2014年01月15日

井上靖卒読(175)「褒姒の笑い」「テペのある街にて」「古代ペンジケント」

■「褒姒の笑い」
 中国の説話を題材とした話です。幽王の褒姒に対する思いが背景にあります。褒姒が笑ったか否かが、歴史を動かしたのです。しっかりとした文章で、ナレーションのように語られています。ドラマチックに展開する要素を多分に含んだ小品です。【3】
 
 
初出誌︰心
初出号数︰1964年11月号
 
新潮文庫︰楼蘭
旺文社文庫︰洪水・異域の人 他八編
井上靖小説全集18︰朱い門・ローマの宿
井上靖全集7︰短篇7・戯曲・童話
 
 
 
■「テペのある街にて」
 沙漠の国である中央アジアへ行った時の紀行文です。その中に、ミハエルの話がおもしろく出てきます。旅先での実話を、少しずつ思い出すようにして語ります。その語り口に、ゆったりとした悠久の時の流れを感じさせます。異国の人との出合を楽しみ、慈しむ眼がいいと思いました。血が入り交じった民族と島国日本の違いについても、納得する内容でした。カスピ海に流れ込むアムダリアの川の水を見つめる井上靖の姿が、絵として浮かんで来ます。【2】
 
 
初出誌︰文学界
初出号数︰1966年1月号
 
新潮文庫︰道・ローマの宿
井上靖小説全集18︰朱い門・ローマの宿
井上靖全集7︰短篇7・戯曲・童話
 
 
 
■「古代ペンジケント」
 西トルキスタンの紀行文です。これは、アマチュアの考古学者が語るという形式で構成されています。巧みな語り口に、古代ペンジケントの様子が活写されています。それ以上に、その歴史を語る若者が印象的です。【2】
 
 
初出誌︰オール読物
初出号数︰1966年4月号
 
文春文庫︰崑崙の玉
井上靖小説全集18︰朱い門・ローマの宿
井上靖全集7︰短篇7・戯曲・童話
 
 
 
〔参照書誌データ〕
「井上靖作品館」
posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | □井上卒読
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