2012年04月22日

江戸漫歩(55)板橋区立美術館の狩野家展

 板橋区立美術館で開催されている「奥絵師・木挽町狩野家 〜お殿さまに仕えた絵師たちの250年〜」を見に行きました。
 地下鉄有楽町線の西高島平駅を降りて15分も歩くと、「不便でゴメンね」という幟が目に飛び込んできます。
 
 
 

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 歩いて15分もかからないので、そんなに遠いとは思いません。しかし、住宅街を横目に歩くので、単調な道でした。この美術館には、地域をはじめとする来館者を思いやる気持ちが、館内の至る所で感じられました。特に、展示物の説明文を読んでいると伝わってきます。ただし、少し煩わしくて余計なお節介と感じる方もいらっしゃることでしょう。私がそうだったので。地域の小学生や中学生を強く意識した対応だと思いました。

 まず受付の前に、写真を撮っていいというパネルが目に付きます。
 早速、そのパネルを撮影させていただきました。
 
 
 

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 海外の公共施設を意識しているのでしょうか。これはいいことだと思います。後で思い出したり、人に話をするときに、展示会場での写真があると便利です。特に、この美術館は自分のところで所蔵する作品を展示しているのです。公費で購入したり寄贈や寄託を受けている作品なので、その点では自由に使えます。
 また、展示されているものをその場で撮影しても、商業利用に使えるほどいい写真は撮れません。その意味でも、来館者のためのこの割り切りには好感を持ちました。

 さて、江戸幕府に仕えた御用絵師である狩野家は、中橋・鍛冶橋・木挽町・浜町の四家に分かれます。将軍にお目見えできる奥絵師といわれる最高の家柄です。その中でも、木挽町狩野家の作品を中心とした作品群が「〜お殿さまに仕えた絵師たちの250年〜」というテーマで展示されていたのです。
 そんな内容が、壁面に掲示されていた説明板にうまくまとめてあったのでアップします。

 私のブログでは、掲載する画像はいつも120キロバイト以内に縮小してアップしています。そのため、文字を読むには難しい解像度です。少し拡大していただくと、どうにか読める程度となっています。あしからず。
 
 
 

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 また、狩野派の絵の修行の様子も説明されていたので、これも説明板をアップします。
 橋本雅邦の「木挽町画所」(『國華』第3号、明治22年)をもとにした略説で、粉本とか模本といわれるものの意義や役割がよくわかる説明です。「学ぶ」の語源である「真似ぶ」ということの大切さを、再認識させられます。
 
 
 

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 木挽町狩野家は、狩野探幽の弟の尚信に始まります。この流れについても、説明板をあげます。
 
 
 

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 また、東京駅に隣接する中央区にちらばっている狩野家の所在場所を示す地図も、今の場所と対比すると参考になります。
 
 
 

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 展示室の一角に「お座敷コーナー」があり、本物の屏風を座布団に座ってじっくりと見ることができます。これは、なかなかのアイデアです。私も初めてこのような見方をしました。目の高さといい距離といい、実際に部屋に置かれている屏風を見る雰囲気で拝見することができました。

 今回この美術館に初めて来て、各絵に添えてある説明文の馴れ馴れしさが気になりました。子供に語りかけるような語尾には、大人の方は馴染めないかもしれません。少なくとも私は、違和感を感じました。初学者にわかってもらおうという親しみからの意図であることはよく理解できます。しかし、これはやりすぎかな、とも思いました。せめて、普段の会話口調での語尾は、もう少し工夫がなされてもいいのではないでしょうか。親しみはいいのですが、もっときれいな日本語にしてほしいな、と思いました。
 また、絵に添えられた作品名が新しい感覚で命名されていることも、私は気になりました。
 狩野探幽の「富士山図屏風」には「いい眺めだなあ」というタイトルが付いていました。狩野安信の「人物花鳥画帖」には「こんな絵も描けますヨ!」、狩野養信の「勿来関図」には「桜よ、散らないでおくれ」、狩野寿信の「徒然草図屏風」には「人生イロイロ」という調子です。
 これは、好みの問題であり、ご覧になった方々の反応が知りたいところです。

 それはともかく、橋区立美術館が所蔵する木挽町狩野家のコレクションは、見応えのあるものでした。図録が品切れだったので、何かの機会にこの美術館の絵を通覧したいと思います。
 入場料が無料というのも含めて、今お薦めする展覧会の一つです。
posted by genjiito at 23:01| Comment(0) | ・江戸漫歩
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