2013年12月14日

京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第6回)

 前回話題になった、筆順についての話から始まりました。
 「やた管ブログ(中川@やたがらすナビ管理人)」の下記の記事2本を紹介し、子どもたちに筆順を教えることの意味を語り合いました。

http://blog.livedoor.jp/yatanavi/archives/53090281.html
「教育における〈子供だまし〉」(2013年11月10日)
「筆順の話」(2013年07月11日)
 
 私は、横書き文化が浸透している今、現在の縦書きの筆順にあまり拘らない書き方を考えるべきだ、と考えています。結論の出ない問題です。しかし、一つだけの筆順を教えることで、これから日本語を習得しようとする人を縛るべきではないと思います。
 文字を書く機会が減りました。それだけに、筆順が出鱈目だと、それを崩すときにさらに読めない字になります。そのためには、ある程度の統一した筆順を覚える必要はあります。しかし、……です。このことは、また整理します。

 ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」は、2丁表の3行目から字母の確認を進めました。

 これまでに確認を終えた、巻頭から今日確認した2丁表までの字母は、次のようになります。


ハーバード本 52蜻蛉 字母版(131214補訂済)

  [1]浮舟の失踪に大騒動となり右近と侍従は浮舟が入水した思う
   【1931/12:520001】
[1]加之己尓者比登/\・遠波勢奴越・毛止免左者
个止可比奈之・毛乃可多里野/比&野・飛免幾三乃/免&飛・人尓・
奴春末礼堂良無・安之多乃・也宇奈礼八・久八
之宇毛・以比川遣須/川+川・幾也宇与利・安里之・
川可比乃・返寸・奈利尓之可葉・於保川可奈之止
天・末多・人・遠己世多里・末多・止利能・奈久二
奈无・以堂之多天左世・給部累登・川可比乃・
以不尓・以可尓・幾己恵无・免乃止与利・八之
女天・安八天末止不・事・可幾里・那之・思由留・
可多・奈久天・堂ゝ・左波幾安衣累遠・可乃・心・志礼留(1オ)」

登知那无・以三之宇・毛乃・思給部里之/之&部里・左末遠・
思以川留尓・身越・奈个・給部累可登・
於毛飛与利遣累・奈久/\・古乃・文遠・安遣
堂礼波・以登・遠本川可奈左尓奈无・思川ゝ・
末止呂末礼・八部良奴尓也・己与比八・由免尓堂
仁/多尓&尓堂・宇知登計天毛・身衣寸・越曽八礼川ゝ・
心知毛・礼以奈良須・宇多天・侍遠・奈越・以登・遠曽
呂之・毛乃部・和多良世・給八无・事波・知可ゝ
武奈礼登・曽乃・程・古ゝ尓・武可部・堂天末川利
个无/个〈判読〉=天・遣不・安免・不利奴部个礼葉奈登・有(1ウ)」

与部乃・加部利己登止毛・安計天・美天・右近・以
美之宇・奈久・左礼八与・己ゝ呂本曽幾・事八・幾
古衣・給比个利・王礼尓・奈止可・以左ゝ加・乃多末
不・己止乃・奈加利个无・於左那加利之・本止与利・
川由・己ゝ呂・越可礼・多天末川留・己止・那久・知利八
加利・遍多天・奈久天・奈良比多留尓・以末者・
可利乃/可±幾・三知尓之毛・我遠・ゝ久良加之・个之
幾越堂仁・之良世・給者左利計留可・川良支・
事止・於毛不尓・阿之寸利止・以不・己止越・之天・
奈久・左満・和可幾・己止毛乃・也宇奈利・以三之久(2オ)」


 「可・加」「止・登」「三・美」「己・古」「和・王」等が、どうやら文字列によって使い分けられているようです。その点について、書写者の意識に内在する法則性を、この確認を通して今後とも探っていきたいと思います。

 次の文字は、単独で見せられると判断停止となりかねない字形です。

131214_52p3ma




131214_52p3tiri




131214_52p3ha1




131214_52p3ha2




 順に「ま(未)」「ちり(知利)」「は(者)」「は(者)」です。
 これらは、ほとんどが行末にあり、文脈の中で読み取るしかない文字です。
 古写本を読むときに、文字としてではなくて文字列として、文の流れを意識して読み取ることが求められる例と言えるでしょう。

 また、雑談の中で、どの字母を使って文字を写し取っていくのかということで、書写者の生活や知的・人的な環境が読み取れないか、ということになりました。
 写本は親本を忠実に写し取るのが原則です。しかし、書かれている字母の揺れ具合を見ると、そこには書写者の素顔が見えるように思えるのです。そんなことにも思いを及ぼしながら、この鎌倉時代の古写本『源氏物語』を読んでいきたいと思います。

 次回は、新年正月18日(土)午後1時からです。
 毎月第2土曜日を原則としています。しかし、新年は第3土曜日になりますので、お気を付け下さい。
 前回からの持ち越しで、今日もできなかった、物語の内容の確認から進めます。
 興味と関心をお持ちの方の参加を、楽しみにしています。

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「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第5回)」(2013/11/9)

「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第4回)」(2013/10/5)

「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第3回)」(2013/9/21)

「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第2回)」(2013/8/10)

「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(初回)」(2013/7/13)
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posted by genjiito at 23:59| Comment(0) | ◎源氏物語
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