2013年06月24日

今夏ペルーでスペイン語訳『源氏物語』刊行予定

 在ペルー日本国大使館に勤務なさっていた下野博史氏(現在は国土交通省)より、うれしい情報が入って来ました。
 今年の8月に、南米ペルーでスペイン語訳『源氏物語』が出版されるということです。
 スペイン語訳『源氏物語』の件で質問を受けたことが契機となり、下野氏より貴重な情報を提供していただくことができました。
 ご許可をいただきましたので、現在わかっている範囲での情報をここに参考までに報告します。

 まず、私が受けた質問は、

スペイン語に翻訳された源氏物語で、日本語から直接翻訳されたものはございますでしょうか。


というものでした。

 これは、私が『総研大ジャーナル No.15 2009春』に書いた、「『源氏物語』の翻訳状況」のネット版の記事をご覧になってのお問い合わせだったのです。

 これに対して私は、スペイン・アウトノマ大学の高木香世子先生からご教示いただいた情報を参考にして、以下の返信を出しました。

 これまでに、日本語からスペイン語に翻訳された『源氏物語』はありません。
 最近では、2005年の10月から11月にかけて、スペインで二つの『源氏物語』の翻訳が出ました。

(1)ナダル現代文学賞 で名高いデスティーノ社(Editorial Destino) が出版した La novela de
Genji(以降「小説源氏」)で、文筆家のハビエル・ロカ・フェレール (Javier Roca-Ferrer)の手による翻訳です。

(2)アタランタ社 (Ediciones ATALANTA)が、英文学の翻訳家として活躍している Jordi Fibla(ジョルディ・フィブラ)に依頼した、ロイヤル・タイラーの英訳を忠実にスペイン語訳した La historia de Genji(源氏物語)。

 今回ペルーで出版される『源氏物語』が、どの日本語からか知りたいところです。古文なのか、現代日本語訳(瀬戸内寂聴など)からなのか。


 以下、こうしたやりとりからわかった情報を、私なりの観点から整理しておきます。

(1)スペイン語訳『源氏物語』“El Relato de Genji -primer parte-”の前編は、第1巻「桐壺」から第27巻「篝火」までが収録される予定。

(2)出版元はFONDO EDITORIAL APJ(APJ:Asociación Peruano Japonesa、ペルー日系人協会)。

(3)豪華本と普通本の2タイプで出版。

(4)まず、与謝野晶子訳『全訳源氏物語』(角川文庫)を、Iván Augusto Pinto Román氏(イヴァン・アウグスト・ピント・ロマン:ペルー・カトリカ大学講師・元ペルー外務省公使)がスペイン語に翻訳。

(5)それを、 Hiroko Izumi Shimono(下野泉:学習院大学大学院日本語日本文学科博士課程修了・日本文学西語翻訳)が、日本古典文学全集版『源氏物語』(小学館)を底本にして確認。

(6)本スペイン語訳は、日本語の原文に忠実で、多くの注釈を付す。

(7)序文は Hiroko Izumi Shimono 氏 が、終章は Pinto 氏がそれぞれ担当。

(8)本書前編の冒頭には、諏訪春雄・学習院大学名誉教授の「『源氏物語』の絵と文」と、藤原克己・東京大学教授の「『源氏物語』に描かれた愛」を掲載。

(9)表紙には、國學院大學蔵「久我家嫁入本『源氏物語』」を使用予定。

(10)挿絵は、早稲田大学九曜文庫蔵「源氏物語画帖」・「源氏物語絵巻」などから8点を使用。

(11)前編が販売される本年8月22日に、ペルー(リマ市)で出版記念会が開催される予定。これは、ペルー日本外交関係設立140周年を記念する行事の一環。

 なお、Pinto 氏と Hiroko Izumi Shimono 氏による、スペイン語翻訳本についての情報もいただいています。

@“El libro de la almohada”(『枕草子』) 2002 Pontificia Universidad Católica del Perú Collección Orientalia Fondo Editorialen Lima-Perú (『枕草子』Oswaldo Gavidia Cannon氏(カトリカ大学講師)も共訳者で三者の訳本)

A“Diario de Tosa” 2005 (『土佐日記』) Pontificia Universidad Católica del Perú Collección Orientalia Fondo Editorialen Lima-Perú

B“Apuntes de una Ef?mera” (『蜻蛉日記』)2008 APJ en Lima-Perú

 「ガレリアリブロのブログ」で、これらの本の内容が確認できます。

 興味深い情報を提供していただきました下野博史氏に、あらためてお礼申し上げます。
 今後とも、さまざまな情報提供を、どうかよろしくお願いいたします。
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎国際交流
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