2013年12月27日

読書雑記(87)伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』

 今年は、中盤からスペインに関する勉強に終始しました。特に、支倉常長たちの慶長遣欧使節団派遣400周年の記念事業の一環でスペインへ行く話が進展しだしてからは、さまざまな本を読み漁りました。

 専門外のことになると、「ウィキペディア」を見ることがあります。
 人には勧めません。しかし、重宝する情報が盛られている記事の集合体であることは確かです。
 そこに、『オーデュボンの祈り』について次のように書いてあります。


『オーデュボンの祈り』(オーデュボンのいのり、a prayer)は、伊坂幸太郎による推理小説。作者のデビュー作であり2000年に新潮社から出版され、同年の第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した。
2004年にラジオドラマ化、2009年に漫画化、2011年には舞台化された。
(中略)
仙台との関わりが深く、話の中にこまめに登場する(支倉常長など)。これらの仙台近辺を利用した語り口は、伊坂の後の作品にも受け継がれている。


 また、「支倉常長」についての記述の中で「支倉常長が登場する、あるいは彼をモデルにした作品」という項目に、遠藤周作の『侍』と共に、この『オーデュボンの祈り』もあがっています。

 それなら、と思って読んだのがこの本です。

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 私は、伊坂幸太郎の作品を読むのは初めてです。
 この手の本を読むことはなかったので、なかなか話に入っていけませんでした。しかも、私の意識の中では、支倉常長を追いかける意図で読むことにした小説なので、なおさら読み方に先入観が先行しています。
 この小説は、私の期待をすっかり裏切ってくれました。新潮文庫で456頁もあり、それなりに時間がかかりました。ただし、期待外れでも、伊坂流のおもしろさが伝わってきたので、途中で本を置くこともなく読み終えたのだと思います。

 数カ所、物語の舞台との関連で「支倉常長」という単語が出てきました。しかし、それは内容とは直結しません。あてが外れた、というのが正直な感想です。しかし、めったに読まないタイプの作品なので、それなりに楽しみました。

 以下、ピンボケの読書体験を伴っての、個人的な読書メモです。

 仙台沖の牡鹿半島の南にある荻島が、この物語の舞台となっています。
 この島は、150年も外界と交流を絶った孤島です。支倉常長が、ヨーロッパとの交流に利用しようとしたという島だといいます。ここでの、現代日本と日常を切り離された世界における、おもしろい話が展開します。

 リアリティに欠けるところがこの物語の特徴だ、と作者は言っています。
 確かに、思いがけない話題と仕掛けが楽しめます。ただし、私はこの手の作品が苦手なのか、後半は読み飛ばしてしまいました。
 いかにも作り話の域を出ていないからでしょうか。
 さらには、私がこの本を手にしたのが、支倉常長の話が書かれていると思い込んで読み始めたせいもあります。

 とにかく、支倉常長のことは、数カ所で触れられているだけで、物語とは特に接点を持っていません。この、私が勝手に期待したことと、あまりにも違う作品だったので、肩すかしを喰った思いです。
 機会を改めて別の目で読むと、というよりも素直に読み進めると、伊坂幸太郎流のおもしろさが伝わってくるかも知れません。【1】
 
 
注︰巻末に以下の注記があります。

この作品は平成十二年十二月新潮社より刊行され、文庫化に際し改稿を行った。
posted by genjiito at 22:31| Comment(0) | ■読書雑記
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