雨にならなかったことに安堵しました。
まずは、本日の会場である日南町文化センターの入り口で、関係者一同で記念写真を撮りました。
池田研二先生も元気に来てくださっています。
今日の参会者は70名です。この池田亀鑑賞の授賞式の参加者は、町民の方が中心であることはもちろんのこと、米子や岡山からもいらっしゃっています。
授賞式が始まってすぐに、役場の職員の方々がテーブルとイスを何台も運び込んでおられました。予想では50〜60名と見込んでおられたようです。会場の後ろで聞こえる騒めきを、ありがたさとうれしい思いで耳にしていました。
日南町の町民のみなさんの熱気が肌身に感じられるので、主催者側の気持ちも引き締まります。
まず、「第3回池田亀鑑賞授賞式」です。
司会は、昨年同様、日南町図書館司書の浅田幸栄さんです。
開会挨拶は加藤和輝(池田亀鑑文学碑を守る会)会長です。
今年もこの授賞式が開催できたことの喜びを語られました。
賞状と副賞の贈呈には、地元報道関係者など多くのカメラマンが舞台に集まりました。
池田亀鑑賞選考委員会の会長挨拶として、伊井春樹先生が「池田亀鑑賞の意義」について、いつもの優しい語り口で話されました。みなさん、伊井先生のお話を、毎年楽しみにしておられます。
それを受けて、池田亀鑑賞の選考委員長である私が「選考理由」について報告しました。併せて、古写本を読んで池田亀鑑を追体験する中で、町民のみなさんと一緒に「古典文学の町づくり」に取り組んで行く企画をお知らせしました。
来賓紹介は、日南町議会議長と、日南町教育長でした。
来賓挨拶は、増原聡日南町長です。
このアカデミックな村おこしとも言えるイベントの盛り上がりを、さらに次の世代に語り継ぎたいと、力強く宣言なさいました。
本日のメインとなる、「第一部 第3回池田亀鑑賞受賞記念講演」です。
受賞者の須藤圭さんが、柔らかな語り口で『狭衣物語』についてわかりやすく話されました。
「『狭衣物語』とは何か」
「わたしと『狭衣物語』の出会い」
「池田亀鑑と『狭衣物語』」
「『狭衣物語』研究の未来」
最後に、広島大学の妹尾好信先生から、広島大学所蔵の『狭衣物語』の写本と版本の紹介がありました。
休憩時間には、妹尾先生と須藤さんによるギャラリートークもありました。
多くの方が展示ケースを取り囲んで聴き入っておられました。
天保8年の絵入り版本「さころも」に、「紅梅文庫」の印がはっきりと確認できます。
「紅梅文庫」については、『もっと知りたい 池田亀鑑と『源氏物語』 第2集』(新典社、平成25年)で、永井和子先生と私が対談の中で詳細に語っていますので、ご参照のほどを。
会場の入り口には、日南町図書館にある池田亀鑑に関する本が並んでいます。
この日のために、小さいながらも、こんなにかわいい幟を作られたのですね。職員とお手伝いをしてくださるみなさんの、このイベントを一緒に盛り上げようとしてくださるそのお気持ちが、温かい声援として聞こえて来ます。一人で感激しています。想いのこもった小道具が嬉しくて、また来年も来ますから、と、幟に向かってつい手を合わせ、一人で笑ってしまいました。みなさん、ありがとうございます。
続いて、「第二部 もっと知りたい 池田亀鑑と「源氏物語」講演会」です。
今春から岡山のノートルダム清心女子大学に移られた原豊二先生の講演は、「江戸時代の日南町 元禄歌人・竹内時安斎の旅」と題するものです。
「竹内時安斎の人物紹介」
「江戸時代の日南町地域を知る」
「紫式部伝説の一断章」
中でも、竹内時安斎が元禄7年に伯耆地方を旅し、日南町地域を通過した5日間の記事では、地名や人名が出てくることもあり、会場のみなさんとの反応ややりとりに興味深いものがありました。
最後に、原先生から
日南町のあらたな価値に「古典文学」を
という提言には、会場から多くの首肯きが波として伝わってきました。
この原先生の勢いは、続く私の古写本を読む体験へとつながります。
少し休憩した後、「第三部 鎌倉時代の『源氏物語』古写本を読んで池田亀鑑を追体験してみよう」という、参加型の体験学習を企画しました。
これは、これまでが講演を聴くという、参加者にとっては受け身の催し物ばかりだったので、少しでも身体を使った体験を共有しよう、という趣旨の元に取り組むことにしたものです。
現地のスタッフの方々の予想では、10人位が残って参加してもらえたら、ということでした。学習用に鉛筆も10本ほど用意してくださっていました。
しかし、意外というべきか、うれしいことに40人近くの方々が残ってくださったのです。
事前に広報用に配布したチラシには、次のような説明文を掲載しました。
池田亀鑑が生涯をかけて取り組んだ『源氏物語』の古写本を読むことを、みなさまと一緒に追体験してみたいと思います。
米国ハーバード大学美術館には、鎌倉時代に書写された『源氏物語』の「須磨」巻と「蜻蛉」巻の2冊が所蔵されています。
今回は、その内の「蜻蛉」巻の最初のページを、変体仮名といわれる仮名文字を一文字ずつたどりながら読んでみます。
資料は配布しますので、筆記用具だけをご持参ください。
この企画は、今後とも継続して日南町で開催する予定です。
今回の体験学習のために用意した資料には、「ハーバード大学美術館蔵『源氏物語 蜻蛉』の来歴」、「ハーバード本「蜻蛉」第1丁表のカラー写真」、「掲出仮名の字母一覧」、「第1丁表の字母」、「第1丁表の翻字」が印刷してあります。
これを使って、1時間ほどをかけて、丁寧に仮名文字とその字母を確認しながら、またその文字の背景を説明しながら読みました。
今回は、「か・け・し・す・せ・た・と・な・に・の・は・ひ・ま・み・め・り・る・を」の18文字が読めたら目標達成です。この第1丁に出てくる漢字は「人・返・給・事・思・心」の6文字だけです。これだけで、800年前に書かれた写本の冒頭一枚が、完璧に読めることになるのです。
実際には、丁寧に話をしながら進めたこともあり、10行あるうちの4行分しか読めませんでした。しかし、2行目にあるナゾリや、4行目の補入の説明もしたこともあり、予想以上に実感として読めた気になっていただけたようです。
池田亀鑑賞の事務局長をなさっている久代さんも、真剣に変体仮名読解に取り組んでいらっしゃったようです。
今回のみなさんの反応がよかったことは、第2回目の追体験につながる収穫でした。次回はもっと、謎解きの要素を入れてみたいと思います。
なお、この後の懇親会で、私が「800年前の写本」というフレーズを十数回言ったということが披露されました。そうなのです。とにかく、「800年前」の文字を読む、ということを脳裏に刻んでいただきたかったので、「800年前」を連呼したのです。
閉会後、何人もの方々が我々の所にお出でになり、いろいろな質問や感想を投げ掛けてくださいました。
こうした交流は、今後とも大切にしていきたいと思います。
会場を後にして、懇親会場へ移動する途中に、いつものように池田亀鑑の顕彰碑の前で関係者一同が記念撮影をしました。いつもお忙しい伊井春樹先生は、急いで松江へと移動なさったため、今回は写真の中にはいらっしゃいません。
また、恒例となっている「池田亀鑑誕生地」の碑に受賞者を案内して、記念撮影をしました。
この碑は個人の敷地に建っているため、ご迷惑をおかけしないようにと、今回は少人数で訪問しました。
日南町のみなさまのご理解とご協力のもとに、第3回目となる池田亀鑑賞の授賞式と関連するイベントも、すべて盛会のうちに無事終えることができました。みなさまに、感謝します。そして、来年もよろしくお願いいたします。
懇親会では、今後の夢語りも含めて、いろいろと楽しい話で沸きました。
特に、古写本を町民のみなさまと一緒に読むことで池田亀鑑と古典文学を実感していただく企画は、さらに具体化へと向かいました。
今回確認できたことの一部を、気が早いかもしれませんが、速報として記しておきます。次のイベント会場は、池田亀鑑の生誕地の近くです。
企画名称:「鎌倉時代の古写本『源氏物語』を読む(第2回)」
開催日時:平成26年9月13日(土)午後2時〜3時半
体験会場:ふるさと日南邑(鳥取県日野郡日南町神戸上)
主催 or 後援:NPO法人〈源氏物語電子資料館〉/日南町(予定)
なお、この時に、井上靖と松本清張の文学碑にご案内する予定です。
さらに詳細が決まり次第、またお知らせいたします。
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