これまでの4回の集まりは、いつも雨の日でした。誰が雨男か雨女か、といつも話題になっています。今日は雨が降る気配がありません。夕方になるとわからないよ、などと言いながら始まりました。
ここでは、『十帖源氏』を読むというよりも、海外の方に翻訳をしてもらうための、わかりやすい現代語訳を作成したり確認したりしています。
今日は、以下のことが話題になりました。
『十帖源氏』に
むらさきの上より、とのゐ物をくらせ給ふ。
とあるところを、担当者は
〈紫の上〉から夜具が送られてきました。
と訳しました。
この「夜具」について、海外のいろろいな様子を推察して「寝具」に落ち着きました。
有名な「須磨にはいとど心づくしの秋風に〜」という場面では、まず「心づくし」について検討しました。
ここは「哀愁をかきたてる秋風」で早々に決まりました。「哀愁を感じさせる」がわかりやすい訳です。しかし、もう少し状況を伝える意味を込めて「かきたてる」を採用しました。
「浦波」についても、作品が語る状況を踏まえて、「海風に吹かれる波の音」となりました。
少しずつ、現代語訳の完成度が上がってきていることが実感できます。
光源氏が須磨の詫び住まいの折々に、綾錦などに絵を描いていたところにも、多くの時間をかけました。
からのあやなどに、さまざまの絵どもをかきすさび給へり。
ここでは、中国から留学中の庄さんが、林文月さんの『源氏物語』中国語訳などを詳しく紹介しながら、中国渡来の絹織物や錦織りの違いなどを例にして、貴重な意見を出してくれました。
シルクロードに思いを馳せながら、さまざまな文物が行き交う背景を語り合う中で、次のような訳になりました。
(〈光源氏〉は、)中国の絹などに色々な絵を気の向くままに書きます。
そして、それに続く
沖に船どものうたひののしりてこぎゆくなどもきこゆ。
とあるところは、
沖から、船人が大声で歌いながら漕いでいくのが聞こえます。
となりました。「船どもの」を「船人が」としたところが苦心の跡と言えます。
この作業は、ことばに対する豊かな想像力が試されます。
また、異文化に対する深い理解が求められます。
さまざまな国からの留学生の方々が参加してもらえたら、文化の違いが現代語訳に盛り込めて楽しくなると思っています。いろいろな国の方々をご紹介いただけると幸いです。
次回は、9月21日午後3時から、いつものワックジャパンで行います。
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