2014年03月11日

新刊︰日向一雅編『源氏物語注釈史の世界』の紹介

 『源氏物語注釈史の世界』(日向一雅編、青簡舎、2014年2月)が刊行されました。
 その帯には、次のように書かれています。

注釈史の研究は、千年を生き延びた古典のそれぞれの時代の読みと記憶を掘り起し、現代と対話することである。


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 私も、諸先生方のお仲間に入れていただけましたので、本書の紹介かたがた、拙稿における考察の結論と見通しを、最後に記しておきます。

目次は、以下の通りです。

はしがき・・・・・・・・・・・・・・・日向一雅

T 注釈と本文
源氏物語注釈の形態・・・・・・・・・・・・伊井春樹
『源氏釈』桐壺巻に抄出された本文の性格・・伊藤鉄也
三条西家源氏学の本文環境・・・・・・・・・加藤洋介

U 注釈書と注釈史
内閣文庫蔵三冊本(内丙本)『紫明抄』追考・田坂憲二
河内本「源氏物語」の巻頭目録と書入注記をめぐって・渋谷栄一
『百詠和歌』における破鏡説話の改変・・・・芝崎有里子
『源氏物語』と漢語、漢詩、漢籍・・・・・・河野貴美子
注釈史のなかの『河海抄』・・・・・・・・・吉森佳奈子
『覚勝院抄』にみる三条西実澄の源氏学・・・上野英子
架蔵『光源氏抜書』に関する考察・・・・・・堤康夫
湯浅兼道筆『源氏物語聞録』について・・・・湯淺幸代
『玉の小櫛』注釈部と『源註拾遺』・・・・・杉田昌彦

V 注釈と読みの世界
藤原定家と「高麗人」の注釈・・・・・・・・袴田光康
藤壺像はどのように読まれてきたのか・・・・栗山元子
源氏物語古注釈史における『尚書』と周公旦注・日向一雅
源氏物語「御簾のうち」をめぐって・・・・・中西健治
宇治十帖のうち第一の詞・・・・・・・・・・横井孝

編者・執筆者 紹介


 私は、久しぶりに『源氏物語』の古注釈書としての『源氏釈』の抄出引用本文を再検討し、その本文の分別を試みました。
 拙稿では、次の見取り図を示し提言しています(41頁)。

┌〈甲類〉┬第一群(従来の〈河内本群〉等)
│    └第二群(〈別本群〉の一部等)
└〈乙類〉┬第一群(いわゆる〈青表紙本群〉等)
     └第二群(陽明文庫本、源氏釈抄出本文等)

 そして、結論としては次のことに行き着きました。

『源氏釈』に抄出された物語本文は〈乙類〉第二群に相当する


 このことを踏まえて、最後は次の「まとめ」を記しています。

 些細な本文の異同も含めて、諸本の書写状態を確認した。その検討を通して、〈甲類〉と〈乙類〉の内、〈乙類〉を〈第一群〉と〈第二群〉の二群にわけて考えると、『源氏釈』が抄出する本文の位相が明確になることがわかった。本稿では触れる機会がなかった〈甲類〉についても、二つの群にわけると諸本間の位相が整理できることもわかっている。
 『源氏物語』の本文は、内容から分別すると二つにわかれ、その〈甲類〉と〈乙類〉とするものも、それぞれがさらに二つにわかれる傾向を確認できている。今後は、この例証と検証を進める中で、諸伝本間の相関関係を明らかにしていきたい。(70頁)


 これは、まだほんの一例にしかすぎません。今後ともこうした手法で、1つでも多くの巻の本文分別を続けていきたいと思っています。
 ご教示のほどを、よろしくおねがいします。
posted by genjiito at 23:27| Comment(0) | ◎源氏物語
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