2014年06月23日

今西科研の第1回研究会とホームページ公開のこと

 今日は午後から、今西館長科研の平成26年度第1回目の研究会がありました。
 いつものように、【表記情報学】に関する活発な意見交換がなされました。

 トップバッターは、九州から来ていただいた沼尻利通氏(福岡教育大学)の発表です。
■「「篝火」巻の使用文字・使用字母の検討」
 「篝火」巻の文字使用傾向について、江戸時代の版本の表記を中心にしての発表でした。これまでの成果の蓄積がその背景にあるので、いろいろなことを考えさせてもらいました。特に、表記を考える上で大事な、字母レベルに立ち戻っての漢字か仮名という認定については、今後とも幅広い共通理解が必要であることを痛感しました。

坂本信道 氏(京都女子大学)
■「漢字片仮名本の土佐日記の登場と貫之評価」
 江戸時代の『土左日記』の中でも、漢字カタカナ混じり本の用例を示しながらの発表でした。この本が、どういう人たちに読まれたのか、という点に興味を持ってうかがいました。平仮名ではなくて、カタカナで書かれているという点が、今後につながる問題点を提起していました。

上野英子 氏(実践女子大学)
■「【表記情報学】で『覚勝院抄』を読み解いたら……」
 『覚勝院抄』の物語本文は三条西本に近い、という結論は納得できました。まとめにあたり、定家本「柏木」巻は漢字使用率が高いところから、定家がカナを漢字に改めながら書写していたのではないか、という結論も興味深いものでした。これは、今後とも定家が写した『源氏物語』の写本を考える時の、大事な判断基準の1つになります。

 最後は、阿部江美子氏(国文学研究資料館研究員)の「「明融本」源氏物語の漢字・かな使用率について」でした。
 これは、現在進んでいる明融本(実践女子大学蔵)の翻字作業に関する途中経過報告です。十数帖の報告でした。しかし、今後が楽しみです。一揃いの写本の漢字・かなの使用率は、貴重な情報提供となるはずです。

 なお、この今西館長科研のホームページが公開されました。
 以下のアドレスからご覧になれます。

 「日本古典籍における【表記情報学】の基盤構築に関する研究」(研究代表者:今西祐一郎)

 次回は、8月下旬を予定しています。
 決まり次第、またお知らせいたします。
posted by genjiito at 23:55| Comment(0) | ■古典文学
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