2013年08月11日

京都で『十帖源氏』を読む(第5回)

 京町家のワックジャパン「わくわく館」で、『源氏物語』の写本を読んだ後、少し休憩してから、今度は『十帖源氏』を読みました。
 これまでの4回の集まりは、いつも雨の日でした。誰が雨男か雨女か、といつも話題になっています。今日は雨が降る気配がありません。夕方になるとわからないよ、などと言いながら始まりました。

 ここでは、『十帖源氏』を読むというよりも、海外の方に翻訳をしてもらうための、わかりやすい現代語訳を作成したり確認したりしています。
 今日は、以下のことが話題になりました。

 『十帖源氏』に

むらさきの上より、とのゐ物をくらせ給ふ。

とあるところを、担当者は

〈紫の上〉から夜具が送られてきました。

と訳しました。
 この「夜具」について、海外のいろろいな様子を推察して「寝具」に落ち着きました。

 有名な「須磨にはいとど心づくしの秋風に〜」という場面では、まず「心づくし」について検討しました。
 ここは「哀愁をかきたてる秋風」で早々に決まりました。「哀愁を感じさせる」がわかりやすい訳です。しかし、もう少し状況を伝える意味を込めて「かきたてる」を採用しました。

 「浦波」についても、作品が語る状況を踏まえて、「海風に吹かれる波の音」となりました。

 少しずつ、現代語訳の完成度が上がってきていることが実感できます。

 光源氏が須磨の詫び住まいの折々に、綾錦などに絵を描いていたところにも、多くの時間をかけました。

からのあやなどに、さまざまの絵どもをかきすさび給へり。

 ここでは、中国から留学中の庄さんが、林文月さんの『源氏物語』中国語訳などを詳しく紹介しながら、中国渡来の絹織物や錦織りの違いなどを例にして、貴重な意見を出してくれました。

 シルクロードに思いを馳せながら、さまざまな文物が行き交う背景を語り合う中で、次のような訳になりました。

(〈光源氏〉は、)中国の絹などに色々な絵を気の向くままに書きます。


 そして、それに続く

沖に船どものうたひののしりてこぎゆくなどもきこゆ。

とあるところは、

沖から、船人が大声で歌いながら漕いでいくのが聞こえます。

となりました。「船どもの」を「船人が」としたところが苦心の跡と言えます。

 この作業は、ことばに対する豊かな想像力が試されます。
 また、異文化に対する深い理解が求められます。
 さまざまな国からの留学生の方々が参加してもらえたら、文化の違いが現代語訳に盛り込めて楽しくなると思っています。いろいろな国の方々をご紹介いただけると幸いです。

 次回は、9月21日午後3時から、いつものワックジャパンで行います。
posted by genjiito at 22:46| Comment(0) | ◎NPO活動
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