会場未定)。
 
◎(24)96.5.31 〈斎王ファン倶楽部〉をご存じですか。
 斎王とは、神に仕えた未婚の姫君です。『源氏物語』に登場する斎宮としては、六条御息所の娘(梅壷女御、後の秋好中宮)がいます。物語では、三十六歌仙の一人である斎宮女御徽子女王の史実を念頭においてのことでしょう、御息所が娘について共に伊勢に行きます。
 こうした斎王にまつわる歴史秘話や浪漫を学び楽しもうというのが〈斎王ファン倶楽部〉です。年会費千円で、年四回発行の情報誌『斎王プレス』などがもらえます。詳しくは、三重県多気郡明和町大字馬之上945明和町観光協会内 斎王ファン倶楽部事務局へどうぞ。
 なお、6月1日・2日には、斎宮歴史博物館(近鉄斎宮駅)周辺で、いにしえの王朝絵巻とでもいうべき斎王群行で知られる〈斎王まつり〉が開催されます。

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posted by genjiito at 22:25| Comment(0) | ◎源氏物語
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